「ベロシティという言葉をよく聞くが、いまいちよくわからない」「ベロシティを理解してプロジェクトを効率的に進めたい」「ベロシティとは何か把握した上でアジャイル開発の導入を検討したい」
といったことを考えている経営者やプロジェクトリーダーは多いのではないでしょうか?
プロジェクトを円滑に進めていく上ではチームの状態や進捗管理を把握することは不可欠です。また、システム開発においては顧客ニーズに対して柔軟に対応しながら作業を進めて行く必要があります。
そうした環境下において注目されているのがアジャイル開発という考え方であり、具体的な手法としてスクラムがあります。さらに、スクラムにおいて一つの重要なキーワードとなっているのが今回解説するベロシティです。
本記事ではベロシティについての基本的な概念を解説し、活用メリットや注意点、取り入れる際のポイントなどを説明していきます。
より効果的な活用ができるように、ベロシティへの理解を深めていきましょう。
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ベロシティとは?
まずはベロシティについての基本概念と活用目的を学んでいきましょう。
- ベロシティはアジャイル開発で利用される手法のこと
- ベロシティの目的
ベロシティはアジャイル開発で利用される指標のこと
ベロシティとはアジャイル開発で利用される指標のことです。ベロシティ=velocityは「速度」「速力」「速さ」を意味します。つまりベロシティは、プロジェクト管理における進捗管理やパフォーマンス管理を数値的に把握するのに役立つのです。
ベロシティの理解を深めるためには、「アジャイル開発」「スクラム」「ストーリーポイント」という3つのキーワードについても知っておく必要があります。
アジャイル開発とは、ソフトウェア開発などにおいて、反復的かつ段階的かつスピーディーに開発するためのアプローチ(考え方・価値観)を指します。短期間で素早く開発することで、変化に対して柔軟に対応できることから、近年開発現場で積極的に導入されています。短いサイクルでの開発と改善を繰り返すことで、市場ニーズや顧客ニーズに即応できる特徴があります。
スクラムはアジャイル開発の具体的な手法の一つです。スプリントといわれる短い期間(通常は1〜4週間)を設け、それぞれのスプリント内で設計・開発・テストを繰り返す手法です。プロダクトオーナー、スクラムマスター、開発チーム、ステークホルダーなど明確な役割分担を設け、プロジェクト開発にのぞみます。
ストリートポイントとは、スクラム開発における作業や複雑さなどを相対的に見積もる単位のことです。そして、そのストーリーポイント(作業量)の総数が、ベロシティです。
まとめると次の通りになります。
- アジャイル開発……開発の考え方や価値観
- スクラム……アジャイル開発の手法の一つ。スプリントは1〜4週間など短く区切られた期間のこと
- ストリートポイント……スクラムにおける作業の大きさを見積もる単位
- ベロシティ……ストーリーポイントの合計
このように、アジャイルの理念に基づきスクラムを実践する上で、ストーリーポイントとベロシティが重要な役割を果たすのです。4つの要素を理解し連携させることで、アジャイル開発をより効果的に行えるようになります。
ベロシティの目的
ベロシティは前述の通り、作業量や速度、複雑さなどを数値化したものです。つまりベロシティを活用することで、各作業の状況や進捗を可視化できるようになるのです。進行が遅れていたり、パフォーマンスが下がっている場合にはプロジェクトリーダーが介入することで改善できるようになります。
また数値化によって、リリース時期の予測を立てられるようになります。さらに、チームの能力に応じて、実態に即した目標設定も行えるようになるので、チーム全体の生産性向上にも寄与するのです。
プロジェクトリーダーは感覚的なプロジェクト管理ではなく、定量的な数値をもとに改善策が打てるようになるので、プロジェクトの成功につなげやすくなります。
※関連記事「アジャイルとは?革新的な開発手法やよくある誤解をわかりやすく解説」
※関連記事「スクラムとは?チーム力を最大化する核心原則を解説」
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ベロシティの活用方法3つ
実際にプロジェクトにアジャイル開発を導入し、ベロシティを活用する時には次のような方法があります。
- スプリントの参考値として活用する
- プロジェクト完了時期を予測する
- チームの状態を把握する
スプリントの参考値として活用する
ベロシティをスプリントの参考値として活用することで、過去のパフォーマンスをもとにした現実的な目標設定が可能になります。
アジャイル開発における一つの具体的な手法であるスクラムは、1〜4週間の短いスプリント期間を設け、設計・開発・テストを次々に行います。過去のスプリントで一定のベロシティが出ていれば、その値を基準に作業量を設定すればいいのです。リーダーが作業量を割り当てる際、過剰になったり、過小になったりすることがないので、人的リソースの最適化が可能になります。
プロジェクト完了時期を予測する
ベロシティの値からリリースまでにかかる総作業量が割り出せるので、プロジェクト完了時期が予測できます。
過去の実績をもとにするため、必ずしも100%正確に予測を立てられるわけではありません。しかし、ある程度根拠に基づいたスケジューリングが可能になります。
例えば、ストーリーポイント(作業量の目安の合計)が100で、チームのベロシティ(速度)が10ならば、10回のスプリント(1〜4週の期間)でプロジェクトが完了する試算です。スプリントが4週間であれば、40週でリリース可能という具体的な期間が割り出せることになります。
チームの状態を把握する
定期的にベロシティを計測することで、チームの状態を把握できます。例えば、スプリントを重ねるごとにベロシティが低下していく場合、チームのパフォーマンスに何らかの問題があることが考えられます。そのため、何らかの改善策を打つ必要があるのです。一方でベロシティが上昇している場合はチームの成熟度が高まっていることになります。
このように数値に基づいたパフォーマンスの計測は、チーム状態やメンバーの状態を把握できるので、改善につとめる良い機会になるのです。
ベロシティを活用する際の3つの注意点
ベロシティはプロジェクトを成功に導く上で効果的な指標です。ただし、次の3点は注意点として把握しておく必要があります。
- 直近のベロシティのみで判断しない
- ベロシティを上昇させることを目的としない
- ベロシティを評価対象にしない
直近のベロシティのみで判断しない
ベロシティは作業速度や作業量を測る指標ですが、直近のみのデータを参照すると判断を誤るリスクがあります。例えばチームのベロシティは一時的な理由や外部要因によって下がったり上がったりします。人員が多いときには上がりますが、少ないときには下がるといった単純な要因があったり、チームの生産性が下がってベロシティが落ちていることもあるでしょう。
正確なベロシティを把握するためには直近のみで判断せず、長期的なデータを参照することが大事です。一定期間の平均値を使うことで、問題が解消できるでしょう。
ベロシティを上昇させることを目的としない
ベロシティは作業予測のための参考指標なので、ベロシティの上昇を目的化してはいけません。ベロシティは作業の安定化や進捗管理に有効ですが、ベロシティを上げることを目的にすると、品質低下やメンバーの過重労働につながります。そうなると、プロジェクトの失敗やメンバーの生産性低下にも影響が出てきます。
ベロシティはあくまでもプロジェクト管理の指標として活用するのにとどめましょう。
ベロシティを評価対象にしない
ベロシティはチーム全体のパフォーマンス測定のために用いられるべきであり、個人の評価や報酬の基準として使用すべきではありません。
個人の評価を公正に行うためには、その他の指標や評価制度を導入するなど、別の仕組みを考えましょう。
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ベロシティを安定させるための3つのポイント
ベロシティを安定させるためのポイントは、次の3点です。
- タスクをできるだけ細分化する
- 定期的に見直しを行う
- タスク配分のバランスに気を配る
タスクをできるだけ細分化する
まずはタスクの細分化が重要です。ベロシティはスプリントごとのストリートポイントの合計なので、各スプリントにおけるタスクが処理できないと正確なストリートポイントが予測できません。
正確性を担保するためには、タスクを詳細に洗い出し、作業量やリスクを可視化しておくことが大事です。小さなタスクほど完了率が高いため、全体の予測精度が向上するというわけです。
定期的に見直しを行う
プロジェクトが進むごとに状況も変化するので、ベロシティの定期的な見直しも必須です。スプリントごとに見直しを行えば、不確定な要素を取り除けるため、ベロシティが安定化します。
タスクの追加やその他の要因(メンバーの増減や生産性の変化)など、問題点やリスクの早期発見と対応が行えるようになるため、プロジェクトの成功率が高まります。
タスク配分のバランスに気を配る
チームメンバーのタスク配分のバランスに気をつけて、作業量のムラを防止しましょう。メンバーのスキルや経験を考慮してタスクを最適に振り分けることで、ベロシティの安定化に寄与します。
逆に作業量が偏り、過剰なタスクを抱えている人は作業スピードに問題が生じてきます。そうなると、ベロシティが不安定になり、作業予測がズレてきます。また品質低下やミスの増加による、プロジェクトの遅れなども懸念されます。
リーダーやマネージャーは、数値化されたベロシティをもとにタスク配分の最適化に務めることで、進捗管理やクオリティコントロールが可能になるのです。
まとめ
本記事ではプロジェクトリーダーや経営者などに向けて、ベロシティの基本や活用メリット、注意点、安定化のためのポイントなどを解説しました。
システム開発やプロジェクト管理においてはメンバーのパフォーマンスの安定化や適切な進捗管理が不可欠です。またスケジュールの正確な予測や進行中のリスク対応なども、適切に行うことが求められます。
アジャイル開発における一つの有効な指標であるベロシティは、商品やサービスのリリース時期の予測に役立てられ、チームメンバーのパフォーマンスや課題の把握にも活用可能です。
プロジェクト責任者や経営者、マネージャー層がアジャイル開発の導入を考えている場合、本記事で紹介した、ストリートポイントやスクラムなど、関連する概念についても理解を深めておくことが重要です。ベロシティを実践の場で活用することで、プロジェクトを成功に導いていきましょう。


