最終更新 2023年4月5日

PREP法とは?相手に分かりやすく伝えるための法則について解説

社会人にとって、プレゼンテーションやライティングのスキルは必須の能力です。顧客とのコミュニケーションへのプレゼンだけでなく、会議での発言や上司への報告、メールや報告書の作成など、情報共有が円滑にできれば業務効率が上がり、自身の評価にもつながるでしょう。

そこで活用したいのが、PREP法という手法です。「結論・理由・具体例・結論」の4つの要素で伝える、実践的なテクニックとして多くのビジネスパーソンが取り入れています。

本記事では、PREP法の基本から、活用するメリットや注意点、具体的な文例などを紹介していきます。分かりやすい情報共有をしたいと考えている方にとって有益な情報をお届けするので、ぜひ最後までご覧ください。

PREP法とは

PREP法は、プレゼンテーションや上司への報告、文書作成など、あらゆるビジネスシーンで使える汎用性の高いフレームワークです。分かりやすい情報共有や情報伝達を可能にする必須のテクニックとして知られています。

ビジネスパーソンならぜひ習得しておきたいPREP法について、詳しく解説していきます。

【結論・理由・具体例・結論】で伝える方法

PREP法は、「結論」「理由」「具体例」「結論」で構成されています。詳細は次のとおりです。

  • Point(結論:主張や要点)
  • Reason(理由:その結論に達した理由や背景)
  • Example(具体例:理由を補強する、根拠となるデータやファクト)
  • Point(結論:主張や要点)

PREP法のもっとも大きな特徴は、まず結論を述べることです。会話や文書の冒頭に、結論を持ってくることで、相手に「何についての話題か」を理解してもらいます。次に、その結論に達した理由や背景を説明し、データや事例などによって根拠を示します。

最後に、話のまとめとして再度結論を伝えることで相手に理解を促し、納得感を与える、という手法です。

PREP法とSDS法の構成の違い

ビジネスシーンでは、PREP法以外にもSDS法という実用的な手法があります。分かりやすい文章を作成したり、伝わる会話を実践したりする際に活用できます。SDS法の中身は次のとおりです。

  • Summary(要点)
  • Detail(詳細)
  • Summary(要点)

SDS法PREP法に比べてシンプルな構成です。最初と最後に要点を伝える点はPREP法に似ていますが、SDS法は詳細を重視するフレームワークです。また、SDS法はPREP法よりも素早い情報伝達を可能にします。上司への現状報告やスピーチなどで特に役立つ手法といえるでしょう。

PREP法が効果を発揮する場面

PREP法は特に次の4つのビジネスシーンで効果を発揮します。

  • プレゼンテーション
  • 会議
  • 報告
  • 面接や面談

プレゼンテーション

論理的で分かりやすい説明をするために、PREP法を活用してみましょう。

伝えたいことや根拠などが不明瞭だと、話を聞いている人に要点が伝わりません。一方で、
PREP法では結論を先に話すため参加者の興味を引きつけることができます。また、主張したいことを言いっぱなしにするのではなく、根拠となるデータや事例、状況なども合わせて提示することで参加者に納得感も与えられるでしょう。

会議

プレゼン同様に社内会議でもPREP法は有効です。人前で話すのが苦手な人でも、PREP法のフォーマットに沿って台本を作っておけば簡潔に要旨を伝えられます。

社内会議では上司や役員なども参加するので、「何を言いたいのか分からない」「先に結論を言ってください」など、会議中に厳しい意見を言われるケースもあるでしょう。PREP法では先に結論を伝えるため、会議の方向性を参加者全員に共有できます。そうすることで、聞き手の苛立ちを回避したり、ストレス緩和にもつながります。

会議では、「理由」や「具体例」の項目で、図やグラフなどを使ったり、データに基づいた分析結果などを適宜示したりすることで、説得力を持たせることができます。最後の結論を述べた後質疑応答で不明点や疑問点を解消できれば、さらに質の高い会議になるはずです。

報告

上司への短い報告を口頭で行う時や文書で提出する時にもPREP法を意識してみましょう。

PREP法の強みの一つは、短時間で簡潔に内容を伝えられることです。上司への報告もまずは結論を述べたり、報告書の最初に結論を記載するようにしましょう。

結論や主張のみでは相手はそこに至ったプロセスが分からず、結論の妥当性について判断しかねてしまいます。そのため、理由や具体例によって、筋道を立てて報告することが重要になのです。

良好な関係を築けている上司への報告は、時に舌足らずになってしまうこともあるかもしれません。しかし、ビジネスの現場ではお互いの認識の齟齬が発生しないように、「結論→理由→具体例→結論」というフレームワークを使って、的確に物事を伝えるクセを付けておくことが肝要です。

口頭ベースでの報告はもちろん、メールやチャットなどのテキストベースの報告でもPREP法を活用していきましょう。

面接や面談

面接や面談は通常、30分〜1時間程度の限られた時間の中で行われます。抜け漏れがないようにPREP法を使って、与えられた短い時間内に伝えたいことを的確に話せるように準備しておきましょう。

要点や主張を冒頭にもってくることで、相手に興味をもってもらえます。また、面接官の質問に対して論理的な回答をすることで好印象を残せるでしょう。

上司との面談でも、端的に要領よく話をできれば、お互い無駄な時間を費やすこと無く有意義な会話ができるでしょう。

PREP法を活用するメリット

ここではPREP法を活用するメリットを4つ紹介します。ここで紹介するメリットは次のとおりです。

  • 伝える内容に説得力が出る
  • 簡潔に伝えることができる
  • 効率的に文章を作れる
  • 伝えたい情報を整理できる

伝える内容に説得力が出る

PREP法は、「結論」「理由」「具体例」「結論」の4つの要素で構成されています。聞き手や読み手は4つの要素について、一つずつ理解を深めながら聞く(読む)ことになります。そのため、話の前後のつながりや背景・根拠が論理的に説明されていれば説得力が増し、同時に相手の納得感も得られます。

さらに前後に結論を2度述べることで話の要点を強調する効果もあり、相手の記憶に定着しやすくなる効果が期待できます。

簡潔に伝えることができる

PREP法を使えば物事を簡潔に伝えることができます。

結論を最後に伝えたり根拠が乏しい場合には、相手が途中で話を遮って都度確認したり、最後に多くの質問攻めにあったりするなど、会話が長引く原因になります。

一方でPREP法は結論と根拠によって順序立てて説明する手法なので、疑問点がわきづらいというメリットがあります。簡潔に過不足無く伝えられるため、無駄のない会話となり、コミュニケーションコストを最小限に抑えることができます。

効率的に文章を作れる

PREP法は会話だけでなく、文章を作成する際にも有効な手法です。特にPREP法の構成に基づいて文章を作れば、作業効率がアップします。

文章を書く際にはまず構成を考える必要がありますが、PREP法ならば「結論」→「理由」→「具体例」→「結論」という決まったフォーマットがあるので、構成づくりに頭を悩ませる必要がありません。

文章の作成自体に注力できるようになるので、報告書や提案書などのクオリティ向上にも寄与するでしょう。

伝えたい情報を整理できる

PREP法は、頭の中にある考えやビジネス課題の解決策などを考える際にも活用できます。考えをまとめ、伝えたい情報を整理できるので、あらゆる業務に役立つでしょう。

PREP法で伝える際には、最初と最後の結論に挟まれた、「理由」「具体例」が重要になります。この2つの要素を的確に表現できれば、納得感のある強固な主張となります。

仮説を立て、理由や背景を突き詰めることで思考力を鍛えることができます。また、具体的なデータや例などを集める際には情報収集能力も養われるでしょう。こうした手順を繰り返すことで、報告書やプレゼン資料、提案書などで伝えたい情報の収集と、的確に伝えるための情報の整理能力が身につきます。

PREP方を活用するときの注意点

「話す」「書く」の両方で効果を発揮するPREP法は、日常業務で是非とも取り入れたいテクニックです。ただし、活用する時には注意点もあります。

  • 使いこなすまでに訓練が必要
  • 物語や感情に訴える文章には向いていない

使いこなすまでに訓練が必要

どのようなフレームワークも慣れるまでには時間がかかります。PREP法も同様に、使いこなすまでにはある程度の訓練が必要です。

特に、「理由」「具体例」の2つは、結論の正当性を担保するための重要な要素です。この2つの論理展開や提示する例の妥当性に問題があると、読み手や聞き手から納得感が得られない可能性があります。

なぜその結論に至ったのか、根拠となるデータや事例は十分かなど、矛盾のない論理展開と抜け漏れのない情報収集がポイントです。

重要なプレゼンや大きな会議などで使う前に、まずはメールや簡単な報告書で実践し、少しずつPREP法を自分のものにできるように訓練しましょう。

物語や感情に訴える文章には向いていない

PREP法は、物語や感情に訴える文章やスピーチには向いていません。読み手や聞き手の感情に訴えるための重要な要素は、実際の体験や思い出話などです。

PREP法で言えば、「具体例」の部分です。ただし、PREP法の場合には、「具体例」は結論を補強するための一つの要素に過ぎません。そのためPREP法は簡潔に情報を伝えるのには適しているものの、全体から受ける印象は無機質で、まさに「ビジネスライク」な印象を与えることになるのです。

PREP法の例文

ここではPREP法を使った例文を2つ紹介します。

プレゼンにおける例文

プロダクトAの売り上げ増加について、PREP法を使って報告する事例です。

【結論】
プロダクトAの売り上げは前期比で20%増加しました。

【理由】
テレワークの普及による在宅ワークの増加によって、企業がクラウドサービスを活用した情報共有に注力しているためと考えられます。

【具体例】
アンケート調査によって組織内の情報共有に課題を感じている企業が増えていることが分かったため、SNS広告を使ってプロダクトAの認知度向上に努めました。あわせて、ホワイトペーパーによるリード獲得とインサイドセールスの人員増強も実施しました。

【結論】
その結果新規顧客の獲得数が増加し、プロダクトAの売り上げが20%増加しました。

面接における例文

採用面接において、PREP法を活用した事例です。

【結論】
入社後は、セールスマネジャーとしてクラウドシステムの新規顧客営業で貢献できると考えています。

【理由】

前職では法人営業部のマネージャーとして、店舗向けのサブスクリプション型クラウドシステムの営業を行っていました。そこで培った経験と蓄積した営業ノウハウが御社でも生かせると思っています。

【具体例】

私の強みは新規顧客への営業力と、サブスクリプション型のビジネスモデルに関する豊富な知識です。前職では支店トップの成績をおさめ、優秀者に贈られる社長賞も受賞しました。

【結論】
これまでの実績と営業ノウハウや知識を生かして、御社でも新規顧客開拓で成果を出し、市場シェアの拡大に貢献したいと考えています。

PREP法の実践におすすめのシーン

前述したように、PREP法は使いこなすまでにある程度の訓練が必要になります。ここでは実践におすすめのシーンとして、次の3つを解説します。

  • 会議やプレゼンで実際に活用する
  • 報告書で活用しFBをもらう
  • 日々のメールに取り入れる

会議やプレゼンで実際に活用する

場数を踏むために、会議やプレゼンで積極的に活用してみましょう。会議やプレゼンのうまい人は、多くの経験を積んでいます。実戦でPREP法を使い、試行錯誤しながらクオリティを上げていきましょう。

会議の場合には、上司や役員の表情や会議中の質問などによって、うまく伝わったか不十分だったかがすぐに分かります。プレゼンの場合にも、受注につながったり企画が採用されたりと、結果がすぐに判明します。成果が出なかった場合には失敗した部分を振り返り、改善策を講じながら少しずつ精度を上げていきましょう。

報告書で活用しFBをもらう

ビジネスパーソンは業務日報や出張報告書、営業報告書など、さまざまな報告書を作成します。これらはPREP法を習得するためのいい機会といえます。

報告書を提出後は、上司から定期的にフィードバックをもらうことで改善していきます。社内の報告書で実践した後は、クライアントへの営業資料や社外プレゼンなどでも活用しましょう。経験値を積むことで、自然と伝わりやすい会話ができるようになったり、分かりやすい文章が書けるようになるでしょう。

日々のメールに取り入れる

メールの作成はビジネスパーソンにとって、日常的な業務の一つです。1日に複数のメールを送信する人もいるでしょう。本数をこなせるという意味では、練習の場として最適ともいえます。

報告書同様に、テキストにすることで理解が深まり、作成するごとに身についていくはずです。PREP法にそって文面を作成すれば、長文メールであっても相手に伝わりやすい文面が作れるでしょう。

まとめ

本記事では、PREP法の概要やメリット、注意点などに加えて、実際の文例なども紹介しました。PREP法は、分かりやすい文章を書いたり、伝わりやすいプレゼンを実践する時に最適なフレームワークです。特に、情報共有を円滑に行いたいと考えているビジネスパーソンにとっては、ぜひ習得したい手法の一つでしょう。

ここで紹介した通り、会議やプレゼンで積極的に活用したり、報告書や日常のメール作成にPREP法を取り入れることで、会話や文章のクオリティを向上させることができます。

PREP法をこれからはじめて使おうと考えていたり、これまで以上に使いこなしたいと考えている方は、ぜひ本記事で紹介したエッセンスを参考に実践してみてください。

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