「マニュアル作成のコツを知りたい」
「マニュアル作成のコツを知って、業務に活かしたい」
初めてマニュアル作成を担当することになった社員の中には、思い描いていた通りのマニュアルが作成できず、悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
マニュアル作成は、読み手の目線に立って、使いやすさを意識することが重要となります。
またコツを押さえて運用することで、作業メンバー全員が同じ方法や手順で業務を遂行できるようになり、どの社員であっても同程度の業務を長期的に利用できるようになります。
そこで本記事では、マニュアル作成に必要なコツや使いやすいマニュアルの特徴をご紹介し、実際にマニュアルを作成する手順についても解説します。
ぜひ本記事を参考にしてみてください。
マニュアル作成の6つのコツ
マニュアルは、読者にとって分かりやすく、簡単に理解できるものでなければなりません。
そのために意識すべきコツとして以下のような点が挙げられます。
- 何についてのマニュアルかを明確化する
- 読み手のレベルに合った内容にする
- 階層構造を考える
- 情報を探しやすいように設計する
- 図や表を活用して見やすくレイアウトする
- はじめから完璧を目指さない
何についてのマニュアルかを明確化する
マニュアル作成の際は、何についてのマニュアルなのかを明確化することが重要です。
どのような業務についてのマニュアルなのか、その目的や内容を明確にすることで、そのマニュアルが何を指しているのかメンバーに理解してもらいやすくなります。
また、マニュアルを作成するときは、読む人の背景や状況を意識することも重要となります。背景を汲み取ってマニュアルを作成することで、抜け漏れが少なく無駄のないマニュアルを作成することができ、業務の効率化や品質向上につながります。
読み手のレベルに合った内容にする
マニュアル作成のコツとして、読み手のレベルに合った内容にすることが挙げられます。
一般的なマニュアルは専門用語が多すぎてしまうと、一部の人にしか伝わらず、逆に業務遅延や混乱を招く恐れがあります。逆に読み手がその業務や作業についてある程度理解している場合、細かい説明や手順を省略しても問題ない場合があります。
このようにマニュアルを作成する際は、読み手のレベルに合わせた語彙や表現を使うなどの工夫が必要です。
階層構造を考える
マニュアル作成のコツは、階層構造を考えることです。
階層構造でマニュアルが考えられていない場合、「気づいたらどこを読んでいるか分からない」「内容が理解できない」といった事態が発生します。
しかし、階層的に考えることで、マニュアルの全体像を把握しやすくなったり、最初から読み進めなくてもそのマニュアルの必要の必要な情報を素早くキャッチすることができます。
階層構造を考える際は、大まかなカテゴリーを設定し、それぞれのカテゴリー内に細かい項目を設けることで、理解しやすいマニュアルとなります。
情報を探しやすいように設計する
マニュアルを作成する際には、情報を探しやすいように設計することも欠かせないコツとなります。
一般的にマニュアルの中には、多くの重要な情報が含まれています。
「マニュアルを見ても得たい情報がどこにあるのか分からない..」と社員が困らないように、必要な情報を整理し、探しやすいように設計しましょう。
たとえば目次や索引を充実させたり、ページ番号を設定することで、検索性が向上します。
情報を探しやすいように設計しておくことで、なにか問題が発生した際に社員自身で課題を解決しやすくなるでしょう
図や表を活用して見やすくレイアウトする
図や表を活用してレイアウトすることも非常に有用です。図や表を活用することで視認性が上がり、読みやすいマニュアルになります。
複雑な手順や細かい作業を説明する際に、文書のみ書かれたマニュアルでは、「難しすぎて内容が理解できない…」と全体像を掴みにくく、認識の齟齬を引き起こす恐れがあります。
わかりにくい文書には、テキストとともに図や表を加えることで、視認性を高めると良いでしょう。
はじめから完璧を目指さない
マニュアルを作成する際は、はじめから完璧を目指さないことを念頭におきましょう。
マニュアルは一度作成したら終了ではなく、古い情報があれば日々ブラッシュアップしていくことが求められています。
完璧を目指してしまうと、時間と手間がかかりすぎてしまい、結果として作成効率が落ちてしまったり、内容が膨大になってしまう可能性があります。
そうならないためにも、まずはざっくりとした構成や内容を決め、素早く草案を展開しましょう。
分かりにくい点が見つかった場合は、もう一度手順を実行してみたり、他の人に確認してもらったりすることで、ユーザー目線のマニュアルに仕上げることができます。
使いやすいマニュアルの4つの特徴
この章では、使いやすいマニュアルの特徴を4つに絞って解説します。
- 必要な情報の全体像を把握できる
- すっきりしていて読みやすい
- 到達すべき目標が明確
- すぐに行動できる内容になっている
必要な情報の全体像を把握できる
使いやすいマニュアルは、必要な情報の全体像を把握できる特徴があります。
全体像を掴みにくいマニュアルは、ユーザーが自力で情報を見つけることが難しく、ストレスを感じたり、時間を浪費してしまう恐れがあります。
しかし必要な情報の全体像を把握しやすいマニュアルの場合、業務の中でわからないことがあっても、マニュアルのどこに情報が載っているのかがすぐに分かります。適切な情報が適切な場所に配置されているため、欲しい情報を簡単に見つけることができ、誰でも簡単にマニュアルを使用することができます。
例えば業務マニュアルならば、目次や索引を充実させたり、章立てを明確にしたりすることで、情報が整理され、最初の1ページを見ただけで業務全体の理解につなげることができるでしょう。
すっきりしていて読みやすい
良いマニュアルとは、情報がすっきりとまとまっており、読み手が必要な情報をすばやく見つけやすいという特徴があります
例えば、以下は使いやすいマニュアルと使いにくいマニュアルの特徴です。
〈使いにくいマニュアルの特徴〉
- 文字だけで埋め尽くされている
- 図や表、イラストでごちゃごちゃしている
- 小さすぎたり独特な書体で書かれている
〈使いやすいマニュアルの特徴〉
- 章やセクションが明確に区別されている
- 難解な専門用語や複雑な表現がない
- 見出しや箇条書きなどの視覚的な要素を取り入れている
以上のように、マニュアルはなるべく視認性を上げ、すっきりして読みやすいものにします。また、読みやすいマニュアルの特徴として、一般的に人は左上から右下に向かって視線を移動する傾向があるため、「Z」の形状で配置することを意識すると良いでしょう。
到達すべき目標が明確
使いやすいマニュアルの特徴として、到達すべき目標が明確であることが挙げられます。たとえば業務マニュアルを作成する場合、「何のためにこの業務を行うのか」目標や目的を明確にしておくことが重要です。
業務を行う上で、その業務の目的やゴールが見えないまま作業を行ってしまうと、集中できなかったり、効率性が低下する恐れがあります。
到達すべき目標が明確になっていることで、作業工程で混乱することなく自分の役割を理解でき、目標を達成するために必要な行動をとることができます。
すぐに行動できる内容になっている
使いやすいマニュアルは、読んだらすぐに行動できる内容になっていることが求められます。
煩雑な手順や不必要な情報が含まれているマニュアルでは、必要な情報を探すのに時間がかかったり、マニュアルだけでは理解できず、上司や先輩に聞いたりしなければならない場合があります。これでは時間やリソースの無駄が発生し、業務遅延を引き起こしてしまいます。
しかし、使いやすいマニュアルの特徴には、従業員が迷うことなく行動できるよう「このマニュアルのこの点を行えばすぐに行動できる」といったような情報が網羅的に明記されています。
マニュアル作成にあたっては、利用者のニーズを的確に把握し、すぐに行動できるようなマニュアルを作成しましょう。
マニュアル作成の手順
この章では、実際にマニュアルを作成する際の手順を解説します。
- マニュアルに入れる情報を決めて構成を作成する
- 執筆を行う
- 仮運用を行う
- 修正して本運用を開始する
マニュアルに入れる情報を決めて構成を作成する
まず始めにマニュアルに入れる情報を決めて構成を作成しましょう。マニュアルは、構成を見ただけでどこに何が記載されているのか、概要が分かることが大切です。
事前に情報を整理せず、無計画にマニュアルを作成してしまうと、作成途中から一貫性のないマニュアルになってしまったり、無駄な手間と時間がかかってしまいます。
入れるべき情報を決めておくことで、内容が本旨から外れにくくなるだけでなく、不必要な情報や重複する内容を省くこともできます。
たとえばマニュアルのトップに目次を加えたり、章や節、項目などに分けて階層的な構成をすることで、読み手の理解を深めることができます。
執筆を行う
構成案をもとに実際に文章を執筆していきます。
執筆する際は、細かく情報を詳細化しようとすると、時間がかかりすぎて作業が進まなくなることがあります。
そのため、はじめから完璧なマニュアルを目指そうとせず、構成した手順に沿って執筆し、後に肉付けするようにしてください。
とくに文書においては、分かりやすく簡潔な表現を使用することが重要です。
読み手のレベルに合わせた語彙や文体を使い、一文は30〜50文字程度で執筆しましょう。
仮運用を行う
本運用の前に、必ず仮運用を行います。
仮運用とは、システムやプロセスを運用する前にテスト環境でマニュアルを使用し、試験運用を行うことを意味します。
仮運用を行うことで、マニュアルに書かれた手順が正確か、また業務に適しているかどうかなどを確認することができます。また、マニュアルに不備や改善点があれば、それらを特定し、本番環境でのトラブルを事前に予防することができます。
仮運用を行う際には、本番環境と同じ条件で運用を行うことが望ましいです。
たとえば、システムやプロセスの設定、データの入力方法、使用するツールやソフトウェアなど、可能な限り本番環境に近い状況を作り出すと良いでしょう。
修正して本運用を開始する
マニュアル作成の最後の手順は、修正して本運用を開始することです。
完成した時点では完璧な出来であっても、実際に現場で使い始めてみると「この手順が分かりにくい」「もっと効率的なやり方があった」と従業員から改善点が上がってくるはずです。
マニュアルは実際に運用しながら、不具合や改善点などを定期的に修正していくことで、いつまでも正確性や効果の高いマニュアルを維持することができます。
まとめ
本記事では、マニュアル作成の6つのコツについて解説し、さらには使いやすいマニュアルの特徴についても解説しました。
マニュアル作成は、読み手の目線に立って、使いやすさを意識することが大切です。
コツを押さえて運用することで、作業メンバー全員が同じ方法や手順で業務を遂行できるようになり、どの社員でも同程度の業務を長期的に可能となります。
本記事を通じて、使いやすいマニュアル作成のコツを理解し、実際の業務に活かしてみましょう。