在宅勤務の普及や業務効率化の必要性などを受けて、社内wikiの重要性が高まっています。社内wikiを導入することで、リアルタイムでの情報共有が可能になり、属人化の防止にも役立ちます。一方、社内wikiの導入を検討しているものの、定着しないまま使われなくなることを危惧している人もいるかもしれません。
本記事では、社内wikiの導入担当者に向けてメリットを整理し、注意点についても解説していきます。また運用を成功させるための4つのポイントもあわせて紹介するので、導入を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
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社内wikiが求められる背景とは?
まずはビジネスシーンで社内wikiが必要とされている背景を解説していきます。背景として、主に次の2つが挙げられます。
- 引継ぎなどでの情報の共有がしにくい
- 新人への教育に時間をさけない
引継ぎなどでの情報の共有がしにくい
1つ目の背景は、引継ぎなどを行う際に情報共有がしづらいという点です。
近年は、働き方や労働感の多様化など、さまざまな理由によって人材の流動化が活発化しています。勤続年数の長い人材が離職したり、新たな人材が次々に入社してくるケースも少なくないでしょう。また在宅勤務の普及によって、新入社員が一度もチームのメンバーと対面で顔を合わせないまま業務をスタートさせるということも起こりえます。
社内情報が整理されていない場合には、一からマニュアルを作成して、新任の担当者や新入社員に紙媒体を配布したりメールやチャットなどを使ってデータを共有することになります。そうなると資料作成の手間や連絡に時間がかかり、円滑な情報共有がしづらくなります。
社内wikiが整備されていれば、マニュアルや可視化された業務フローチャートを確認することで仕事の全体像を素早く把握できます。また遠隔地で仕事をしている場合にも、社内wikiにアクセスすることで簡単に情報を入手でき、わからないことを自力で解決できるようになるでしょう。
新人への教育に時間をさけない
2つ目の背景は、新人教育に十分な時間が割けないという点です。
労働力人口の減少により、日本企業の多くは人手不足に陥っています。人的リソースが足りないために、既存社員の業務負担が増大しており、仮に新たな人材が加わっても教育に時間がさけないという現状があります。
仕事の進め方ややり方などを適切に伝えられない場合、新入社員が孤立する可能性があるでしょう。そうした組織では、社員の定着率が下がり、新規獲得した人材もまたすぐに離職してしまうという懸念があります。
社内wikiに、ナレッジやノウハウ、資料のテンプレートをまとめ、それを使って教育することで限られた時間でも伝達が可能になります。また新入社員もマニュアルや社内ルールが記載されたドキュメントを確認するなどして、自発的に学ぶことも可能となります。
社内wikiの4つのメリット
社内wikiの導入には多くのメリットがあります。ここでは下記4点に絞って解説していきましょう。
- 社内の情報を一か所にまとめて管理できる
- 情報を共有しやすい
- 情報の属人化を防止でき暗黙知を減らせる
- 社内教育の効率化
社内の情報を一か所にまとめて管理できる
社内wikiを導入することで、情報の一括管理が可能になります。
通常、社内には紙媒体の情報からデータ化された情報までさまざまなものが散在しています。データとして残っている情報も、ローカルフォルダや共有フォルダなどに分散しているケースが多いでしょう。
社内wikiを活用して、運用ルールを定めれば、情報を一か所にまとめて効率的な管理ができます。マニュアルや報告書、提案資料など、用途ごとに保管するフォルダを決めて、いつ誰がどのように社内wikiに投稿するかも明確化すれば、ユーザーにとっての利便性が向上するでしょう。
情報を共有しやすい
社内wikiによってスムーズな情報共有が可能になるため、組織の業務効率化にも貢献するでしょう。
有益なナレッジやノウハウを社内wikiに集約することで、リモート環境でも活用できます。日報や議事録などを作成するときに、テンプレートを流用できれば作業効率も上がるでしょう。
また過去に成果につながった提案資料を参考にできれば、受注確度を高めることもできるはずです。他にも自社の成功事例をまとめて共有することで、仕事へのモチベーションアップにつなげることもできます。
さらに、情報共有が容易になるだけでなく、情報の検索性が向上する点もメリットの一つです。キーワードやタグで検索をかけることで、マニュアルやテンプレートを検索したり、業務で直面している課題の解決策などが発見できたりするでしょう。
業務の属人化を防止でき暗黙知を減らせる
社内wikiは属人化防止の効果も期待でき、暗黙知を減らせるでしょう。
属人化とは、ある業務のやり方や進捗について、特定の社員しか把握していないことを指します。業務の属人化を放置していると、仮にその人が離職したり休んでしまうと、仕事が回らなくなります。
また、経験や勘などによって行われる業務や、言語化されていないスキルや知識も属人化につながります。こうした暗黙知を社内wikiにまとめることで、形式知へと変換することが重要です。形式知を共有することで、チーム全体のスキルや知識の平準化が図れます。
社内教育の効率化
社内wikiを活用することで、新入社員教育や異動してきた社員への教育も効率化が可能となります。
仕事を教えることは、教育担当者にとって一時的に大きな負担となることもあります。通常業務をこなしながら新人に一から仕事を教えるためには、資料を作ったり、別途研修時間を確保したりしなければなりません。
また、業務に関することだけでなく、社内や部内の基本的なルールについてもレクチャーする必要があります。
例えば社内wikiにマニュアルや規則などをアップしておけば、新入社員はそれをみて一通りのことが学べます。ある程度前提となる知識を蓄積しておけば、その後は理解の薄い部分やわからないことを補足する形で研修や講習を行うことで、大幅に時間を節約できます。結果、教育担当者の負担軽減や教育コストの削減にも寄与するでしょう。
社内wikiを導入するときの注意点
社内wikiは属人化の解消や業務効率化などのメリットがある反面、運用に失敗すると想定した効果を得られない可能性もあります。導入に際しては、下記2つの注意点に気をつけましょう。
- 社内全体に浸透させるのが難しい
- ツールの使い方が分かりにくいことがある
社内全体に浸透させるのが難しい
社内wikiは、定着化が難しいツールの一つといえます。導入したものの、社員に浸透せず、使われなくなったというケースも起こりがちです。
社内wikiを有効活用するためにはある程度の情報の蓄積が必要です。そのためには自発的な投稿と情報の更新が必須となります。運用管理者がツールの導入を全社に通知し、積極的に使ってもらえるような環境や仕組みを構築しなくてはなりません。
例えば、新規投稿や更新があったらチャットで通知したり、投稿者を評価する制度を導入するのも効果的でしょう。
新しいツールが導入された場合には積極的に使う社員と、ITツールの活用が苦手などの理由であまり使わなくなる社員に二極化する可能性もあります。特定の社員のみが活用しているだけでは、組織全体のパフォーマンスの最大化は期待できず、属人化がさらに進むリスクもあります。
消極的なグループには研修の機会を別途設けたり、ツールを活用した成功事例を共有するなどの工夫が必要になります。しっかりとした使い方を習得した上で、社内wikiのメリットや効果が実感できれば、ツールの定着化につながるはずです。
ツールの使い方が分かりにくいことがある
社内wikiはさまざまなベンダーが提供しており、価格や機能などのスペックはもちろん使い勝手やデザインも千差万別です。
中には多機能過ぎて使いこなしづらかったり、そもそもログイン方法や投稿方法がわかりづらいツールもあるでしょう。有益な情報やノウハウを持っていても、ツールに投稿し蓄積されなければ意味がありません。
ITリテラシーによらず、誰でも直感的に使えるわかりやすいUIを重視しているツールを導入することを意識してみましょう。あわせて、導入前の研修や導入後のフォロー体制も考えておく必要があります。ベンダーによっては、手厚いサポートを提供している会社もあるので確認して比較検討すると良いでしょう。
社内wikiを導入する際の4つのポイント
社内wikiの導入に失敗しないためには、次の4つのポイントを押さえて運用しましょう。
- 社内全体で活用できるようにする
- 目的を社内全体で明確化する
- 環境を整備する
- 情報を一か所にまとめる
社内全体で活用できるようにする
社内wikiの定着化を図るためには、すべての社員が使えるような仕組みやルールを構築する必要があります。
使いやすいツールの導入はもちろんですが、投稿や更新ルールを周知させることも重要です。どのような情報をどのタイミングで投稿すれば良いのかがわからないと、活用が促進されないでしょう。またフォルダ分けやタグの付け方も明確に決め、社員ごとに独自のルールで運用しないように、管理者がしっかりとチェックすることも大事です。
働き方の多様化が進み、社員によってオフィスや自宅、コワーキングスペースなど、働き場所が異なるケースが考えられます。また、使うデバイスもパソコン、タブレット、スマートフォンなど多岐にわたります。どこからでも情報にアクセスでき、どの端末でも閲覧・編集ができるようなツールを使うことが大切です。
目的を社内全体で明確化する
社内wikiを導入する目的やメリットを明確化し、全社に共有しましょう。
社員は、新しいツールの導入に拒否反応を示したり、業務フローの変更に戸惑う可能性もあります。特に、何のために社内wikiを使うのかが不明確な場合には、ツールを使う意義が見出せなくなります。そうなると、使われなくなるリスクが高まります。
社内wikiの導入目的は、「教育コストの削減」「属人化の防止」「業務効率化」「コミュニケーション強化」などさまざまです。まずは、現状で自社が直面している課題を洗い出し、社内wikiによって何を解決したいかをはっきりさせましょう。
積極的にツールを活用しようというモチベーションにつなげるためにも、目的や得られるメリットをしっかりと示すことが重要になるのです。
環境を整備する
ツールの導入を成功させるためには、テンプレートを作ったり、ツールを統一することも必要になります。
自分が持っているノウハウやナレッジを投稿する際、間違った情報を投稿してしまったり、必要な情報が記入できていなかったりするのではないか、といった不安を抱く可能性があります。
そうならないためにも、最初にテンプレートを作り、投稿すべき項目が誰でもわかるようにしておきましょう。
またすでにいくつかの社内wikiを導入していて、部署ごとにツールが異なる場合には一つにまとめたほうが良いでしょう。運用ルールや投稿内容の粒度が異なると、利活用の阻害要因になりかねません。
運用責任者や運用チームは、タグやフォルダ、タイトルなど、統一事項をまとめて、社員に遵守してもらうように通達する必要があるでしょう。
情報の一元管理を進める
社内wikiを導入する場合には、情報をまとめて一元管理しましょう。
多くの企業では、複数のITツールを活用して業務を行っているでしょう。チャットやメール、オンラインストレージ、NAS(Network Attached Storageの略、ネットワーク対応HDDのこと)、社内のファイルサーバーなど、さまざまな方法でデータを共有しているために、必要な時に必要なデータを参照できないという課題に直面している組織も多いかもしれません。
そうならないためにも、できる限り情報は社内wikiにまとめるなど、一元管理を推進すると良いでしょう。すでに分散しているデータや紙ベースの情報などを、すぐに一か所にまとめることは難しいかもしれません。
まずは可能な部分から社内wikiに情報を統合するなど、情報管理の方針を定めることが重要です。
まとめ
本記事では、社内wikiが必要とされている背景や導入メリットなどを解説してきました。また導入時の注意点や、成功のためのポイントなどもあわせて紹介しました。
現状でナレッジやノウハウの管理ができておらず、業務の非効率化や教育コストの増大といった課題に直面している企業もあるかもしれません。社内wikiを導入し、うまく活用できれば業務効率化やコスト削減だけでなく、業務の属人化なども解消できる可能性があります。
ただし、社内wikiは導入に失敗してしまうケースが多いのも事実です。ここで紹介したように、導入目的の明確化や環境を整備することで、失敗の回避につなげることができるでしょう。
ツールの選定に際しては、スペック面だけでなく、社員にとって使いやすいものを選ぶことが重要です。導入することが目的ではなく、継続的に活用できるように工夫する必要があります。全社で社内wikiを積極的に使い、ナレッジやノウハウを共有する文化を醸成していきましょう。