「工数管理のテンプレートが欲しい」「工数管理を適切に行って業務を効率化したい」このような悩みを抱えている人は多いのではないでしょうか?
プロジェクトを成功させるためには、仕事を終わらせるのにかかる時間や必要な人手を計る「工数管理」が不可欠です。とくにExcelで工数管理を行う場合、簡単に始めることができる一方で、運用段階で様々な問題に直面することもあります。
そこでこの記事では、今すぐ利用いただけるExcel工数管理のテンプレートの紹介とともに、作成する際に注意すべき点も解説します。ぜひ参考にしてください。
工数管理の必要性とは
はじめに、工数管理の必要性を3つの要素に分けて解説します。
- プロジェクトの全体像を把握できる
- プロジェクトを計画的に遂行できる
- 適切に人事配置できるようになる
工数管理とは、仕事を終わらせるのにかかる時間や必要な人手を計る方法です。この管理を行うことで、適切な見積もりやプロジェクトの利益を確保できたり、進捗状況を調整することに役立ちます。それでは、詳しく確認していきましょう。
プロジェクトの全体像を把握できる
工数管理を行うことで、プロジェクトの全体像を把握できます。
プロジェクトを成功させるためには、まず全体像を把握することが必要です。具体的な作業量や必要な人手が分からないと、プロジェクトがどれくらい進んでいるのか、遅れているのか把握できません。
全体の概要を把握することで、計画を立てる上での基盤ができます。これによって、プロジェクトの規模や進捗状況を正確に把握し、適切な調整や意思決定を行うことが容易になります。
プロジェクトを計画的に遂行できる
工数管理は、プロジェクトを計画的に遂行することができます。工数管理を怠ると、作業にかかる時間が予想以上にかかってしまうため、計画通りにプロジェクトを進めることができない場合があります。
しかし、予め必要な時間やリソースを把握しておけば、余裕を持ったスケジュールの設定や優先順位の調整が可能です。プロジェクトを計画的に遂行できるためには、工数管理が欠かせないのです。
適切に人事配置できるようになる
工数管理は、プロジェクトにおいて適切な人事配置を可能にします。プロジェクトメンバーのスキルや経験、労力を的確に把握することで、適任者を正確に割り当てることができます。
適切な人事配置により、チーム全体のパフォーマンスが向上し、作業効率が向上します。また、作業の重複や不足、過労といった問題を事前に回避することができ、プロジェクトの均衡を保つこともできるでしょう。適切な人事配置は、チームのモチベーションを維持し、プロジェクトの成功に向けた基盤を築く上で不可欠です。
Excelでの工数管理表の2つの種類
プロジェクトの工数管理には、主に「WBS」と「ガントチャート」という2つの種類があります。これらはプロジェクトを効果的に計画し、進捗を追跡するための強力なツールです。
しかし、これらの違いを理解していない方も多いかもしれません。ここで、WBSとガントチャートについて詳しく見ていきましょう。
WBS
WBS(Work Breakdown Structure)は、プロジェクトを細かなタスクに分割し、階層的に整理する方法です。Excelを使ってWBSを作成するには、まずプロジェクトを大きなブロックに分け、それをさらに小さなタスクに分解していきます。
WBSを作成することで、タスクの抜け漏れを防ぐことができたり、プロジェクト全体を網羅的に把握することが可能です。ただしWBSは、作業を進めていく時間軸がグラフではないため、わかりにくいというデメリットがあります。最小レベルのタスクにかかる作業期間は数時間から数日程度に納まるようにし、タスクを細かくし過ぎないよう注意しましょう。
WBSでの工数管理表の作成方法
ExcelでWBSでの工数管理表を作成する際は、下記の方法で進めましょう。
1. プロジェクトのメインタスクをリストアップする
2. 各メインタスクを細かなサブタスクに分割する
3. Excelの表にタスクと予定工数、担当者を記入する
4. タスクごとに開始日と終了日を記入する
ガントチャート
ガントチャートは、プロジェクトのタスクや活動を時系列に沿って視覚的に表示する方法です。縦軸に工程(業務項目)を配置し、横軸に時間軸を棒グラフで表すことで、プロジェクトの進捗状況やタスク間の依存関係を把握できます。
このチャートを作成するには、WBSを用いてプロジェクトの業務項目を明確にし、その後、細分化されたタスクを元にガントチャートを構築します。WBSとガントチャートは緊密に関連しており、WBSで定義したタスクがガントチャートの基盤となります。ただし、タスク数が多すぎるとチャートが複雑になり、理解が難しくなる可能性があるため、適切なレベルでタスクをまとめることが重要です。
ガントチャートでの工数管理表の作成方法
Excelでガントチャートを作成する際は以下の方法で進めましょう。
1. プロジェクトのメインタスクをリストアップする
2. 各メインタスクを細かなサブタスクに分割する
3. Excelの表にタスクと予定工数、担当者を記入する
4. タスクごとに開始日と終了日を記載する
5. 個々のタスクに進捗ステータスを設ける
6. 横軸に日付と棒グラフを作成する
Excelで利用できる工数管理テンプレート8選
ここでは、実際にExcelで利用できる工数管理テンプレートを8つ紹介します。
- チームスピリット
- TIME TRACKER
- ビズ研
- セールスフォース標準化推進ラボ
- マイクロソフト
- Office Hack
WBSのテンプレート
ここでは、WBSのテンプレートを4つ紹介します。
チームスピリット

【特徴】
チームスピリットは、工数管理、勤怠管理、経費精算などの従業員が日常的に使う機能がまとめられたシステムを提供しています。チームスピリットのWBSテンプレートは、既に見本が示されているため、すぐにダウンロードして使うことができます。
TIME TRACKER

【特徴】
TIME TRACKERは、既存のプロジェクトからワークアイテムを一括してコピーすることでWBSを簡単に作成することが可能です。運用する際の標準的なWBSをあらかじめテンプレートのプロジェクトとして登録しておけば、新規プロジェクトの立ち上げがスムーズに行えます。
ビズ研

【特徴】
ビズ研は、すぐに使えるWBSテンプレートです。シンプルなデザインものから、特徴的なデザインのものまで、テンプレートが豊富です。テンプレートを使用する場合は、会社名や文言などのサンプル部分を変更することで、すぐに利用できます。
セールスフォース標準化推進ラボ

【特徴】
セールスフォース標準化推進ラボでは、Creative Content Lab Tokyo(クリエイティブコンテンツラボトウキョウ)が作成したWBS(work-breakdown-structure)のテンプレートを提供しています。とくに、顧客情報をクラウドで一元管理するSalesforce関連プロジェクトの計画時に活用することが推奨されています。
ガントチャートのテンプレート
次に、ガントチャートのレンプレートを4つ紹介します。
マイクロソフト

【特徴】
マイクロソフトでは、すぐに使えるデザイン性の高いテンプレートを多く提供しています。また、マイクロソフトのテンプレートには大きく分けて「無料で利用可能なもの」「Microsoft 365を契約することで利用可能なもの」の2種類があり、自社にあったテンプレートを取り入れることができます。
Office Hack

【特徴】
Office Hackは、プロジェクトの全体スケジュールや各工程の作業予定期間、進捗状況などを記載できます。色を変更したり簡単に項目を追加したりと、自身の好みに合わせてカスタマイズすることも可能です。
ビズ研

【特徴】
WBSテンプレートでも紹介したビズ研は、ガントチャートのテンプレートも提供しています。自社用のテンプレートとして使用する場合は、既存の項目やフォーマットをカスタマイズして利用することがおすすめです。
bizroute

【特徴】
bizrouteは、仕事の予定や進捗を確認するシンプルなExcelのガントチャートテンプレートを用意しています。bizrouteは、カスタマイズできるテンプレートだけでなく、時間単位、月単位、1週間だけなど、シンプルでわかりやすいテンプレートも提供しています。
Excelで工数管理表を作成する際の3つの注意点
Excelで工数管理表を作成することは、簡単に始めることができる一方で実際の運用では、以下のような3つの問題が生じることがあります。
- Excelではリアルタイムで更新が難しい
- スマートフォンでは利用しにくい
- 複数のプロジェクトを横断した管理には向かない
工数管理表の作成自体は簡単でも、運用段階でさまざまな混乱が生じることから、必ずしも業務の効率化につながるとは限りません。この章で、Excelで工数管理を行う際の注意点を覚えていきましょう。
Excelではリアルタイムで更新が難しい
Excelを使用した工数管理表は、リアルタイムの情報更新が更新が難しいという点が挙げられます。プロジェクトの進捗状況が変化するたびに、手動でデータを入力・更新する必要があります。これによって、実際の進行状況と表上の情報にズレが生じ、正確な情報を得るのが難しくなります。
Excelで工数管理を行うためには、定期的な手動更新を心がけ、適切な対応をすることが重要です。Excelでは最新の情報をリアルタイムで反映させたり、更新することが難しいことを念頭におきましょう。
スマートフォンでは利用しにくい
Excelの工数管理表は、大きなデータを扱うため、スマートフォンの画面では見づらいことがあります。Excelは大量のデータや複雑な表を扱うのに向いています。そのためExcelの大規模なデータや複雑な表は、スマートフォンでは小さく表示されてしまい、操作も煩雑に感じる恐れがあります。
とくに外出先や急な会議の際に、スマートフォンでの利用は限定的です。スマートフォンでは利用しにくいため、PCやタブレットなど、大きな画面を備えたデバイスで、情報を確認する必要が出てくるでしょう。
複数のプロジェクトを横断した管理には向かない
Excelの工数管理表は、複数のプロジェクトを横断した管理には向きません。異なるプロジェクトのデータをまとめて管理することは複雑になり、エラーや混乱が生じやすくなります。
Excelは単一のプロジェクトに適しています。異なるプロジェクトごとにExcelファイルを作成し、それぞれを個別に管理する方が、情報の整合性を保つことができます。複数のプロジェクトを横断した管理が必要な場合は、専用のプロジェクト管理ツールの利用を検討することが賢明でしょう。
まとめ|工数管理の共有にはクラウド型ツールがおすすめ
本記事では、今すぐ利用いただけるExcel工数管理のテンプレートの紹介とともに、作成する際に注意すべき点などを網羅的に解説しました。
Excelの工数管理だけでなく、クラウド型ツールはプロジェクトの工数管理で便利なツールの一つです。データはクラウド上に保存され、リアルタイムに共有できます。さらに、場所や時間に制約されずにアクセスでき、リモートワークを導入している企業では円滑な情報共有ができるでしょう。
また、クラウド型ツールは高度なセキュリティ機能を備えているため、データの安全性も守られます。初心者でも使いやすい直感的な操作性のものもあるため、おすすめです。ぜひ検討してみてください。