行動科学やヘルスビッグデータの解析、テクノロジーを駆使して「予防医療のインフラ」を目指すキャンサースキャンの事例

ミッションは「マーケティングとテクノロジーで人と社会を健康にする」。

今回は、最新のデータテクノロジーを活用して、自治体による特定健診・特定保健指導の受診率/実施率向上など、人々の医療に対する行動変容を促す事業を展開するキャンサースキャンに、Qiita Team活用のポイントを伺いました。

サマリー

ポイント

  • 事業の急速な拡大に伴い、属人的な連携から組織知識を整備する必要が生じてQiita Teamを導入。
  • 社内メンバーの、今まで知らなかったような活動内容が見える化され、社内問い合わせの手間や工数を大きく削減。

目次

  • 予防医療の浸透に向けて、人々の行動変容を促す
  • 500弱の自治体に提供する予防医療プロジェクト支援
  • 社内業務マニュアル管理のためにQiita Teamを導入
  • 「人と社会を健康にする」ミッションに向けて
  • 色んなメンバーの、今まで知らなかったような活動がわかるように
  • 情報流通のハードルをいかに下げて設計できるかがポイント

今回インタビューに答えていただいた皆さま

辻尭裕(つじ たかひろ)Takahiro Tsuji
株式会社キャンサースキャン
データエンジニアリング事業本部 マネージャー
松谷拓弥(まつや たくみ)Takumi Matsuya
株式会社キャンサースキャン
データエンジニアリング事業本部 アナリティクスチーム プロジェクトリーダー
横田貴仁(よこた たかひと)Takahito Yokota
株式会社キャンサースキャン
データエンジニアリング事業本部 データアーキテクトチーム

予防医療の浸透に向けて、人々の行動変容を促す

ーーQiita Team

まずは御社の事業内容について教えてください。行動科学やヘルスビッグデータの解析、テクノロジーで予防医療への行動変容を促す、とはどういうことなのでしょうか?

ーー辻

少し、創業の経緯からお話いたします。

当社は、創業者である代表の福吉が、日本人によるがん検診受診率が非常に低いことに課題を感じて立ち上げた会社です。がんという病気は、早期発見がカギです。がん検診は、がんの早期発見に対して非常に有効な手段なのですが、多くの人は大した理由もなく受診していません。

これに対して当社が着目していることが「行動変容」です。予防には行動が大事になります。ヘルスケア領域において、人々に良いとされている行動をいかに促すか、ということを生業にしています。

がん検診に限らず、例えば定期健診の受診率は、どれくらいかご存知ですか?

ーーQiita Team

会社からちゃんと案内がきて、受診予約をしないと催促もくるので、7〜8割といったところでしょうか?

ーー辻

確かに会社に所属されている方だとほぼ100%に近い受診率です。でも、例えば国民健康保険だけに加入している、すでにリタイアされた方だとガクッと落ちます。60代で40%くらいしか受診していません。

ーーQiita Team

より受診すべき年齢の方々が受けれていないという、逆転現象が起きているわけですね。

ーー辻

例えば4割の方が受診したとして、治療が必要な状態であることがわかったとしても、そこから実際に治療へと進む方はさらに少なくなり、結果として悪化してしまうことになります。例えば人工透析などは年間で400〜500万円前後の医療費がかかるものなので、金額的にもQOL的にも、いかに予防するかが大切だということです。

ーーQiita Team

なるほど。

ーー辻

そんな課題背景から、当社では対象者一人ひとりのデータを活用してソーシャルマーケティングと行動科学を結びつけ、人々の行動変容を促すことを目指しています。

500弱の自治体に提供する予防医療プロジェクト支援

ーーQiita Team

どのように行動変容を促すのでしょうか?

ーー辻

当社には2つの柱があります。

予防医療プロジェクト支援とヘルスデータ分析です。

私たちはこの両方を担当しているのですが、そこではAIを駆使した各種予測モデルの構築や、健診受診勧奨事業の最適化など、国民のヘルスデータを活用した高度なソーシャルマーケティング支援を行なっています。

ーーQiita Team

難しそうですね。具体的にはどんな内容でしょうか?

ーー辻

例えば自治体では、先述の健診受診率を向上させるため、受診勧奨のDMを対象者に送付するという健診受診勧奨事業を行なっています。これまでのように同じ内容のチラシやハガキを一気に送付するのではなく、対象者のデータを元にセグメント分けをして、それぞれに合わせて文言や画像を変えたものを送るわけです。

そして、送りっぱなしではなく、きちんと効果検証もする。

対象者のセグメントにもよりますが変更前と変更後で数倍の受診率向上が現れたりするところもあります。

ーーQiita Team

それはすごいですね。皆さまはそれぞれ、どのようなお仕事を担当されているのでしょうか?

ーー辻

松谷がいるアナリティクスチームは、患者に対する介入事業の分析業務など、横田がいるデータアーキテクトチームは分析に先立つデータ処理周りを担当しています。また、この2チームの他に、パブリックヘルスチームという、疫学や公衆衛生の専門家、元自治体保健師など、公衆衛生の知識が豊富な人が揃っているチームがあります。計3チームということです。

ーーQiita Team

先ほどの検診受診勧奨事業について、導入自治体数はどれくらいでしょうか?

ーー辻

500弱ですね。

ーーQiita Team

全自治体数が1,700程度なので、およそ3〜4に1つの自治体が、貴社のサービスを使っているわけですね。

ーー辻

当社のミッションが「人と社会を健康にする」なのですが、これを実現するためには、サービスの継続的な改善はもちろんのこと、きちんとした品質での事業実施が重要になります。そのためにはマニュアルの整備が必要不可欠で、このマニュアルを管理するために、Qiita Teamのプラットフォームを使っています。

社内業務マニュアル管理のためにQiita Teamを導入

ーーQiita Team

マニュアルとのことですが、具体的にはどのような内容でしょうか?

ーー辻

本当に様々なのですが、例えば先ほどお伝えした健診受診勧奨事業向けでしたら、DM発送のフローマニュアルや、印刷会社への入稿の仕方およびチェックリストなどです。また、どのような方を対象者に含め、どのような方を除くのか、といった判断も重要なノウハウの一つです。

ーーQiita Team

具体的な社内業務オペレーションマニュアルということですね。Qiita Teamを使い始めたのはいつからでしょうか?

ーー辻

2018年11月です。導入の目的は、メンバーの増加に伴っての情報共有の仕組み化でした。

4年前までは当社従業員が20名程度だったので、情報共有を一種の“阿吽の呼吸”で行なっていても、業務がまわっていました。でも現在は80人程度にまで拡大しており、それも難しくなっていきました。

もともとはメッセンジャーを使っていたのですが、情報のタイムリー性としては良いものの、どんどんとタイムラインで流れていってしまうので、検索性の観点で職人技が必要だったわけです。案件数も増え、人も増えていくなかで、日々新たに加わる知識を組織的に蓄積し活用する必要が生じて、ちゃんとした専用ツールを入れるべきと判断し、Qiita Team導入に至りました。

ーーQiita Team

どなたがどのようにツールを選定されたのですか?

ーー辻

主に私です。実際に見たり触ったりして、ビジネスサイドでもハードルが低くて使いやすいとの理由でQiita Teamにしました。

ーーQiita Team

Qiita Teamを導入して課題や問題を解決するために、どんな施策を行いましたか?

ーー辻

最初に試用期間があったのですが、そこで中身が空っぽだと誰も触らないでしょうから、私の方で、問い合わせの回答例だったりデータセットでわかることなど、サンプルとなるマニュアルをかなり多めに投稿していきました。

ーーQiita Team

投稿する文化を作るのに苦労されているユーザー企業も多いのですが、その辺りはどうされたのでしょう?

ーー辻

おっしゃる通り投稿自体にハードルがあって、「ちゃんとしたものを投稿しなければならない」という気持ちがどうしても発生するようでした。

だからこそ、「情報がないよりは良いし、間違っていたら変えればいい」というアナウンスのもとで、地道に社内文化を作っていった形になりますね。

「人と社会を健康にする」ミッションに向けて

ーーQiita Team

お二人は実際に、どのような用途でQiita Teamを使っていらっしゃいますか?

ーー松谷

私たちアナリティクスチームは人々のヘルスデータを扱っているのですが、健診や医療のデータがどういうものなのかだったり、分析事業って具体的に何をやっているのかなど、なかなか分かりにくい領域なので、社内でも理解が促進されるように業務内容の共有に関する投稿をしています。

また、新入社員向けの部署紹介記事なんかも、書いています。

ーー横田

データアーキテクトチームでは、特定健診のデータ処理のオペレーションをはじめ、分析の基盤づくりやプロセス設計を行なっています。

データ側のフローや細かい定義、DMを送る際の裏のアルゴリズムの仕様など、こちらも分かりにくい領域なので、例えばマーケティングチームの人でもわかりやすいように説明するような記事を投稿しています。

ーーQiita Team

ありがとうございます。実際にQiita Teamを導入されてみて、どのような効果がありましたか?

ーー辻

まず、当初想定していた「情報が流れていってしまう」という問題は改善されました。何か問い合わせがあった際に、ちょっとQiita Teamを調べればわかることが増えたので、本当に重要な問題に対応できる時間が増えました。

当社が掲げるバリューの一つに「Stay true to science(科学に忠実に)」というものがあります。本当に効果があることをやっていこう、ということで、会社としても、なぜその事業をやるのか?本当に効果が出るのか?という問いと根拠の確認を重要視しています。

色んなメンバーの、今まで知らなかったような活動がわかるように

ーーQiita Team

実際にQiita Teamが役立ったケースは、どんなことがありますか?

ーー松谷

何かわからないことがあった場合、Qiita Team導入前はその分野に詳しいメンバーに聞きに行く必要があったのですが、導入後は「まず調べる」という形になりましたね。

あと投稿する側としても、問い合わせが来るごとに都度教えるのでなく、「Qiita Teamのこの記事を読んでおいて」という風に、簡略的に回答ができるようになり、今でもそれを目的に色々と書いています。

ーー横田

特定健診の事業は、それこそ多くの人が介在して成り立っているものです。

例えば新着情報としてマーケティングチームが書いた記事も上がってくるので、彼らがお客様に対してどんなことに気を遣っていて、どんなオペレーションを行なっているのかを、それぞれのポイントを知ることができています。

その上で、データチームからはどんな手助けができるんだろうと。Qiita Teamのおかげで分かりやすくなりました。

色んなメンバーの、今まで知らなかったような活動がわかるようになったことが、一番大きいですね。

ーー松谷

自分の知っている情報って、自分の中では当たり前なんですよね。

その価値に気づけないけど、Qiita Teamに投稿してみて反応が多いと、それがモチベーションにもなりますね。

ーーQiita Team

逆に、課題としては何がありますか?

ーー辻

一番は、情報の新陳代謝ですね。

せっかく良い情報が投稿されていても、古い情報が混じっていると、「この情報って最新で正しいもの?」という風に、結局は人に確認するオペレーションが発生してしまいます。結果、それがフリクションになって使われなくなる可能性もあるわけです。

投稿による情報量が増えているからこそ、この辺りの仕組み化が必要だと感じています。

ーーQiita Team

なるほど。

ーー辻

あともう一つ、往々にして、情報を持っている人はその価値に気付いていない場合が多いので、どんな情報が社内で必要とされているか?がわかると「あ、これは価値がある情報で共有した方が良いな」となるので、どんな投稿にニーズがあるのか、情報の受け手からのリクエストなどあるとさらに盛り上がれるかもしれないなと感じています。

情報流通のハードルをいかに下げて設計できるかがポイント

ーーQiita Team

最後に、同じような課題を抱えている方や、Qiita Teamの導入を考えている方へ導入のコツやポイントなどのアドバイスをお願いします。

ーー松谷

まずは使ってみないとわからないと思うのですが、トライアル期間も設定されているので、情報共有の一端を構築したいのであればオススメで、色々な使い方ができると思います。

ーー横田

Markdownで簡単に書けるので、まずは実際に試してみて、社内で浸透するようならば本格導入すると良いと思います。

ーー辻

情報を出したりアクセスしたりすることは、色々なハードルがあると思うのですが、それをいかに低く設計できるかが、みんなに使ってもらえるかのカギになると思います。

そういうカルチャーを作っていくことが、Qiita Team導入の要だと思います。

編集後記

キャンサースキャンは、予防医療のマーケティング分析に止まらず、実際に人々の行動変容を起こしてもらうとこまでを含めて事業の「価値」と捉えています。医療や健康という重要な事業領域のため、対象者のチェックやDMの送付など、丁寧かつ間違いがないオペレーションが求められます。

そんなキャンサースキャンの社内オペレーション潤滑油としてQiita Teamが機能できていることは、非常に光栄なことです。ぜひ今後、次なる課題として掲げられていた「情報の新陳代謝」に対する仕組み構築についても、期待したいと思います。

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