「部下の育て方が分からない」「部下を育てるのが上手い人はどのように指導しているのだろう」「上司としてNGな態度や言動を知っておきたい」
このような悩みを持つマネージャーや上司は多いのではないでしょうか?
部下のモチベーションを高めたり、スキルアップを促すためには、上司のサポートが重要になります。しかし、部下の育て方が分からずに、逆効果となる行動や言動をとってしまっているマネージャーもいるでしょう。
人が育たないと、組織の発展が難しくなるので、上司やマネージャーは部下への接し方に細心の注意を払う必要があります。そこで今回は、部下の育成が重要な理由、上司が取るべきスタンス、NGな上司の特徴、育て方のロードマップやポイントを網羅的に解説していきます。
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部下の育成が重要な理由
組織が持続的に発展していくためには、人材育成が不可欠です。上司は部下を育成し、会社に利益をもたらす人材に育てなければなりません。部下が成長して自律的な人材になれば組織のパフォーマンスが最大化するでしょう。
しかし、企業の多くは人材育成に課題を感じています。リクルートマネジメント ソリューションズが2022年に実施した意識調査によると、多くの企業が「次世代の経営を担う人材が育っていない」という課題に直面しています。
この調査は人事担当者150名、管理職層150名にインターネットで実施したものです。会社の組織課題(2022年)については、「次世代の経営を担う人材が育っていない」が64.7%で管理職層の1位となりました(選択率は「よくあてはまる」と「あてはまる」の合算」)。人事担当者においても66.0%で2位となっています。

(出典:【調査発表】マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2022年|リクルートマネジメント ソリューションズ)
現在、マネージャーやリーダーとして活躍している上司は、いかにして部下を育て、組織を拡大していくかについて考えなくてはなりません。そのためにも、部下の育て方についてポイントや具体策を学ぶ必要があるのです。
部下の育成には上司のスタンスが重要!
部下を育てるのがうまい人は、他者に対して適切なスタンスが取れています。以下では、上司が部下を育成する際に心がけるべき4つのスタンスを紹介していきましょう。
- 部下を見下さない
- 自分のミスを認める
- 結果・過程の両方を評価する
- 部下の得意や不得意を把握している
部下を見下さない
上司が見下した態度をとると、部下のモチベーションは下がります。部下のやる気を高めて能力を引き出すためには、上司の謙虚さが不可欠です。
頭ごなしに叱責したり、相手のミスばかり指摘したり、自分のほうが優れているとマウントをとる行為は、部下の成長を妨げるだけなので避けましょう。
相手を尊重して信頼することで、良好な関係が築けます。部下が業務に注力できるように親身になってサポートしてあげましょう。
自分のミスを認める
上司でも仕事でミスをおかすことはあるでしょう。その時に、責任を部下になすりつけるのではなく、ミスを認めて反省することが重要です。
リーダーやマネージャーの不手際でチーム全体に迷惑をかけた場合には、メンバーや特定の部下に謝罪が必要になるケースもあるでしょう。そのような時にはきちんと謝罪しましょう。
適当にお茶を濁したり責任転嫁すると、メンバーからの信用を失い、チームで仕事を進める際に支障が出てきます。結果、チーム全体の士気やパフォーマンスが低下するリスクがあるので、誠実さを忘れないようにしましょう。
結果・過程の両方を評価する
面談や1on1ミーティングなどの際に部下を評価する時には、結果だけでなく過程も褒めてあげることが大事です。
成果主義を取り入れている会社では、部下のアウトプットのみを評価するケースもあるかもしれませんが、部下が仕事に取り組んできたプロセスや努力、やる気などもしっかりと評価してあげましょう。
その上で、成果が出ていない部下に対しては、改善点や解決策をフィードバックするなど、結果につなげるアドバイスも送りましょう。
部下の得意や不得意を把握している
有能な上司は部下の得意・不得意を把握しているものです。メンバーはそれぞれスキルや経験が異なります。そのため、できること・できないことも人それぞれです。
部下のやる気を高めてパフォーマンスを引き出すためには、得意な点を伸ばし、不得意な点を克服させるような指導が必要です。
ただし不得意なことややりたくないことを強要するのは避けたほうがいいでしょう。やる気は生産性に直結するので、部下の得意・不得意だけでなく、やりたいことをしっかりとヒアリングすることが大事です。
やりたいこと=得意なことであれば、生産性が高まり、これまで以上に成果を出せるはずです。
不得意な領域を改善することで、メンバーおよび組織の成長につながる場合には、どのように改善するか、改善することでどのようなベネフィット(利益・恩恵)があるか丁寧に説明することで納得感が得られるでしょう。
こんな上司はNG!部下に信頼されない上司の特徴
部下に慕われる有能な上司がいる一方で、信頼されない上司もいます。そんなNGな上司の具体的な特徴は次の5つです。
- 部下同士を比較する
- 自分の話が長い
- コミュニケーションを取らない
- 先入観や偏見がある
- 上の顔色ばかり気にする
部下同士を比較する
部下同士を比較することは、チームワークを損なう原因になります。切磋琢磨して個人個人の成長を促すことは大事ですが、比較することで一方の評価を下げることは逆効果です。
上司は各メンバーの能力や成果、姿勢を公平に評価すべきです。そうすることで、成長の機会を平等に提供できます。
自分の話が長い
上司が自慢話や過去の実績を長々と話すことはNGです。自分の話に終始すると、部下の声を聞き漏らす可能性があります。
上司は部下の意見や悩みに耳を傾ける姿勢が重要です。部下とのコミュニケーションを円滑にするためにも、話しやすい空気作りを心がけましょう。
コミュニケーションを取らない
コミュニケーションを取らずに部下を放置していると、部下が仕事で課題に直面した時や悩みが生まれた時に気軽に相談できずに、問題が大きくなる可能性があります。
また部下は自分の役割や目標が見出せない場合、やる気が低下する危険性があります。最悪の場合には退職につながるケースもあるでしょう。そうなると、上司はマネジメント能力を疑われます。チームや会社全体としては、大事な人材を失うことで大きな損失になります。
常にコミュニケーションを絶やさずに良好な関係を作っておけば、部下は気軽に上司に相談できるので、問題の芽を早期に摘むことができるでしょう。自由を与えたり自主性を尊重することは大事ですが、最低限のコミュニケーションチャネルは必ず確立しておきましょう。
先入観や偏見がある
部下に対して先入観や偏見を持つことは避けましょう。公平な評価や部下の成長の機会を奪うことになりかねません。レッテルを貼られた部下は、モチベーションが低下したり、上司への不信感が募るでしょう。
レッテルの例としては次のようなものがあります。
- 最近の若い人は〜
- 女性(男性)は〜
- 〇〇大学卒は〜
- 体育会系は〜
- 〇〇県出身の人は〜
- 血液型が〇の人は〜
先入観や偏見を持たず、多様な価値観を認めることが部下の成長はもちろん組織の発展にも寄与するでしょう。
上の顔色ばかり気にする
上司が上層部や役員の顔色ばかり気にしていると、部下の意見が軽視されるおそれがあります。自分の存在や意見に耳を傾けてくれない上司は、信頼されないでしょう。
上司やマネージャーは部下の意見を尊重し、彼らを正当に評価することが求められます。そうすることで、部下のパフォーマンスが向上し、チーム力の底上げにもつながるのです。
最終的には会社の売上や利益にも貢献することになるので、上層部や役員からの好評価にも寄与するでしょう。
部下の育て方のロードマップ
ここでは部下の育て方についての具体的な方法をみていきましょう。以下のロードマップを参考にしてみてください。
- 育成のゴールを設定する
- 現状を認識する
- 必要なスキルを把握する
- スキル取得の方法を見出す
- 実行しながら改善する
育成のゴールを設定する
まずは育成のゴールを設定します。最終的なゴールに加えて、節目や中間の目標なども定めましょう。どういう状態になれば育成したことになるのか、具体像を描くのが重要です。
例えば、「一人で商談をクロージングできる人材」「適切なデータを抽出し、顧客に提出するレポートを作れる人材」「プロジェクトリーダーを任せられる人材」「コールセンターのスタッフを教育できる人材」などの明確なゴールを設定しましょう。
現状を認識する
次に部下の経験値や能力、スキルなどを洗い出し、現状を認識しましょう。
部下が直面している課題を抽出し、育成計画を立てるための材料にします。また部下の強みや特性なども把握しましょう。強みを伸ばすことで自信につながり、チーム全体にも好影響を及ぼします。
必要なスキルを把握する
部下が身につけるべきスキルを把握します。現状で必要なスキルに加えて、将来的に必須となるスキルや知識も洗い出しましょう。
ピックアップしたスキルをどのように習得するか、育成プランの作成にいかします。複数のスキルを学ぶ場合には、優先順位を付ける必要もあります。どの要素が重要度・緊急度が高いかをしっかりと検討しましょう。
スキル取得の方法を見出す
スキルを取得する際の方法を考えます。トレーニングやコーチング、メンタリングなどさまざまな手法があります。
また社内の研修やセミナーだけでなく、社外の教育機関を利用する方法もあります。部下の自発性を促すために、手当や教育プログラムを新たに創出するなど、組織全体でサポートする体制も重要になるでしょう。
実行しながら改善する
育成プランを実行し、定期的なモニタリングやフィードバック面談を行い、改善を進めます。
部下が伸び悩んだり、上司がやりづらいなど、育成プランに問題が出たら、適宜修正を加えましょう。
部下の育て方5つのポイント
以下に、上司が部下を育てる時に押さえておきたいポイントを5つ解説します。部下のことを思いながら指導や教育をすることはもちろん、自分自身の成長も考えましょう。
- コミュニケーションを十分に取る
- 部下に向き合って理解を試みる
- 部下を信頼して仕事を任せてみる
- 状況に応じて部下を守る
- 自分の成長にも目を向ける
コミュニケーションを十分に取る
部下とはしっかりとコミュニケーションを取って、お互いに信頼しあえる関係性を作りましょう。
一方的な指導や教育では部下のモチベーションが下がる可能性があります。部下はそれぞれ性格やスキル、経験が異なるので、すべての社員に同じように接してしまうと失敗するリスクが高まるでしょう。
日頃から定期的に1on1ミーティングを実施したり、チャットやメールなどでフィードバックをすることで、円滑な意思疎通が可能になるでしょう。
部下に向き合って理解を試みる
部下に向き合って、理解を試みることも重要です。相手の立場や視点に立ち、部下の要望や不満、課題や希望などをくみ取ろうとする姿勢が大切です。
そのためには、相手の声を傾聴するスタンスを大事にしましょう。話を聞く中で、部下の良いところだけでなく悪いところも見えてくるはずです。その時に、自分の価値観を押しつけるのではなく、相手を尊重し理解を試みることを最初に考えましょう。
共感とサポートを続けることで、上司と部下の間で信頼感が醸成されていくのです。
部下を信頼して仕事を任せてみる
部下がある程度成長したら、信頼して仕事を任せてみましょう。難しい仕事や部下が経験したことのない業務でも、あえて任せることが重要です。そうすることで、成長スピードを加速させ、モチベーションの向上にもつながります。
部下に失敗させないために簡単な業務ばかり任せている場合には、成長しないばかりかモチベーション低下にもつながる危険性があります。
困難な状況に身を置くことで自律性が生まれます。自分で考えたり、自発的にまわりの同僚や上司に聞く姿勢が出てくるでしょう。
状況に応じて部下を守る
部下が困難な状況に陥っているときにはサポートしてあげることが大事です。部下に対して、適宜アドバイスを送ったり、1on1ミーティングで部下の悩みや不明点を解決してあげましょう。
部下は上司からのサポートを受けられることで、ポジティブなマインドで業務にのぞめるでしょう。
自分の成長にも目を向ける
部下を指導しつつ、自分の成長にも目を向けましょう。
マネジメント能力やコーチングスキル、自己啓発など、上司の成長が部下の成長につながります。ひいてはチーム全体のやる気やスキルのアップにも貢献するでしょう。
まとめ
今回は、部下の育成に悩んでいる上司に向けて、育成の重要性や上司が取るべきスタンス、NGな上司の特徴、具体的な育成ロードマップ、育て方の5つのポイントを解説しました。
組織において、次世代の経営を担う人材の育成は大きな課題となっています。人が育たない限り、企業の永続的な発展はのぞめません。企業が発展し続けるためには上司と部下の両方が成長を遂げる必要があります。
本記事で紹介したように、上司の中にはNGな特徴や育て方をしている人もいるかもしれません。その場合には、部下を育てるのがうまい人の特徴やスタンスをまねしてみるのがいいでしょう。
人材育成を成功させて、チームや会社の拡大を目指しましょう。