
「社内報を発行したので、どれだけの人に読まれているのか把握したい」
「読者アンケートを実施して、社員から企画を募りたい」
「意見や感想を集めて社内報の改善に活かしたいので、アンケートの実施方法を知りたい」
社内報を発行していくと、このような課題に直面します。
社内報は発行して終わりではなく、読み手の意見を取り入れながら改善を続けていくことが重要です。そのための効果的な施策が「読者アンケート」です。閲覧率や読了率などの把握のほかに、読者のニーズをくみ取ったり、新規の企画を募集する際にも効果を発揮します。
ここでは、社内報の担当者に向けて、読者アンケートの必要性や実施手順、具体的な質問事項や注意事項を網羅的に解説していきます。
目次
社内報の読者アンケートの必要性とは
ここでは読者アンケートの必要性について、下記2点に絞って解説していきましょう。
- 読者の閲読状況や満足度の把握
- 新企画の募集
読者の閲読状況や満足度の把握
読者アンケートを実施することで、閲読状況や満足度が把握できます。
社内報は発行自体が目的ではなく、多くの読者に読まれないと意味がありません。社内報は組織内のコミュニケーション強化や企業のビジョン・ミッション・バリューなどを浸透させるために有効なツールです。効果を最大化させるためにも、まずは社員やその家族にしっかりと読んでもらうことが重要になります。
読者アンケートを行うことで、例えば次のようなことが把握できます。
- どのくらいの頻度で読んでいるか
- 企画内容や文章量は適切か
- 知りたい情報が網羅されているか
- 読みやすいデザイン・レイアウトになっているか
- 発行形態(紙またはWeb)は適切か
- いつ・どのようなデバイスで読んでいるか
- 家族も読んでいるか
- どの企画が面白いか(つまらないか)
アンケートの設問内容を工夫することで、読者の満足度や不満点なども把握できるようになります。回収したアンケートをもとにブラッシュアップしていけば、社内報の質を向上させることができるでしょう。改善を続けることで、より魅力的な社内報が制作できるようになります。
逆に言えば、読者のニーズや意見などを把握せずに制作担当者が独りよがりで社内報を作ると、「読まれない社内報」になるリスクがあります。そうした事態を回避するためにも、定期的な読者アンケートの実施が必要になるのです。
新企画の募集
読者アンケートは、社員やその家族などから企画を募る際にも有効な手段になります。
担当者にとって、企画の立案は骨の折れる作業です。常にネタ探しに追われることはストレスになるでしょう。かといって、いつも同じような企画の焼き直しになると、読者離れを引き起こす可能性があります。
読者アンケートは、読者が読みたい企画やテーマ、取り上げて欲しい人などを把握するのに最適です。さまざまな年齢や職種の人からアンケートを回収できれば、これまでになかった斬新な企画も生まれるかもしれません。
アンケートを活用することでネタ探しに困らなくなり、同時に読者ニーズも把握できるというメリットが期待できるのです。
社内報読者アンケートの2つのタイプ
読者アンケートの方法は、主に「紙媒体」と「Web」の2つです。どちらがより多くの読者からアンケートを回収できるか検討して、選択しましょう。
紙媒体でのアンケート
紙媒体でアンケートを実施する場合には、まずアンケート用紙やハガキを読者の手元に届ける必要があります。社内報を紙媒体で発行している場合には、アンケート用紙やハガキを折り込むという方法があります。また、社員一人ひとりに紙媒体を配布するという手もあります。
紙媒体の場合にはコストや手間がデメリットになります。印刷所で対応する場合、用紙代・印刷代の他に、アンケート用紙・ハガキを挟み込むコストが別途かかります。小規模な会社であれば担当者が部署ごとに配布すれば良いものの、印刷コストや配布の手間はある程度かかります。
紙媒体のメリットとしては、ITリテラシーが高くない人やパソコンやスマートフォンなどを日常業務であまり使わない人からも回答が得られる点が挙げられます。
紙媒体で実施するかどうかは、コストや手間に加えて、自社社員の特性も考慮に入れる必要があるでしょう。
Webを活用したアンケート
Webの場合には、アンケートフォームを活用するのが一般的です。フォームは簡単に作成できるため、手間やコストがほとんどかかりません。回収したアンケートはデータ化されているので、集計や分析もすぐに行えます。
読者アンケートをメールで行うという方法もあります。ただし、アンケートフォームに比べて、返信率が下がる懸念があります。また、社員数が多い場合にはメールでのやりとりは管理が煩雑になるため向いていません。メールを使った読者アンケートは、小規模から中堅規模の組織に限られるでしょう。
また先述したように、社員が紙媒体に親しみがあるのか、ITツールに馴染みがあるのかで、適切な運用方法が変わってきます。読者の年齢層や職種によって、最適な方法が変わってくるので注意しましょう。
社内報読者アンケートを実施する5つの手順
ここでは、実際に社内報の読者アンケートを実施する際の手順を説明していきます。一般的な手順は次の5ステップです。
- 読者アンケートの媒体を決める
- 読者アンケートに入れる質問を決める
- アンケートの実施
- 回収と分析
- フィードバックを行う
読者アンケートの媒体を決める
まずは、読者アンケートを紙媒体で実施するか、Web媒体で行うかを決めます。
前述のとおり、紙とWebで特徴が異なります。メリット・デメリットを整理すると次のようになります。
<紙媒体(アンケート用紙)>
メリット:低コスト(ただし印刷所で折り込む場合はコストがかかる)
デメリット:回収に手間がかかる、データ化しづらい
<紙媒体(ハガキ)>
メリット:回収が楽に行える
デメリット:コストがかかる(ハガキのデザインや印刷・折り込み費用など)、データ化しづらい
<Web媒体(アンケートフォーム)>
メリット:フォームの作成・回答・分析が容易に行える、コストが安い
デメリット:回答者は原則1人(家族と相談しながら回答しづらい)
<Web媒体(メール)>
メリット:低コスト
デメリット:回答数が多い場合に管理が煩雑になる
読者アンケートに入れる質問を決める
読者アンケートを実施する目的に沿った、質問項目を考えます。質問は読者が答えやすいように、短くシンプルな内容にしましょう。項目によって、択一式と自由記述式に分ける必要があります。
なお、質問を設定する前にアンケートの目的を明確化しておくことが重要です。目的はケースバイケースですが、「閲覧率の把握」「満足度の測定」「企画の募集」などが考えられます。目的を設定せずに漠然とした質問内容にしてしまうと、アンケート回収後に社内報制作に活かせません。
アンケートの実施
最初のステップで決めた媒体を使って、アンケートを実施します。
紙媒体の場合には、ハガキやアンケート用紙を作成して配布します。Web媒体の場合にはフォーム作成ツールを使うと、効果的に実施できます。例えば、Googleフォームを活用すれば、簡単に質問事項を作成できコストもかかりません。
また、社内報アプリや社内報ツールにアンケート作成機能が搭載されているものもあります。担当者にとって使いやすく、コストも抑えられ、回収率を上げられそうな手法を選択しましょう。
回収と分析
次にアンケートを回収し、分析します。紙媒体の場合には回収したアンケートを必要に応じてデータ化します。Web媒体の場合、データ化する必要がないのですぐに分析に取りかかれるメリットがあります。
回収率が低い場合は、部署長やマネージャーに協力を仰いだり、メールやコミュニケーションツールを使って回答を促します。
フィードバックを行う
回収したアンケートをもとに、企画やテーマを考えたり、レイアウト・デザイン・構成などを改善していきます。アンケートで企画を募集した場合には、ネタとしてストックしておくことで今後に役立てましょう。
また社員からの不満には真摯に耳を傾け、できる限り迅速に改善できるように対策を講じましょう。
社内報の読者アンケートに入れるべき4つの質問事項
読者アンケートにどのような質問を入れれば良いか分からないと悩んでいる担当者もいるかもしれません。ここでは、効果的な回答を得るために入れるべき4つの質問を紹介します。
- 解答者についての質問
- 社内報のコンテンツについての質問
- 社内報の読みやすさについての質問
- その他のフィードバック
解答者についての質問
【質問例】
Q.所属(営業部、マーケティング部、人事部、総務部など)
Q.性別(男性、女性、その他)
Q.年齢(10代、20代、30代、40代、50代、60代、その他)
Q.職種(バックオフィス、営業、マーケティング、開発、製造、販売など)
Q.居住地(47都道府県、国名など)
Q.家族構成(独身、既婚、子どもの人数)
Q.社内報はどのくらいの頻度で読んでいますか?(よく読む、たまに読む、少し読む、全く読まない)
Q.社内報はいつ読んでいますか?(休憩時間、通勤時間、休日)
Q.社内報はどうやって読んでいますか?(パソコン、スマートフォン、タブレット)
Q.社内報に対する満足度はどうですか?(大変満足、満足、普通、不満、とても不満)
読者の属性や社内報への評価・感想などを聞く項目です。年齢や部署、居住地や家族構成など、設問はさまざまです。近年は性別を聞く項目を入れないケースも増えています。またこの設問では、できれば匿名で、本人が特定されない内容にしておくことで、回答しやすくなります。
社内報に対する満足度や読む頻度を聞くことで、社内報が活用されているかどうかが分かります。また、いつ・どこで・どのように読むかを把握することも大事です。通勤時間に読むのであれば、短時間でサクッと読めるコンテンツを増やすという方法があります。またスマートフォンやタブレットで読む読者が多ければ、デザインやレイアウト、構成を変更するなどの工夫が必要になります。
社内報のコンテンツについての質問
【質問例】
Q.魅力を感じる記事はどれですか?
Q.興味のあるテーマを教えてください。
Q.今後取り上げて欲しい企画や人はいますか?
Q.今号で特に印象に残った記事を教えてください。
Q.社内報に掲載して欲しい企画タイトルを具体的に記述してください。
この項目では、コンテンツごとの評価について質問します。人気の記事や企画、不人気のテーマなどを把握することで今後に活かしましょう。また毎号アンケートを実施する場合は人気投票という形で票を集計し、次号以降で発表するという方法もあります。
さらに新企画を募る場合にもこの項目に入れます。テーマや人を挙げてもらう方法や、具体的な企画タイトルなどを記述してもらう方法があります。テーマや人、企画タイトルは、読者のニーズをダイレクトに把握できるという利点もあります。
社内報の読みやすさについての質問
【質問例】
Q.社内報のページ数や文字数は適切ですか?(多い、やや多い、普通、やや少ない、多い)
Q.レイアウトやデザインは見やすいですか?(とても見やすい、見やすい、普通、やや見づらい、見づらい)
Q.画像やイラストの分量は適切ですか?(多すぎる、やや多い、普通、やや少ない、少なすぎる)
この項目では、社内報の内容ではなく「見た目」について聞きます。読まれる社内報の特徴の一つに、デザイン的・レイアウト的な見やすさがあります。フォントの種類、文字の大きさ、文字の色、メリハリ、文字と図版のバランスなど、見やすさを左右する要素はさまざまです。
読者がストレスなく読めるようなデザインやレイアウトにするためにも、必ず入れておきたい質問項目です。
その他のフィードバック
【質問例】
Q.社内報に対して、意見や感想があれば自由に記述してください。
Q.今号のテーマに対する感想があれば教えてください。
Q.社内報への不満・改善点を教えてください。
読者の意見や感想などを自由に記述してもらう項目です。励ましや好意的な意見だけでなく、改善点や不満点なども把握し、今後に活かしましょう。
択一式の場合には、好意的な回答ばかりになる傾向もあります。自由記述であれば、より具体的な感想や意見が得られる可能性があります。
また、社員の家族が社内報を読んでいる場合には、思わぬ意見や提案が寄せられるかもしれません。多様な意見を集約して取り入れることで、より魅力的な社内報が制作できるようになるでしょう。
社内報の読者アンケート実施の際に押さえるべき4つの注意点
社内報をより良いものにするために、読者アンケートは効果的です。ただし、実施する際には注意点もあります。担当者が押さえるべき4つの注意点は下記の通りです。
- 質問項目をシンプルにする
- アンケートの目的を伝える
- 匿名性を保証する
- アンケート結果を次号以降に反映させる
質問項目をシンプルにする
アンケートの回答率を高めるためにも、質問項目をシンプルにしましょう。
アンケートの回答には時間や手間がかかります。面倒くさい、煩わしい、時間がかかるといった理由で、回答してくれない読者も多いでしょう。対策として、読者にストレスをかけずに気軽にアンケートに答えてもらう工夫が必要になります。
設問がシンプルで分かりやすく、回答も選ぶだけであれば、より多くのアンケートを回収できるでしょう。設問数も多すぎず、数分で回答できる程度にとどめておくことが重要です。
思うようにアンケートが集まらない場合には、プレゼント企画を実施するなど、回答率を上げるための施策も考えてみましょう。
アンケートの目的を伝える
アンケートの目的を読者に理解してもらいましょう。
アンケートの冒頭に、
- アイデア募集のため
- 社内報の活用状況の把握のため
- アンケートをもとに記事を作成するため
- 改善案を募集して次号以降に活かすため
など、目的を記載しましょう。
何のためにアンケートが実施されているのかが分からないと、読者も協力しづらいでしょう。
社内報を愛読している人にとっては、自分のアイデアを企画にして欲しいという人もいるかもしれません。あるいは、改善点を提案したいと考えている読者もいるでしょう。
アンケートの目的が明瞭であれば、読者の協力も得られ、回答率も向上するはずです。
匿名性を保証する
アンケート回答者の匿名性を保証することも大事です。アンケートには個人的な要望や、批判的な意見を記載するケースもあるでしょう。回答は制作担当者が読むだけでなく、場合によっては社内報に載ることもあります。
「誰が答えているのか」や「誰が不満を言っているのか」が明白な場合、回答者に迷惑がかかる可能性が出てくるでしょう。そうした前例があると、以後読者がアンケートに非協力的になるリスクがあります。
社員が安心して回答できるような設問内容や記述方式の設定、回収方法を考えましょう。
アンケート結果を次号以降に反映させる
アンケートは実施することが目的ではなく、次号以降に活かすことが重要です。社内報の内容だけでなく、体裁や発行形態の意見や提案もできる限り取り入れましょう。
また、新企画を募集し、採用した場合には御礼や追加でのヒアリングなども実施しましょう。
アンケート自体が目的化しないために、回答が集まったらデータを分析したうえで、次のアクションが打てるように迅速に行動することが大事です。
まとめ
今回は、社内報制作で読者アンケートを実施する必要性や手順、具体的な質問項目や注意点を解説しました。
社内報をより良いものにするためには、読者の声に耳を傾ける必要があります。要望や意見、不満点などを集め、次号以降に活かすことで「読まれる社内報」の制作につながるでしょう。
読者アンケートをまだ実施したことがない担当者の方は、本記事で紹介した手順や質問項目を参考にしてみてください。その際には、読者からより多くの回答を得られるような工夫や配慮も忘れないようにしましょう。
アンケートの作成には無料のフォームを利用したり、社内報ツールに搭載されているアンケート機能を使うのが効率的です。グループウェアやコミュニケーションツールなどでも実施できるので、この機会にさまざまなツールの導入を検討してみても良いでしょう。