
「作業手順書の作り方を知りたいが、作成方法が分からない」
「作業手順書を作る時のコツや注意点を知りたい」
「現場で活用される作業手順書とはどのようなものなのだろう」
といった悩みを持つビジネスパーソンは多いのではないでしょうか?
作業手順書は業務効率化や属人化防止など多くのメリットがあります。分かりやすい作業手順書を整備できれば、新人からベテランまでさまざまな人材が活躍できるようになるため、会社の業績アップにもつながるでしょう。ただし、作成するときには注意すべき点もあります。
そこで今回は作業手順書の概要から、メリット、作成手順、注意点、ポイントまでを詳細に解説していきます。担当者が知っておくべき有益な情報を盛り込んでいるので、ぜひ確認してみてください。
目次
作業手順書は作業のノウハウを共有するための書類のこと
作業手順書は、作業の手順や方法をまとめた書類で、ノウハウやナレッジを共有するために使用されます。作業手順書を使うことで、「業務効率化」「品質向上」「属人化防止」「育成コストの削減」などにつながります。
作業手順書の目的
作業手順書の導入によって手順や方法を明確化することで、正確さ・安全性・スピードアップを図ることが目的です。
作業手順書を整備すれば、誰が作業をしても同様のアウトプットが期待できます。新入社員とベテラン社員など、経験やスキルに差があっても、同品質の製品が作れます。
作業手順書に記載すべき内容
作業手順書に記載すべき内容は、企業や現場によって異なります。いちから手順書を作るのは手間がかかります。そのため、作成する際にはWebサイトなどからテンプレートをダウンロードし、自社にあった項目を追加・削除すると良いでしょう。
参考までに、一般的な作業手順書に記載する内容を紹介します。
- 作業名
- 作業内容
- 手順
- 使用する機械・材料・ツール
- 担当者
- 過去のトラブル履歴
- 対応策
- 危険性
- 備考
なお、例としてNECソリューションイノベータのサイトから入手できるテンプレートを下記に紹介します。

(出典:【テンプレート有】作業手順書の作り方|効率的な現場運用の実現に向けて作業手順書を有効活用!|NECソリューションイノベータ)
作業手順書を作成する4つのメリット
作業手順書を作成することで、製造現場などに多くのメリットをもたらします。特に重要なメリットは次の4つです。
- 業務を効率化できる
- 業務の質を一定にできる
- 業務の属人化を防げる
- 育成コストを削減できる
業務を効率化できる
作業手順書を作成することで、業務効率化が可能です。作業手順書には、どのような手順で作業を進めるかが明確に記載されているため、作業者は迷わず作業を進められます。
これにより、無駄な時間や手間を省くことができます。一つひとつの作業をスムーズに実施できるだけでなく、前後の工程や全体の流れなどが把握できる点もメリットです。
業務の質を一定にできる
作業手順書があれば、誰が作業をしても一定の質を担保できます。ベテランと経験の浅い社員の間に品質差が生まれづらくなります。
作業手順書には品質管理や安全管理に関するルールや注意点も記載されているので、作業者が手順に従って進めることで、品質のバラツキやミスを防ぐことができるのです。
業務の属人化を防げる
作業手順書の活用は、業務の属人化防止にも役立ちます。
作業手順書がない場合、作業担当者が退職・休職した場合には、別の人材に引き継ぎを行ったり再訓練する必要があります。しかし作業手順書があれば、他の作業者が手順に従って業務を遅滞なく実行できます。これにより、特定の社員やベテラン社員における、業務の属人化を防ぎ、引き継ぎや再訓練にかかる時間や手間が削減できるのです。
育成コストを削減できる
作業手順書の導入で、育成コストも削減できます。作業手順書には手順、ポイント、注意点なども記載されています。新人の作業者はそれをみて、作業方法や気をつけるべき点を学べます。
ベテラン作業員がいちから資料を作ったりする必要もなく、口頭での指導による非効率な教育も不要になります。適切な作業手順書を使って教育することで、新人を戦力化するまでの時間を短縮できるのです。
作業手順書を作成する2つの注意点
作業手順書を活用することで多くのメリットが享受できます。一方で、作成する際の注意点もあります。下記2点について理解した上で活用することが重要です。
- 臨機応変な対応が出来なくなる可能性がある
- 手順書の更新や管理が必要になる
臨機応変な対応が出来なくなる可能性がある
作業手順書の活用は正確性や安全性などの面でメリットを享受できますが、臨機応変な対応がしづらくなる可能性もあります。
作業手順書通りに業務を行う環境では、プロセスを入れ換えたり、別のシステムで代用して作業を継続するというようなことが難しいでしょう。また、機械的に作業を行っていると、新しいアイデアを提案したり、革新的な手法にチャレンジするマインドが醸成されません。
業務改善のためには変化が求められることもあります。作業手順書になれた凝り固まった思考では、柔軟に対応できないでしょう。結果、生産性が落ちてしまうリスクもあり、組織全体でみた場合には他社との競争力に差が生まれる可能性も考えられます。
手順書の更新や管理が必要になる
作業手順書は、定期的な更新や適切な管理が必要です。作業内容に変更があった場合やシステムのバージョンアップがあった場合などには、作業手順書の改訂が必須となります。
更新せずにいると、特定の作業者のみが把握している状態になります。その場合業務の属人化が発生するリスクが高まります。特定の作業者に依存していると、問題点に気付きづらくなる懸念もあります。ボトルネックを放置しないためにも、半年や1年など、期間を決めて手順書を更新しましょう。
また、作業手順書の更新や修正、作業員への周知などを徹底するためにも、管理者を置くことが重要です。古い作業手順書で運用していたり、作業手順書の共有範囲が不適切な場合には、ミスが発生したり、情報の漏洩リスクにもつながるでしょう。
作業手順書を作成する3つのステップ
ここでは、作業手順書を作るための具体的な方法を解説していきます。作成手順は、次の3ステップです。
- 作業工程を洗い出す
- 作業内容を細分化する
- 洗い出した項目を手順通りに並べる
作業工程を洗い出す
まずは該当する業務に関して、作業工程を洗い出します。このステップでは、作業を完了させるために必要なすべての工程をリストアップし、抜け漏れがないように確認することが求められます。
最初から工程順に整然と並べる必要はなく、まずは項目をすべて書き出すことを意識しましょう。作業者が複数いる場合には、すべてのメンバーに草案を回覧したり、作業を横で見ながら工程をリスト化して抜け漏れを防止します。
作業内容を細分化する
リストアップした作業工程を、分解して細分化します。一つひとつのタスクごとに切り分けることで、作業者が理解しやすいようにします。
作業内容のほかに、所要時間、使用する機械・システム、他の工程との関係性、注意点なども書き出しましょう。
タスクによっては順番を入れ替えたり、他の作業と一緒に実施できるものもあるでしょう。逆に、前後のタスクが固定されているものもあるので、それらの情報も注釈として付記しておくことが重要です。
洗い出した項目を手順通りに並べる
最後に、洗い出した項目を手順通りに並べ替え、分かりやすい手順書を作成します。この工程で、作業手順にムリ・ムダ・ムラがないかも一緒に検討しましょう。順番が間違っていたり、統合できる作業が判明したり、担当者が偏っていたりした場合には改善します。
実際に作業内容をイメージすることで、精度の高い作業手順書が作れるでしょう。なお、作業手順書は作業に不慣れな人材でも理解できるように、平易な言葉を使う必要があります。専門用語は避け、簡潔な文章を心がけましょう。
完成した作業手順書を新人の作業員に見せ、しっかりと内容が理解できるかどうかをチェックするのも効果的です。
使いやすい作業手順書を作成するため5つのポイント
作業手順書は、新人からベテランまでさまざまな関係者が利用します。そのため、全員にとって使いやすいものを作成する必要があります。質の高い作業手順書を作るためにも、次の5つのポイントを押さえましょう。
- 読めば誰でも作業できるように記載する
- 作業の全体像が分かる構成にする
- 管理者を明確にして記載する
- 現場の声を聞いて作成する
- 作ったら終わりではなく改善しながら運用する
読めば誰でも作業できるように記載する
作業手順書は、経験やスキルにかかわらず、読めば誰でも作業できるように記載しましょう。社歴はもちろん、スキルや習熟度に配慮した記載方法を検討する必要があります。
平易な文体で簡潔に記載し、分かりづらい用語は避けましょう。また、前提となる知識を端折ってしまうと、理解の妨げになるだけでなくミスの発生原因にもなります。構成を含め、スムーズに理解できる作りを意識しましょう。
作業の全体像が分かる構成にする
フローチャートを掲載するなど、作業の全体像が分かる構成にしましょう。特に不慣れな人が作業するケースでは、全体像が分からないと理解が進まない場合があります。
全体像が把握できれば、自分が担当している工程がどの部分かが大局的に理解できます。そうすることで、業務スピードをアップさせたり、効率化を意識して作業に取り組めるようになります。
生産性を上げるためには、業務フローの定期的な改善も必要になります。当事者意識をもって業務にのぞんでもらうためにも、最初に全体像を提示することが重要です。
管理者を明確にして記載する
作業の管理者を明記することも重要です。分からないことがあった時に問い合わせる場合や、トラブルが発生した時の対応責任者として、部署や名前、連絡先を記載します。
また作業手順書の更新や修正を行う時も、管理者が音頭を取って内容のアップデートを行います。なお、管理者の他に手順書の作成者が別途いる場合には、両名の名前を記載します。
現場の声を聞いて作成する
作業手順書は、現場の作業員が使いやすいものを作りましょう。そのためには現場の担当者にヒアリングをしたり、アンケートをとるのが有効です。また、作業手順書を作成する時に、担当者の横について実際の作業風景をチェックするのも効果的です。
現場の作業に関わっていないマネージャーなどが作業手順書を作成すると、所要時間の見積もりが甘かったり、手順に無理があったり、使用している機械やシステムが古かったりする場合があります。
最新情報と現場の実態を把握した上で、読み手=作業者に寄り添った作業手順書を作成しましょう。
作ったら終わりではなく改善しながら運用する
作業手順書は定期的なアップデートが必要になります。作成して終わりではなく、改善しながら運用することが重要です。
作業手順書にミスがあった場合はもちろんですが、機械やシステム、部材などの変更に伴って、作業内容や順番が変わることもあるでしょう。また、現場からの改善提案によって、情報を更新する必要性もでてきます。
さらに、作業手順書と実際の作業手順に乖離や齟齬が発生しているケースも考えられます。その場合には、特定の作業者だけが実態を把握していることになるので、業務の属人化につながるおそれがあります。
運用を成功させるためにも、管理者が定期的な更新・修正作業を行い、常に最新の状態をキープできるように努力しましょう。
まとめ
本記事では、作業手順書の概要や作成メリット、注意点に加えて、具体的な作成フローやポイントなどを解説しました。
作業手順書を活用すれば、業務効率化、品質の標準化、属人化防止、教育コストの削減が期待できます。
作業手順書は紙での運用が主流ですが、近年はクラウドツールを活用する企業も増えています。例えばナレッジ共有ツールのQiita Teamを導入すれば、マルチデバイスで作業手順書の閲覧や共有が可能になります。作業手順書に変更が生じた場合にも、いつでも・どこからでも編集できるため、データのアップデートがスピーディーに行えます。
また、Qiita Teamで運用すれば必要な作業手順書をすぐに検索でき、バージョン管理も容易です。作成者とユーザー双方の利便性が増すでしょう。
コメント機能を使えば、改善点や問題点の議論がタイムリーに行えるので、作業手順書のクオリティを高めることができます。紙での運用よりも管理が容易で、生産性の向上も期待できるので、ぜひクラウドツールの導入を検討してみましょう。
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