近年、DXという言葉を耳にするようになりました。
なんとなく聞いたことがあるものの、「DXって何?」「企業がDXを進めてどうなるの?」「これまでのIT化とはどう違うの?」という疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、DXやそれに関連する言葉の意味や、企業がDXを推進する意味と意義についてご紹介します。
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DX(デジタルトランスフォーメーション)の意味
DXとは、正式名称を「デジタルトランスフォーメーション」と言います。日本語では「デジタルの変革」と訳します。
具体的には、ITの進化によって新しいサービスやビジネスモデルを生み出し、展開することで、コストの削減・働き方改革・社会全体の変革につながる施策の総称を意味します。
また、DXとともに語られることの多いのが「デジタイゼーション」と「デジタライゼーション」です。
どちらもデジタル化と訳すことはできますが、DXとはまた違った意味を持ちます。
それぞれ何が違うのか、ご説明します。
デジタイゼーション・デジタライゼーションの意味
まずはデジタイゼーションについて。
デジタイゼーションとは、ある業務工程におけるアナログ情報の部分的なデジタル情報への置換を示します。例えば、紙の書籍を電子書籍にする、紙ベースの書類をPDF化するといったことが挙げられます。手作業で行っていた実績集計作業を、RPAといってボタン1つ押すだけで人の手をほとんど動かさずに作業が完結するシステムを使用することも、デジタイゼーションの一つといえます。
次にデジタライゼーションとは、自社内外に関係するプロセス全般をデジタル化することです。例えば、レンタルビデオ屋でDVDを貸していた会社がストリーミングサービス(インターネットで動画が見られるサービス)を始める、車を売っていた会社がカーシェアを始めるといったことが挙げられます。
ここまで、DXとそれに関連するデジタイゼーション・デジタライゼーションの意味について解説してきました。
確かにデジタル化は、プライベートでも仕事でも人々の生活を便利にします。しかし、何故この数年で「DX」という言葉が浸透し始めたのでしょうか。そこには、経済産業省が公開した「DXレポート」が絡んでいます。
経済産業省「DXレポート」の衝撃
経済産業省の「DXレポート」とは何かというと、DXを推進しないと、日本の既存システムでは世界で生き残ることができない、敗者になってしまうと警鐘を鳴らしたものです。
具体的には、企業がDXを進めることができないと、2025年〜2030年に年間最大12兆円の損失が発生する可能性があると書かれています。
何故そんな莫大な損失が出る可能性があるかと言うと、今あるITシステムやデータが複雑化・ブラックボックス化しており、新しいビジネスモデルや顧客体験を生み出す足かせになっているという問題があるからです。
この問題を放置してしまうと、ベンダーやユーザーに弊害が起こるとされています。
弊害の内容は、
・データ化されたものの、活用しきれずデジタル競争の敗者になる可能性
・災害、システムトラブルによるデータ流出の可能性
・技術の保守や運用に割く人材が不足する可能性
などが挙げられます。
企業がDXを進める意味と意義
上記のような弊害を前提に、企業がDXを進める意味と意義は一体どこにあるのでしょうか。以下、3つのメリットについてご紹介します。
生産性の向上
1つ目は、生産性の向上です。
DXを進めることで、これまで手作業で行ってきた業務が自動化されることで業務効率が上がり、実は不要だったプロセスも見えてきます。
また、業務の流れを短縮・必要な人員の見直しなども進むことで、その分の時間や手間をデータ活用や分析にまわして事業に活かすことが可能になります。
レガシーシステムの刷新
2つ目は、レガシーシステムの刷新です。
レガシーシステムを簡単に言うと、複雑化・ブラックボックス化して問題を抱えている古いシステムのことです。
膨大な顧客データを集めていても、データの見える化やマーケティング・製品開発に生かせる仕組みが無い状態では、そのデータに価値はありません。
ユーザー属性・行動・検索キーワードなどのデータを分析することで、顧客や消費者のニーズに沿った集客やサービスの改善をすることが可能になります。
BCP対応
最後3つ目は、BCP対応です。
BCPとは、事業継続計画と言って、災害などの緊急事態時に損害を最小限に抑え、事業の継続・復旧を図る計画を意味します。
特にコロナ後、製造や物流業界ではDXを前倒しして行い、AIの活用や人員削減、倉庫のオペレーション変革を進める動きが見られました。
DXの意味は社会全体の変革
DXの意味について、これまでなんとなく分かるようなわからないような、と思っていた方もクリアになりましたでしょうか。
DXを進めると、企業のビジネスモデルだけでなく人々の暮らしにまで影響を与えます。そして、このような新しいシステム基盤の導入には、莫大な予算と時間を要するのも事実です。
経済産業省のDXレポートが示す2025年まであと残りわずかなので、取り入れられるところからDXの推進を始めていきましょう。