社内報は、情報共有やコミュニケーション強化のツールとして役立ちます。さらに、効果的に活用できれば社員のやる気や生産性の向上にもつながります。ただし、高品質な社内報を作るためには制作方法やコツを押さえておく必要があるので、はじめて担当者になった人にとってはハードルが高いかもしれません。
そこで今回は新任の担当者に向けて、社内報の作り方を10ステップで解説していきます。魅力的な社内報を作るための5つのコツも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
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社内報とは企業の情報を社員で共有するための媒体
社内報とは、企業の情報を社員やその家族に共有するための媒体です。以前は紙媒体で配布するのが一般的でしたが、現在はコスト削減などの観点からWeb版で制作するケースも増えています。
社内報に掲載する情報はさまざまです。コンテンツ例としては、次のようなものがあります。
- トップインタビュー・役員インタビュー
- 事業計画
- 決算情報
- 社員紹介
- イベント告知・報告
- 座談会
- 新商品・新サービス紹介
- アンケート
- コラムなど
さまざまな情報を発信することで、企業理念やビジョン、会社の現況や課題なども共有できます。社内のインナーブランディングのために社内報を活用するケースもあります。
また社員やその家族の紹介、趣味の話やプライベートな情報などを取り上げることで、コミュニケーションの活性化も狙えます。
会社では、同じ仕事に関わっている人のことはある程度知っていても、他部署や他支店の人のことはほとんど分からないというケースが多いでしょう。そのため、社内報は他の従業員や他の事業部の仕事を知るために最適なツールです。部署を横断するプロジェクトに取り組む時など、社内報に掲載されていた情報をもとに会話が弾むケースもあるでしょう。良好な関係性を築ければ、業務効率や生産性向上も期待できます。
また同部署でもあまり会話をしたことがない人やテレワークで部内のコミュニケーションが希薄化している場合でも、社内報を通して、連帯感や親密性を深めることができます。孤立感が解消できれば、会社や仕事に対するやる気やエンゲージメントも向上するでしょう。
社内報の作り方10のステップ
はじめて社内報の制作担当者になった人に向けて、社内報の作り方を10ステップで解説します。具体的なフローは次の通りです。
- 発行スケジュールを決める
- コンセプトや目標を設定する
- 発行方法を決める
- 全体の構成を決める
- 企画を立てる
- 取材や情報収集をする
- 執筆する
- レイアウトと編集を行う
- 校正・校閲を行う
- 発行する
発行スケジュールを決める
まずは年間の発行スケジュールを決めましょう。よくある発行頻度は、次の通りです。
- 毎月(12回/年)
- 隔月(6回/年)
- 季刊(4回/年)
- 半期(2回/年)
発行回数が多いパターン(毎月または隔月)では、タイムリーな情報を届けられますが、制作担当者の負荷が重くなります。紙媒体の場合にはコストの問題も出てくるでしょう。
一方、季刊や半期ごとに発行する場合には制作の手間は軽減できます。また、毎号充実した内容を届けられれば読者はしっかりと読み込んでくれる可能性があります。ただし、情報の鮮度が落ちるといったデメリットがあります。
基本的には、季節ごとのイベントにあったタイミングで発行するのが良いでしょう。社内報で取り上げられることの多い年中行事には、次のようなものがあります。
- 年頭所感(1月)
- 入社式(4月)
- 内定式(10月)
- 忘年会(12月)
- 決算発表・業績報告(企業によって異なる)
- 新商品発表会(同)
制作担当者が注力している分野、もしくは社内方針で重視しているイベントを掲載できるタイミングで発行しましょう。
また年間の発行スケジュールが決まったら、各号の制作スケジュールも決めていきます。
コンセプトや目標を設定する
社内報のコンセプトや目標を決めます。コンテンツ内容にも関わる重要な要素なので、しっかりと議論して方向性を固めましょう。社内報のコンセプトや目標の例は下記の通りです。
- 社内の情報共有(商品・サービス、組織、人材など)
- 経営理念・ビジョンの共有
- コミュニケーションの強化
- 人材採用・定着の促進
発行方法を決める
発行方法は、「紙媒体」か「Web版」のどちらかです。
紙媒体の場合には印刷や発送コストがかかります。一方、毎号手元に届くため、多くの人の目に触れるというメリットがあります。
Web版の場合にはコストを抑えられ、スマホやタブレットなどから閲覧できるメリットがあります。ただし、紙とは違い自分でデータにアクセスする必要があります。そのため、工夫をしないと紙の社内報よりも読まれづらくなる、という傾向にあります。
全体の構成を決める
社内報全体のデザインやおおまかな記事の方向性を決めます。
デザインは判型やカラーなども決めます。社内報の全体的なイメージについても、表紙を写真でいくのか、テキストベースか、イラストを使うのかなどで変わってきます。
中面も、写真やグラフ、イラストなどの図版を多く使うのか、インタビュー記事をどの程度入れるのか、コラムなどの読み物をどうするか、著名人などに執筆を依頼するかなど、コストやバランスを考えながら構成を考える必要があります。
企画を立てる
企画は、社内報を作る際に担当者がもっとも注力する部分でしょう。同時に、苦労するパートでもあります。
各号の「特集」と毎号掲載する「レギュラーページ」が基本です。また、その他のトピックスや編集後記など、細かいコンテンツも忘れずに構成書(台割)に入れ込みましょう。
企画が確定したら、取材対象者の選定、アポ取り、ライター・カメラマンのアサイン、スケジュール策定などを行います。通常、複数の企画を並行して進めるので、コンテンツごとにスケジュールの詳細を詰めましょう。
取材や情報収集をする
インタビュー、座談会、イベント取材などを行います。また取材をしないコンテンツの場合は素材を集めます。例えば、新商品紹介の場合にはプレスリリースや写真データを入手します。また、新入社員紹介の場合は、各社員にアンケートを送付し、必要な項目を埋めてもらいます。返送時には写真データももらいましょう。
企画によって、素材の集め方は異なるので、後々必要なデータが足りなかったとならないように注意しましょう。
執筆する
原稿の執筆をします。執筆は必ずしも自分自身でやる必要はありません。ライターや社員に執筆を依頼したり、外部の有識者に寄稿をお願いしたりする方法があります。
なお、インタビューや座談会の記事については、原稿を作成した後に、取材対象者や座談会参加者に原稿内容を確認してもらう必要があります。
レイアウトと編集を行う
テキストと図版の原稿データが集まったら、編集してレイアウトします。各ページは、見出し、本文、図版(写真・グラフ・イラストなど)で構成されます。読者が読みやすいように原稿を配置していきます。
ここでは、書体・行間・文字の大きさ、配色、文字と図版のバランスなどを決めていきます。レイアウトやデザインは初心者では難しいので、外部スタッフや制作会社の活用を検討しても良いでしょう。
校正・校閲を行う
原稿のレイアウトが終わったら、内容を確認しましょう。誤字脱字やファクトチェック、適切な画像が入っているかなどをチェックします。
細かいところでは、日付や表紙の号数のチェックなども忘れずに行いましょう。1人の担当者ですべてを完璧に校正・校閲するのは難しいため、複数人の目でチェックするのが重要です。
社長や役員のインタビューに大きな修正が入る場合は、再度本人もしくは秘書室などの担当者に確認を取る必要も出てきます。そのため、こうしたコンテンツはなるべく早めに動いておくことがポイントになります。
発行する
最後に、社内報を発行します。紙媒体の場合には印刷所にデータを入稿後に、カラーページの色味を確認する「色校」作業が発生します。色校を確認後に校了、印刷・製本の工程に入ります。紙の社内報は、各支店や支所、店舗などにも発送するのでリストを発送業者(印刷所)に渡します。
Web版の場合には、社内SNSやグループウェアなどを使って、共有しましょう。
読まれる社内報を作るための5つのコツ
担当者としては、「せっかく時間をかけて作ったのに社内報が読まれない」という事態は避けたいものです。ここでは「読まれる社内報」を作るための5つのコツを紹介します。
- 読みやすいレイアウトにする
- 読んで役に立つ内容にする
- 社員インタビューを多めに作る
- 定期的に発行する
- 発行したら社員からのリアクションを確認する
読みやすいレイアウトにする
まずは、ぱっと見て手に取ってもらいやすい、可読性の高いレイアウトにするのがコツです。文字が多すぎたり、レイアウトがごちゃごちゃしすぎていると読みにくいため注意しましょう。
インタビュー記事やコラム以外のコンテンツについては、できる限りすっきりとして分かりやすいレイアウトを心がけましょう。写真やイラスト、グラフや表などを多めに入れることを意識すると良いでしょう。
読みやすいフォントの種類や大きさ、行間や余白についても気をつける必要がありますが、初心者がデザインするのには限界があるかもしれません。場合によっては、デザイナーに外注するのもありです。予算がゆるせば、検討してみましょう。
読んで役に立つ内容にする
社内報に掲載するコンテンツは読者にとって役に立つ内容にしましょう。企業理念や事業計画、決算など、社員として知っておくべき情報は当然網羅しておくべきでしょう。
さらに、新サービスや新商品、新事業所の開設など、自社のこととはいえ意外に知らないこともあります。「社内報を読んで理解が深まった」「自社の注力分野が分かった」などと感じてもらえるような有益な情報を提供しましょう。
社員インタビューを多めに作る
社員のインタビュー記事をたくさん掲載することも重要です。自社でどのような人が働いているのか、どういった業務に携わっているのか、どのようなキャリアを歩んできたのかなど、同僚の人となりを知ることでその人への興味がわいてくるでしょう。いつか一緒に仕事をする際には、話のネタになり、コミュニケーションが取りやすくなるでしょう。
また表彰された人や仕事で頑張っている人を取り上げることで、紹介された人のモチベーションもアップするでしょう。社内報を読んだ家族も、会社への愛着がわくはずです。社員のエンゲージメント向上は、組織全体のパフォーマンスにも好影響を及ぼすでしょう。
定期的に発行する
業務が立て込んでいる時には、社内報の発行が遅れるケースもあるでしょう。そのような時にも、定期的に発行するというルールは守りましょう。
毎月発行するのが難しい場合、隔月や季刊で対応するという方法があります。制作担当者の人数や予算など、組織によって状況は異なるものの、不定期刊行では読者が離れてしまいます。作り手のモチベーションも下がってしまう場合には、コンテンツの質の低下にもつながる懸念があります。
発行が数日ずれても次号では取り戻せるように、調整しながら進めて行きましょう。
発行したら社員からのリアクションを確認する
発行後は効果測定を実施しましょう。アンケートを取るなどして社員からのリアクションを確認することが大事です。Web版の場合は閲覧数などを集計して、次に活かしましょう。
アンケートで好評だった企画は継続し、不評だった企画は見直しをするなど、コンテンツの方向性を微調整することも大事です。新たな企画を募ることで、より読者に寄り添った紙面内容が実現します。
閲覧回数が極端に少ない場合、SNSでの周知を徹底したり、プレゼント企画を実施するなどのてこ入れも必要になるでしょう。
社内報は外注するのもあり!
「社内報の制作スキルやノウハウがない」「高品質な社内報が作りたい」といった場合には、外注サービスを利用するのが良いでしょう。以下に、外注するメリットや注意点を紹介していきます。
h3:外注すればクオリティの高いものができる
外注サービスを活用すれば、クオリティの高い社内報が制作できます。特にデザインやレイアウト面では、初心者とプロでは大きな差が出るでしょう。また、テキストや写真のクオリティ、イラストの多様さなども、自前で用意するものとは違ったレベルのものを期待できます。
他の業務に集中できる
社内報の制作を一括で依頼できれば、担当者は別の業務に集中できます。多くの制作担当者は別の業務も並行して行っている場合がほとんどなので、制作期間と繁忙期が重なると、負担が重くのしかかります。最悪の場合、忙しすぎて発行が遅れる、発行できなくなるという事態に陥ることもあるでしょう。
外注サービスを使えば、全体的なスケジュール管理や進捗管理、社内調整のみを行うだけで良いので負担が大幅に軽減します。またアイデア出しなどもプロにお願いできるので、ネタに困るということもなくなるでしょう。
費用がかかる点だけ注意
外注サービスを使うと、費用がかかります。ページ数や内容にもよりますが、社内報の企画から取材・執筆・撮影、校正・校閲、印刷・製本までトータルで依頼した場合、100万円以上のコストがかかります。
デザインやイラスト、印刷・製本のみの場合には数十万円でおさまる可能性がありますが、年間に複数回発行する場合には大きなコスト負担になります。
なお、紙ではなくWeb版で展開する場合には、印刷・製本、発送費用がかからないのでコストを抑えられます。
まとめ
本記事では、はじめて社内報制作の担当者になった人に向けて、具体的な制作方法やコツなどを解説ました。
社内報を活用することで、社内の情報共有、経営理念・ビジョンの共有、コミュニケーションの強化、人材採用・定着の促進などのメリットが享受できます。
近年はテレワークが普及し、組織の一体感やコミュニケーションが希薄になっている企業も増えています。また、会社や仕事へのエンゲージメントは、パフォーマンスや離職率にもダイレクトに影響してきます。質の高い社内報が制作できれば、こうした課題の解決にもつながるでしょう。
社内報の制作を外注するという方法もありますが、コスト負担が増すというデメリットがあります。一方、自社で内製化する場合には専用ツールを使えば効率化を図れるでしょう。
例えば情報共有サービスのQiita Teamでも社内報の制作が可能です。制作後は社内報を簡単に共有でき、コミュニケーション強化の機能によって全社に周知させることもできます。
社内報を効率よく作るためだけでなく、「読まれる社内報」を制作するためにも、ぜひQiita Teamの導入を検討してみてはいかがでしょうか。