「部下の叱り方を知りたい」「正しく叱って、部下のモチベーションを上げたい」部下や、新人などを成長させるうえで、部下のしかり方について悩んでいる上司は多いのではないでしょうか？
叱る行為は、否定的なイメージを持たれがちですが、適切なアプローチを取ることで、部下のモチベーションを損なうことなく改善を促すことができます。しかし、上司が正しく叱ることができず放置すると、その行動を改善する機会を失い、同じ過ちを繰り返す可能性が高まります。
そこでこの記事では、部下の正しい叱り方のポイントや、正しい叱り方を実践すべき理由などを解説します。間違った叱り方をしないためにも、ぜひ参考にしてみてください。
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上司が部下の正しい叱り方を実践すべき理由
まず始めに、上司が部下の正しい叱り方を実践すべき理由について解説します。
- 部下のモチベーションを損なわないため
- 部下を成長させるため
- 部下との信頼関係を築くため
部下を成長させるために、ときには叱ることが大切です。しかし、その方法を間違えてしまうと、部下の自信を喪失し、本来の業務能力を発揮できなくなる可能性があります。また最悪の場合、離職を考える恐れもあるでしょう。ここで、正しい叱り方を理解していきましょう。
部下のモチベーションを損なわないため
上司が正しい叱り方を実践すべき理由の一つは、部下のモチベーションを損なわないためです。部下のモチベーションが低下すると、生産性や仕事の質が低下するため、場合によっては叱ることも必要です。
しかし、感情的な叱り方や過度に厳しいアプローチは、返って部下のやる気や自尊心を傷つけてしまう恐れがあります。上司は部下を叱るのではなく、ミスや課題にどう対処すべきか、改善策を一緒に考えるようにしましょう。こうすることで、部下のモチベーションを維持することができます。
部下を成長させるため
部下を成長させるためには、上司が正しい叱り方を実践すべきでしょう。「もっと〇〇してよ」と、批判的な態度や間違った叱り方は、部下を萎縮させてしまいます。
例えば「ここを◯◯したら完璧だね」というように、肯定的な言葉を加えて部下に伝えます。こうすることで、次に何を改善すればいいか、部下を成長させることにつながります。
部下との信頼関係を築くため
部下との信頼関係を築くためには、上司が正しい叱り方を実践することが不可欠です。例えば「あの人は同じことをして叱られていないのに、自分だけ叱られた」というように、一部のメンバーのみを叱っていては、部下から信用を得ることは難しいでしょう。
部下と信頼関係を築くためには、事実とデータに基づいた説明をすることで、その判断が客観的であると認識しやすくなります。ただ指摘するのではなく、冷静に状況を分析し、正しく叱るようにしましょう。
「叱る」と「怒る」の違いとは
「叱る」と「怒る」は、どちらも感情やコミュニケーションに関わる言葉ですが、異なった意味があります。
まず「叱る」とは、相手の行動や発言、また態度に問題がある場合、その点を指摘し注意やアドバイスをする行為です。その背後には、相手の成長を願う思いやりがあります。例えば部下や後輩がミスをした場合「次回は◯◯するとミスが減るかもしれません」と、指摘はしつつも、具体的なアドバイスを伝えることは「叱る」と言えます。
一方で「怒る」とは、自分の感情や利益に焦点を当てて行動する行為です。怒る際には、自分の立場や感情が優先されることがあります。例えば部下や後輩のミスに対して「私の評価が下がる」「仕事が増えた」といった形で、自分の影響や感情を優先する発言が含まれる場合に「怒る」と言えます。
また「叱る」行為が相手の成長を促進し、思いやりに基づいて行われるのに対し、「怒る」行為は怒りの発散や不満の表出が目的で、相手を追い詰める可能性があります。上司や部下がともに成長するためには、「叱る」ことが必要です。
この前提が間違ってしまうと、部下や後輩から反感を買ってしまう恐れがあります。相手の立場や成長を促進するためにも、「怒る」のではなく、適切に「叱る」ことを意識しましょう。
部下の正しい叱り方のポイント6選
適切な叱り方とは、一体どのようなものなのでしょうか。
この章では、部下の正しい叱り方のポイントを６つ紹介します。
- 叱る場所やタイミングを考慮する
- 叱る理由を明確に伝える
- 具体的な解決案を考える
- 部下のフォローも欠かさない
- できるだけ短時間で行う
- 部下の話も聞く
叱る場所やタイミングを考慮する
部下を叱る際には、場所とタイミングを考慮しましょう。公然で叱ることは、部下の自尊心やプライバシーを傷つける恐れがあります。
そのため叱る際は、他人の目が気にならない静かな場所が有効です。また、叱るタイミングも大切です。感情的が湧き上がったタイミングで指摘したり、他の仕事に追われているときに叱ると、効果が薄れることがあります。落ち着いた状況で部下が話を聞けるように、叱る場所やタイミングは整えましょう。
叱る理由を明確に伝える
部下を叱る際には、なぜ叱る必要があるのか、理由を明確に伝えることも正しい叱り方のポイントです。主観的な感情ではなく、客観的な理由を示すことが重要です。
部下は自分の行動や発言が、どのような問題を引き起こしたかを客観的に理解することで、叱られた理由を受け入れやすくなります。例えば、具体的な状況やデータを引用することで、正しい叱り方になるでしょう。
具体的な解決案を考える
部下をただ叱るだけでなく、問題の解決策を共に考えることも大切です。もし可能であれば、部下と協力して解決案を検討することで、問題の理解が深まります。
とくに難しい問題の場合や、既に解決策がある場合は、それを提示し、具体例を挙げて説明します。これにより、部下は単に叱られるだけでなく、問題をどのように解決すべきかを明確に把握しやすくなります。
部下のフォローも欠かさない
部下を叱る際には、その後のフォローも欠かさないようにすることがポイントです。叱るだけでなく、部下が良い点や成果を出している部分にも目を向け、「ここは良くなかったけど、こういうところは良かった」など、具体的な例を挙げると良いでしょう。
また、部下の意図や努力も認めることが大切です。「会社のためを思って行動してくれたことは理解しているけれど」といったように、ポジティブな側面を強調しながらも問題点を伝えることで、部下のモチベーションを保ちつつ改善を促すことができます。
できるだけ短時間で行う
部下を叱る際には、できるだけ短時間で行うようにしましょう。くどくどと叱るのではなく、要点を絞って伝えます。
こうすることで、部下はメッセージを受け入れやすくなります。また、指摘後すぐ改善に取り組むこともできるため、組織全体の生産性向上にも繋がります。
部下の話も聞く
叱る際には、一方的に話すだけでなく、部下の話も聞きましょう。相手の視点や意見を理解することで、問題の背後にある要因や理由を把握しやすくなります。
また部下が何を考えていたのかを知ることで、適切な対応策を見つけることもできます。叱るだけでなく、対話を通じて共感や理解を示すことが信頼関係の構築にも繋がります。問題の全体像を理解するために、部下の話は聞くようにしましょう。
部下に対してやってはいけない叱り方6選
部下にやってはいけない叱り方はいくつかあります。今回は、その中でも特に気をつけた方が良い６つを解説します。
- 感情的に「怒る」
- 人前で叱る
- 業務に関係のないところも批難する
- 他人と比べて叱る
- 昔の話を持ち出す
- 叱っている内容がよくわからない
叱る行為は、否定的なイメージを持たれがちですが、適切なアプローチを取ることで、部下のモチベーションを損なうことなく行動の改善を促すことができます。間違った叱り方をしないためにも、ぜひ参考にしてみてください。
感情的に「怒る」
部下を叱る際に感情的に怒ることは避けるべきです。怒りを感じることは仕方のないことではありますが、その怒りを感情的に相手にぶつけることは対話や解決に寄与しません。
とくに怒鳴ったり、乱暴な言葉を使うことは、部下のモチベーションを低下させるばかりか、信頼関係を損なう可能性もあります。感情的に怒るのではなく、冷静な態度で問題を説明することで、部下は問題の本質を理解しやすくなります。
人前で叱る
部下を人前で叱ることは避けましょう。人前で叱られることは部下のプライドを傷つけ、恥ずかしい思いをさせるかもしれません。
また部下のモチベーションが低下し、協力的な態度が得られなくなる可能性もあります。叱る際は、部下の自尊心を尊重し、プライバシーを守ることが大切です。例えば、1対1の面談や人目に付きにくい場所で話すことで、建設的な対話が可能となります。
業務に関係のないところも批難する
部下を叱る際には、業務に関連する事柄だけを話しましょう。部下の人格やプライベートなど、業務に関係のないところを持ち出すことは避けるべきです。
とくに「そういうところがダメなんだ」「だからお前は○○なんだ」といった発言はやめましょう。叱る際は、やったことや事実などの核心に焦点を当てることで、部下は理解しやすく、改善する意欲が高まります。
他人と比べて叱る
部下を他人と比較して叱らないようにしましょう。「◯◯さんは◯ヶ月で出来たのに…」と、他人と比べて批判することは、部下の自己評価が低下し、モチベーションが下がるかもしれません。
部下の背景には、異なる価値観や成長スピードがあり、他人と比較する必要はありません。部下自身が他人と比較して悩んでいる恐れもあるため、相対的な評価ではなく、個別の強みと課題に焦点を当て、叱り方を工夫することが大切です。
昔の話を持ち出す
過去の出来事や過ちを持ち出して叱ることは、効果的とはいえません。例えば「あの時も君は…」といった形で何度も昔の話を引き合いに出して叱るのは、反発心を抱きやすくなります。
叱る際は、現在起きている問題に焦点を絞り、過去の失敗とは区別して対応します。過去の話を引き合いに出して叱ることは避けましょう。
叱っている内容がよくわからない
部下を叱る際には、何に対して怒っているのか、叱っている内容を明確に伝えましょう。抽象的で漠然とした叱り方は、内容が理解できず、行動の修正や改善が難しくなります。
上司自身が叱る内容を整理し、具体的なポイントを伝えることが大切です。叱っている内容を適切に伝えることで、部下は自身の失敗を冷静に受け止めやすくなります。
まとめ
上司が部下を適切に叱ることは、組織の健全な運営に不可欠です。この記事では、部下の正しい叱り方のポイントや、正しい叱り方を実践すべき理由を解説しました。また、部下に対してやってはいけない叱り方についてもご紹介しました。
上司が部下に正しい叱り方ができないと、モチベーションの低下や成長の妨げ、信頼関係の損失などのリスクが生じます。反対に、感情的な怒りを避け、具体的な理由や解決策を提案し、部下の話を聞く姿勢を取ることで部下の成長や業務効率向上に寄与します。この記事で正しい叱り方のパターンを理解し、ぜひ実践してみてください。
