
社内報は、インナーコミュニケーションを活性化させるために最適な媒体です。うまく活用できれば、従業員エンゲージメントやモチベーションのアップも期待できます。ただし、魅力的な社内報を作るためにはスキルやノウハウが必要になるので、制作経験のない人にとっては難しい業務かもしれません。
そこで活用したいのが、社内報のテンプレートです。テンプレートを使えば、見やすいデザインやレイアウトの社内報が簡単に作れます。制作にかかる手間や労力を大幅に軽減できるでしょう。
本記事では、テンプレートを使うメリットや注意点を整理し、テンプレートの選び方やおすすめテンプレート5選なども紹介していきます。はじめて社内報作成を担当することになった人に向けて、制作のヒントになる情報をお伝えしていきます。
社内報のテンプレートを使う2つのメリット
社内報を活用することで、社内情報の共有やインナーブランディングの促進を図ることができます。企業理念やビジョンを共有することで、社員の意識を統一し、モチベーションアップや従業員エンゲージメントの向上も期待できるでしょう。
ただし、社員に読まれる魅力的な社内報を作るためには、企画はもちろん、デザインやレイアウトにも気を使う必要があります。経験の浅い人にとっては、考えることがたくさんあって大きな負担になるかもしれません。
そこで利用したいのが社内報の「テンプレート」です。まずは、社内報のテンプレートを使うことのメリットを2つ解説していきましょう。
- 一から考えなくても整った社内報を作成できる
- デザインの工数を削減できる
一から考えなくても整った社内報を作成できる
テンプレートははじめからデザインやレイアウトが決まっているので、一からフォーマットを考えなくても良いというメリットがあります。インターネット上で、見やすく・読みやすい社内報のテンプレートが簡単に入手できます。
社内報の制作経験がなかったり、デザインの知識がなくてもすぐに社内報を作成できるので、担当者の負担を大幅に軽減できるでしょう。
デザインの工数を削減できる
テンプレートを使えば、デザインやレイアウトにかける工数を削減できます。通常であれば、担当者が考えたり、社内外のデザイナーの力を借りてフォーマットを固める必要があります。その場合には、リサーチや打ち合わせなど、多くの時間や手間がかかるでしょう。外部に委託する場合には、コストがかかることも計算に入れる必要があります。
一方で、テンプレートの活用でデザインの工数が削減できれば、企画や取材・執筆など、コンテンツ制作に多くの時間が割けるようになります。限られたリソースを有効活用するためにも、テンプレートの活用は大いに役立つでしょう。
社内報のテンプレートを使う3つの注意点
社内報のテンプレートには、有料のものもあれば無料のものもあります。ここでは特に、無料版のテンプレートを使う際に注意すべき点を紹介していきます。
- 無料テンプレートの場合はデザイン性に欠ける
- 無料テンプレートはカスタマイズしにくい
- 独自性の高い社内報が作れない
無料テンプレートの場合はデザイン性に欠ける
無料テンプレートの多くは、デザイン性に欠け、画一的な印象を与えるものが多い傾向にあります。必要最低限のレイアウトやシンプルなフォントを利用しているテンプレートが多いでしょう。
シンプルなデザインの社内報が企業イメージに合わなかったり、担当者として思い描いていたアウトプットとかけ離れている場合、無料のテンプレートでは満足できない可能性も出てきます。
無料テンプレートはカスタマイズしにくい
無料のテンプレートはカスタマイズ性が低いという特徴もあります。例えば、複数の画像を追加できなかったり、デザインの微調整ができなかったりするケースが考えられます。
また社内報は通常、号数を重ねていくうちに新たな企画が追加されていきます。その際にテンプレートをいじれない場合には、イメージ通りのコンテンツがレイアウトできないといったおそれもあるでしょう。
独自性の高い社内報が作れない
既存のテンプレートを使う場合には、独自性の高い社内報が作れないこともあります。テンプレートを使うと、レイアウトやデザインに制約が生まれるので柔軟な対応が難しいためです。
社内報は作成しただけでなく、社員やその家族に読まれないと意味がありません。デザイン性が低かったり、見づらいレイアウトの社内報では閲覧数が伸びない可能性が高いでしょう。
魅力的な社内報を作るためには、読者のニーズに沿ったコンテンツを掲載する必要があります。そのためには、見た目や内容に独自性が求められることもあるでしょう。同じようなデザインになりがちなテンプレートではやれることに限界があるので、独自性を高めたい場合には社内外のデザイナーや制作会社にフォーマットの作成を依頼した方が良いかもしれません。
社内報テンプレートを選ぶ時の3つのポイント
テンプレートを使用する際には、自社に合ったものを導入する必要があります。ただし、多くの企業やWebサイトがさまざまなテンプレートを提供しているので、最適なものを選定するのは骨の折れる作業になるでしょう。
そこで、このパートではテンプレートを選ぶ際の3つのポイントを紹介します。
- 読みやすくレイアウトされているものを選ぶ
- ターゲットに合っているデザインにする
- ブランドイメージを意識する
読みやすくレイアウトされているものを選ぶ
まずは可読性の高さが重要です。読みやすく、見やすいレイアウトのテンプレートがおすすめです。文字が多すぎたり、文字・写真・見出しなどの要素がバランスを欠いていると、読みづらくなります。結果、せっかく作った社内報が読まれなくなるおそれも出てくるでしょう。
読みやすいレイアウトとは、具体的には次のようなことです。
- 読者の目線を適切に誘導する
- 文字や図版(写真・イラスト・図表など)の大きさにメリハリを付ける
- 文字量と図版点数のバランスを保つ
人の目線は、通常次のように動くといわれています。
- 右開き:右→左
- 左開き:左→右
- 横組み:左上→右上→左下→右下(Zの法則)
- 縦組み:右上→右下→左上→左下(Nの法則)
この法則に反するようなレイアウトの場合には、読みづらくなってしまいます。
また、文字と図版の大きさにも注意が必要です。文字や画像・イラストなどの大きさがすべて同じ場合には、ぱっと見て平板な印象を受けるため、読者が読みづらいと感じます。そのため、文字の大きさや図版の大きさにメリハリがきいているテンプレートを選びましょう。
さらに、文字と図版類のバランスも重要です。文字が多すぎる媒体は読まれづらい傾向にあります。写真やイラスト、図表をバランス良く配置し、読者を飽きさせないレイアウト・デザインのテンプレートを選定することが大切です。
ターゲットに合っているデザインにする
社内報を誰に読んでもらいたいのかを明確にし、そのターゲットに合ったデザインのテンプレートを使用しましょう。
例えば、情報共有やコミュニケーション促進のために社内報を作る場合、若手社員をはじめ店舗や工場のスタッフなど、多様な読者を想定する必要があります。その場合には、より多くの読者に手に取ってもらう必要があるので、文字情報よりも写真やイラストが多いデザインが適しているでしょう。
一方で、管理職向けに業績や経営計画などを発信する場合には、テキストが中心の誌面構成になります。その場合には、文字が読みやすいデザインのテンプレートが良いでしょう。また全体的にシンプルで落ち着いたデザインの方が、役員や管理職などに手に取ってもらいやすくなります。
社内報自体、もしくはコンテンツごとにターゲットを定め、想定する読者に興味を持ってもらえるデザインを採用しましょう。
ブランドイメージを意識する
社内報の目的の一つは、インナーブランディングです。インナーブランディングとは、企業の理念や価値などを社員に伝えて浸透させることです。社員一人ひとりが自社のブランド価値を理解できれば、会社への愛着が生まれ、仕事に対するモチベーションも向上します。
社内報で意識すべきブランドイメージは企業によって異なります。「革新性」「信頼感・安心感」「誠実性」「技術力」「創造性」「顧客主義」など、まずは自社で発信したいブランドイメージを明確にすることが大事です。
おすすめの社内報テンプレート5選
ここでは、おすすめの社内報のテンプレート5選を紹介します。多くのテンプレートは無料で使えるので、手間やコストを抑えたい担当者にとって役立つサービスとなっています。
Microsoft Office
WordやExcelなどのOfficeソフトを提供しているMicrosoftのサイトから、さまざまなテンプレートがダウンロード可能です。利用には、Microsoft365などの有料サービスに加入している必要があります。ただし、多くの企業ではすでにOfficeソフトを導入しているケースが多いでしょう。そのため追加的なコストがかからずに利用できるのは魅力の一つです。
同社のOfficeテンプレートのページから、キーワード検索をすることでさまざまなテンプレートを入手できます。例えば、「社内報」「ニュースレター」「会報」などのキーワードで検索してみましょう。
使い慣れているOfficeソフトで作れるので、操作方法について調べる必要がないため、制作時間の時短にもつながるでしょう。
提供元 | Microsoft Corporation |
料金 | 有料※Officeソフト導入済みの場合は無料 |
機能 | 追加コストが不要操作が簡単OneNoteなら複数ファイルを一元管理できる |
データ形式 | Word・Excel・PowerPoint・OneNoteほか |
公式サイト | Office テンプレート |
Canva
Canvaは、オンライン上で使える無料のデザインツールです。無料テンプレートや無料素材もあるため、簡単にデザイン性の高い社内報が作れるでしょう。社内報の作り方は次の4ステップです。
- カテゴリを探す
- テンプレートを探す(「社内報」などでキーワード検索)
- デザインを編集(文字や写真などを入れる)
- デザインをダウンロード・共有・印刷
テンプレートを探す際には、「ニュースレター」「社内資料」「パンフレット」など、複数のキーワードを使うと、より多くの選択肢から選べるでしょう。
なお、有料プランに登録すれば、より多くのテンプレート・フォント・素材・機能が使えるようになります。またプランによっては複数人で使えるため、共同作業で作業効率が向上したり、コラボによるアイデアの創出も期待できるでしょう。
提供元 | Canva Pty, Ltd, |
料金 | 無料※有料プランのCanva Proは年間12,000円(1名)、Canva for Teamsは年間18,000円(5名) |
機能 | 無料で使えるデザイン性が高い有料プランに入れば複数人で利用可能 |
データ形式 | Word・Excel・PowerPoint・OneNoteほか |
公式サイト | Canva |
パワポン
パワポンは、アスクルが運営する無料のテンプレートデザインサイトです。デザイン性の高いものからシンプルなものまでさまざまなテンプレートが入手できます。「会報・ニュースレター」のカテゴリには30種以上のテンプレートが用意されています。
使い慣れたソフトで操作ができるため、デザインが苦手な担当者でも簡単に社内報を制作できるでしょう。
提供元 | アスクル株式会社 |
料金 | 無料 |
機能 | 無料で使える操作が簡単豊富なテンプレート |
データ形式 | PowerPoint |
公式サイト | パワポン |
bookuma
bookumaでは600程度の無料の社内報テンプレートが利用できます。デザイン性が高いテンプレートが多く、レイアウトも自由に変更可能です。
bookumaは、デザインソフトの利用自体は完全無料です。ただし、作成したデータをエルム・パブリッシングに「印刷発注」する場合は有料となります(印刷発注の義務はなし)。
注意点として、作成したデータを「他の印刷所」に持ち込むことは禁止されています。また、データを無許可でWebサイトなどにアップロードすることも禁止されてるので、グループウェアなどで共有する際には利用規約をしっかりと確認しましょう。
提供元 | 株式会社エルム・パブリッシング |
料金 | 無料 |
機能 | 無料で使える「印刷発注」は有料600種類のテンプレートが利用可能 |
公式サイト | bookuma |
PIXTA
PIXTAは、画像点数8,100万点を誇る、画像・動画の素材サイトです。他にも、イラストや音楽素材なども提供しています。
同サイトからは、ニュースレター・会報誌のテンプレートが無料で入手可能です。データ形式はパワーポイントなので、操作に迷うこともないでしょう。社内報に使いたい素材も、PIXTAから入手可能なので画像やイラスト選びも効率的に行えます。
提供元 | ピクスタ株式会社 |
料金 | テンプレートは無料※素材は有料 |
機能 | 無料で使える操作が簡単豊富な素材(画像・動画・音声など)が利用可能 |
データ形式 | PowerPoint |
公式サイト | PIXTA |
まとめ
今回は、社内報の制作でテンプレートを使うメリットや注意点を紹介しました。またテンプレートの選び方やおすすめのテンプレートも5つ取り上げて解説しました。
テンプレートの利用は、はじめて社内報の担当になった人に多くのメリットをもたらすでしょう。一からデザインを考える必要がないので、手間がかからずにすぐに制作に着手できます。また無料のテンプレートであれば、コストの削減効果も期待できます。
社内報のテンプレートはさまざまなサイトから入手できるので、読みやすいレイアウトで、自社のブランドイメージに合うものを選びましょう。
ただし、テンプレートの利用はカスタマイズ性に制約があったり、自社に適した独自性が出せないといったデメリットもあります。そうした場合には、社内外のデザイナーに外注したり、制作会社と協力する必要も出てくるので、コストや手間が余計にかかることになるでしょう。
一方、情報共有サービスを使って簡易的な社内報を作ることも可能です。例えば、情報共有サービスのQiita Teamを導入すれば、情報を簡単に書き込みできて、共有もスムーズに行えます。いつでもどこからでも記事の投稿やナレッジの共有が可能で、リアクション機能も豊富です。大がかりな社内報を作成するリソースがない場合には、Qiita Teamの導入を検討してみてはいかがでしょうか。