「上司からアドバイスを受けたいが、お願いメールのマナーがよく分からない」「ビジネスシーンで使われる言葉の使い分けが苦手だ」「上司に怒られないようにしっかりとしたメール文面が作りたい」
など、社内メールの作成方法について、適切な知識を身につけたいと考えている社会人は多いのではないでしょうか。
目上の人に対しては、言葉の使い方やマナーを守ることが特に重要です。基本的なビジネスマナーに欠けていると相手を不快にさせてしまい、アドバイスを受けられないおそれがあります。
そこで今回は「ご助言」「ご教授」「ご教示」などの似たようなフレーズの使い分け、実際の業務で使える例文4選、NG言葉などを網羅的に解説していきます。特に、社会人経験が浅く、ビジネスシーンで使われる言葉について理解が浅いと感じている人は、ぜひ参考にしてみてください。
上司からアドバイスをもらいたいときに適切な言葉とは
上司や先輩に仕事のことを聞く時には、ビジネスマナーを守る必要があります。目上の人にアドバイスをもらいたい時には、失礼のないような表現を心がけましょう。
ここではビジネスシーンでよく使う表現を4つ紹介します。状況に合わせて、最適な言葉を選択しましょう。
- ご助言
- ご教授
- ご教示
- ご指導
「ご助言」
「ご助言」は具体的な意見やアドバイスが欲しい時に使う言葉です。例えば、仕事の進め方で悩んでいる時や、アイデア出しで行き詰まっている時に、経験豊富な上司に対して「〜のご助言をお願いいたします」などとして使います。
基本的に、「助言」は目上の人が目下の人にするものです。そのため、部下から上司に「〜についてご助言いたします」という使い方はNGです。
「ご教授」
「ご教授」は、上司から知識や技術を教えてもらう時に使用します。特に、仕事のノウハウや複雑な手法など、より専門性の高いアドバイスを受けたい時に使う言葉です。
例えば、新しい仕事を振られて仕事の進め方が分からない場合に、「本件の業務フローについてご教授いただけないでしょうか」といった感じで使います。
「ご教示」
「ご教示」はどちらかといえば簡単なオペレーションや手続きなどについて教わる時に使う言葉です。「ご教授」がより専門的な内容で、「ご教示」は一般的な内容です。
また仕事のやり方以外にも、日程やファイルの保存場所など、比較的簡単なことを聞く際にも使います。
例えば、「次の定例会議の日程を教えてください」よりも、「次の定例会議の日程をご教示いただけますでしょうか」のほうが丁寧な表現になります。
「ご指導」
「ご指導」は上司に対して、目標に向かって導いてもらう際に使う言葉です。基本的には社内の目上の人に対して使用する言葉なので、社外の人には使いません。
通常は、目標達成に向けて、アドバイスや指導・教育をしてもらいたい時に使用します。具体的なことがらへの指導というよりも、ビジネスパーソンとしての成長をサポートしてもらいたいときに使う定型的なフレーズといえるでしょう。
上司からアドバイスが欲しい時のメールの例文4選
ここでは上司からアドバイスがほしい時に使えるメールの例文を紹介します。次の4つを覚えておけば、さまざまシーンで使い回せるでしょう。
- 担当している案件についてアドバイスが欲しい場合の例文
- 技術や知識を教えてもらう場合の例文
- 書類の書き方が分からず教えてもらう場合の例文
- これからマンツーマンで仕事を教えてもらう場合の例文
担当している案件についてアドバイスが欲しい場合の例文
<例文>
- 〇〇案件について、一度〇〇部長にお時間を頂戴し、ご助言いただきたいのですがいかがでしょうか?
- ぜひ〇〇部長から〇〇案件についてのご助言をいただければ幸いです。
- 〇〇案件に関する〇〇戦略についてのご助言を伺いたく、お手すきの際にお話をお聞かせください。
- 提案資料の精度向上に向けて、ご助言を拝聴したいと考えております。
案件に対する客観的な意見や、過去に同案件を担当していた上司に意見を聞きたい時に使える例文です。
技術や知識を教えてもらう場合の例文
<例文>
- 営業のクロージングスキルを学びたいので、ぜひ〇〇部長の手法をご教授くださいませ。
- プロジェクト管理の方法に悩んでいるので、〇〇部長が実践している方法をご教授ください。
- リーダーシップスキルの向上を目指しているので、ぜひ習得方法のご教授をお願いします。
「ご教授」は具体的な手法やノウハウを教えてほしい時に使うフレーズです。専門的なスキルや知識を教わりたい背景や理由を述べてから、「ご教授」をお願いするのが基本です。
書類の書き方が分からず教えてもらう場合の例文
<例文>
- 契約書の作成方法について、ご教示をお願いいたします。
- 報告書のフォーマットデータの保存場所をご教示いただけないでしょうか。
- 営業提案書の作成に際して、重要なポイントをご教示いただければ幸いです。
「ご教示」は、簡単な知識や一般的な知識を教わりたい時に使うフレーズです。端的に、何が知りたいのかを伝えることが重要です。
これからマンツーマンで仕事を教えてもらう場合の例文
<例文>
- これから〇〇プロジェクトに参画するので、ぜひご指導のほどお願い申し上げます。
- 早く一人前になれるように努力いたしますので、ご指導いただけましたら幸いです。
- 本日はありがとうございました。明日からも厳しくご指導ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
「ご指導」は、今後も引き続きアドバイスをもらいたい場合に使うフレーズです。社会人としての成長を助けてもらいたい、目標やゴールを達成するための教育をお願いしたい場合などに使いましょう。
アドバイスをもらいたいときのNG言葉3選
ビジネスシーンで使うフレーズに慣れていない場合、間違った表現を使ってしまうケースもあります。不適切な言葉を使用すると、上司からのサポートが得られない可能性もあります。次に紹介する3つは、特に注意しましょう。
- 「アドバイス下さい」
- 「ご尽力」
- 「ご助力」
「アドバイス下さい」
上司に対して、「アドバイス下さい」というのは直球過ぎて失礼にあたります。砕けた表現が通じる関係性もあるかもしれませんが、社会人としてのマナーを守るためにもより丁寧な表現を心がけましょう。
先に紹介した「ご助言」「ご教授」「ご教示」「ご指導」はもちろん、「アドバイスをいただけないでしょうか?」など、謙譲語・丁寧語を使った表現も有効です。
上司との関係性をしっかりと見極めて、正しいフレーズを選択しましょう。
「ご尽力」
「尽力」は「自分が力を尽くす」という意味です。通常は「尽力いたします」「尽力する所存です」といった場面で使用し、主語は自分です。そのため、上司への依頼で、「ご尽力お願いします」「尽力のほどよろしくお願いします」などとして使用するのはNGです。
また過去の行為に対しては使用しません。「本件について、十分尽力して参りました」という過去形はNGです。
「ご助力」
「ご助力」も上司への依頼メールではあまり使いません。アドバイスを求めるというよりも、直接的な手助けを求めるニュアンスになります。特に、「ご助力をお願いいたします」というように使うと、「上司にやってもらうニュアンス」が強くなるので注意しましょう。
上司からアドバイスをもらった場合にやるべきこと
上司からアドバイスをもらった場合にすべきことは次の2点です。
- すぐに感謝の意を表す
- 感謝メールで使ってはいけない言葉に注意
すぐに感謝の意を表す
上司からアドバイスを受けたり、指導してもらった時にはすぐに感謝の意を表しましょう。対面でもチャットやメールでも構わないので、なるべく迅速に御礼を言うのがポイントです。その際には、アドバイスによってどのように成果を挙げたかを添えることも大事です。
例えば、営業手法についてアドバイスを受けたのであれば、「〇〇部長のアドバイスによって新規受注につなげられました。ありがとうございました」といった言葉を送ることで、相手も安心します。
また次に同じような機会があれば、貴重な時間を割いてくれるでしょう。感謝の気持ちを表すことで、上司と部下の関係性がこれまで以上に良好になるのです。
感謝メールで使ってはいけない言葉に注意
感謝のメールでは、「ご助言ありがとうございました」という言い方はしません。基本的には、「ご助言」は依頼する時に使用します。
例えば、「〇〇について、部長のご助言を賜りたくお願い申し上げます」「〇〇について、ご助言いただけますでしょうか」などが通常の使い方です。
細かいことですが、感謝のメールでも気を抜かず、正しい日本語を使用するようにしましょう。
まとめ
今回は、上司にアドバイスを求める際のマナーや文例などについて解説しました。仕事をする上では、分からないことを上司や先輩に聞くことはよくあります。メールやチャットなどのテキストベースで依頼や問い合わせをする時には、目上の人に失礼のないような文章を作成する必要があります。
特に、「ご助言」「ご教授」「ご教示」「ご指導」などは、似たようなフレーズのため使い分けが難しいでしょう。何気なく使っていると、年上の上司を不快にさせてしまうおそれもあります。一方で、丁寧かつ適切な文章で依頼メールを送ることができれば、上司や先輩は快くアドバイスを送ってくれるでしょう。
本記事で取り上げた例文をうまく使えば、仕事の成果を向上させるだけでなく上司と良好な関係を築くこともできるはずです。新入社員の皆さんは基本的なビジネスマナーを学び、業務に生かしていきましょう。