最終更新 2023年4月5日

ナレッジ活用の極意とは?ナレッジの活用メリットや3つの注意点も解説

なぜナレッジを活用する必要があるのか、メリットが知りたい」
「ナレッジ活用に役立つおすすめのツールにはどのようなものがあるのか」
ナレッジ活用を推進する担当者の中にはこのような疑問を持つ人もいるでしょう。そこで今回は、ナレッジ活用の基本的な知識から導入メリット、活用のための3ステップ、注意点、おすすめツール3選を紹介します。

ナレッジを活用することで、テレワーク環境でも業務を効率化でき、人材教育や業務の属人化解消に繋げられます。組織の持続的な成長を実現するためにも、ナレッジ活用についての知識を深めて社内に必要性を広めていきましょう。

ナレッジ活用の基礎知識

ビジネスシーンでよく使用されるキーワードに「ナレッジ」があります。ナレッジとは、「利益に繋がる情報」や「付加価値を生み出す知見」といった意味があります。ナレッジを活用することで組織全体の生産性向上などが期待でき、人材育成や引継業務の効率化にも役立つとされています。

多くのビジネスパーソンにとってはなじみ深いキーワードともいえますが、中にはナレッジの意味やナレッジの活用が必要とされている背景について、詳細まで理解していない人もいるでしょう。

そこで、まずはナレッジ活用の基本的な意味と活用が注目されている背景について、解説していきましょう。

ナレッジ活用とは利益に繋がる情報を共有して業務に活かすこと

ナレッジとは英語の「knowledge=知識」のことです。ビジネスシーンでは、「利益に繋がる情報」を指します。このことから、ナレッジ活用とは次のように定義できます。

【ナレッジ活用とは】

利益に繋がる情報を社内で共有して業務に活かすこと

ナレッジの活用が注目される背景

ナレッジの活用が近年注目されている背景には、次の3つがあります。

  • 持続的な成長を達成するため
  • 組織のコミュニケーションを円滑化するため
  • 属人化を解消するため

持続的な成長を達成するため

1つ目は企業が持続的な成長を求められているためです。

市場の成熟化やグローバル化に加え、テクノロジーの進化によって顧客ニーズの多様化が急速に進んでいます。そのような中で企業が競争力を高めていくためには、DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務変革や新たなビジネスモデルの創出などが必要になります。
業務変革や新規事業創出を実現するための一つの方法がナレッジ活用です。どのような企業にも長年にわたって蓄積されてきたナレッジがあります。各部署に散在していたり、個人がもつコツやノウハウを全社で活用できれば、業務効率化・生産性向上に繋がられます。また新しいビジネスモデルの構築やアイデアの創出にも貢献しうるため、企業の継続的な成長にも繋げられるというわけです。

組織のコミュニケーションを円滑化するため

2つ目は、組織のコミュニケーションを円滑化する必要があるためです。
近年は、テレワークが普及したことで組織内のコミュニケーション不足が課題として挙がっています。リモートワークではメンバー間のコミュニケーションが取りづらく、分からないことがあってもすぐに聞けず、業務が滞ることもあるでしょう。

ナレッジを活用するための仕組みやルールがあれば、社員は社内wikiや社内FAQにアクセスすることで、自力での課題解決も見込めます。またナレッジツールによってはコメント機能やチャットツールもあるので、スムーズなコミュニケーションも可能になるでしょう。

属人化を解消するため

3つ目は、人材育成を効率的に行ううえで、「業務の属人化」を解消する必要があるためです。

コミュニケーション不足は業務の属人化といった問題も引き起こします。特に中小企業は、人材育成において、業務知識の属人化が大きな課題となっています。実際、株式会社デジタル・ナレッジが行った調査によると、中小企業の4社に1社は業務の属人化に課題を抱えていると回答しているのです(下図参照)。

出典:《調査報告》 中小企業の4社に1社が「業務知識の属人化」に課題|PR TIMES

従来、中小企業の多くは、知識の共有やノウハウの伝達を対面での研修や口頭説明で行ってきました。しかしコロナ禍によって、対面での教育や研修が難しくなり、以前にも増して業務の属人化が進んでいるというのが現状です。

こうした属人化の課題を解決するための方法として、オンラインツールを使ったナレッジ活用が注目されているのです。

ナレッジ活用の3つのメリット

ここではナレッジ活用のメリットを紹介していきます。具体的なメリットは以下の3つです。

  • 業務効率化が可能
  • 人材育成をスムーズに行える
  • 情報の属人化を防止できる

業務効率化が可能

ナレッジ活用によって、テレワーク環境下でもコミュニケーション促進が図れるため、業務効率化にも繋げられるでしょう。

2020年にはじまったコロナ禍以降、多くの企業でテレワークが普及しつつあります。その結果、以前のように部署内での対面での打ち合わせや雑談が難しい状況になっています。

メンバー間でのコミュニケーションの頻度が下がると、円滑な業務の遂行に影響が出ます。また部下が業務の進め方や手法に悩んでいる場合、上司に相談できずにいると業務効率が下がるだけでなく、ミスやトラブルに発展するケースも考えられます。

このような場合に社内や部内でナレッジを共有する仕組みを構築しておけば、コミュニケーションの促進に繋がり業務効率化にも貢献します。例えば、ナレッジ共有ツールを使えば、マニュアルや業務フローの共有も簡単に行えます。業務のポイントや注意点を共有することで、業務品質の維持も可能です。

ツールによっては、チャット機能やコメント機能もあるので、分からないことがあればすぐに質問でき迅速に解決策を得られるでしょう。

人材育成をスムーズに行える

社内でナレッジを共有して活用できれば、人材育成もスムーズに行えます。

多くの企業では人材不足が大きな課題になっており、特定の社員に業務が集中しているという問題があります。仮に新しい人材を確保しても、業務を教えている時間がないというのが現状です。ナレッジを共有して活用できれば、新入社員は自分のタイミングで資料を確認し、後から何度でも見返すことが可能です。これにより、教える側の負担が軽減し、同時に新入社員の習熟度も高められるというメリットが期待できます。

また中途採用者などの即戦力の人材を育てる際にも、ナレッジ活用は効果的です。例えば、優秀な営業員のトークスクリプト(台本)や提案資料を共有すれば、すぐに業務に活かせます。

このように、ナレッジ活用によって人材育成にかかるコストを大幅に削減できるだけでなく、利益の拡大にも貢献するのです。

情報の属人化を防止できる

テレワークの普及によってコミュニケーション不足が進むと、「情報」の属人化も進みます。ナレッジ活用によって、情報を逐一投稿し更新していけば情報の属人化解消にも繋げられるでしょう。

特にナレッジ共有ツールや社内wikiを導入すれば、リアルタイムにどこからでも情報の投稿や更新が可能です。ナレッジは、業務のノウハウ・コツ、成功事例、顧客情報、資料のフォーマットやマニュアルなど多岐にわたります。簡単にナレッジを共有できる仕組みがあれば、特定の部署や特定の人材が情報を独占するという事態を回避できるでしょう。

ナレッジ活用の3つのステップ

ナレッジ活用にはさまざまなメリットがあり、企業が直面している課題の解決策になり得ます。しかし、どのように取り入れれば良いのか分からないと悩む担当者も多いでしょう。

ここでは、ナレッジ活用の担当者やナレッジ活用の必要性を企業内に広めたい社員に向けて、活用のための3ステップを紹介します。

  1. 必要なナレッジを蓄積する仕組みを作る
  2. ナレッジを業務に活かせるようにツールを導入
  3. PDCAを回して運用する

必要なナレッジを蓄積する仕組みを作る

最初に着手するのは、必要なナレッジを蓄積する仕組みを作ることです。通常、ナレッジは部署や個人が個別にもっているため、まずは「どのようなナレッジ」を「どのように蓄積するか」を決める必要があります。

ナレッジには例えば次のようなものがあります。

  • 成功事例……部署ごとの事例や過去の事例など
  • 専門知識……ベテランやハイパフォーマーがもつノウハウやコツなど
  • 知的資産……各種資料(企画書、提案書、請求書、納品書、日報、議事録など)のフォーマットデータや業務マニュアルなど
  • 顧客情報……顧客、ユーザー、取引先、問い合わせ履歴などの情報

このうちどの情報を蓄積するのか、誰がどのようなタイミングで情報を投稿・更新するのかについてのルール作りが重要です。

蓄積する方法もさまざまです。例えばWordやExcelに各自情報を記入していく方法や、担当者にチャットやメールで情報を伝達し、まとめるなどの方法があります。ただし、この方法では情報が膨大なため、とりまとめるのが難しくなります。

社内に蓄積されているナレッジは、全社で活用するための仕組みが必要です。そのため、社員が蓄積・共有・活用という各ステップを簡単に行えない場合、ナレッジ活用が形骸化するおそれがあります。

ナレッジを業務に活かせるようにツールを導入

蓄積したナレッジを業務に活かすためには、ナレッジ共有ツールや社内wikiツールなどを導入するのが効果的です。

上述のように手作業でナレッジを蓄積するのは、手間や時間がかかるため現実的ではありません。またOfficeソフトではリアルタイムでの情報の更新や共有が難しく、リモートワーク時に必要な情報をすぐに見つけたいといった社員の要望にも応えられないでしょう。チャットツールでナレッジを蓄積する場合も、検索性に課題があります。

そうした課題を解決し得るのが、専用ツールの導入なのです。ツールを使えば各社員が簡単に「蓄積(投稿・更新)」でき、情報の「共有」や通知もスムーズに行えます。また、自宅や出先など場所を選ばずモバイルツールからでもナレッジにアクセスでき、営業活動や資料作り、マニュアル確認に「活用」できるでしょう。

PDCAを回して運用する

ツールを導入したら、社内で運用をはじめます。運用後には、PDCAを回して効果測定を行いましょう。改善点が見つかったら、適宜修正しながらナレッジツールの定着化を進めます。社員がツールを使いこなすことで、ナレッジ活用の文化が醸成されていくでしょう。

なお、ナレッジ活用を社内に広めようとしても、社員が協力的でなかったり、活用の必要性が見出せずにツールを使わなくなるという問題もよく起こります。

PDCAサイクルを回す中で問題に直面した場合には、社員のマインドの問題なのかツールの問題なのかなど、原因を特定することが重要です。

ナレッジ活用を行う場合の3つの注意点

ここでは、ナレッジ活用を行う際に気をつけるべき、3つの注意点を解説します。

  • 検索性の高いシステムを設計する
  • ナレッジ蓄積をしやすい仕組みを作る
  • ナレッジ活用の担当者を決める

検索性の高いシステムを設計する

ツールを導入する際には、検索性の高さや検索機能について確認しましょう。必要なナレッジに素早くアクセスできない場合には、社員がツールを利用しなくなるおそれがあります。

例えば、キーワードやタグで簡単に検索できたり、WordやExcelなど、アップされているファイルの中身が全文検索できる機能などがあれば、社員は必要な情報を簡単に見つけられるでしょう。

ナレッジ蓄積をしやすい仕組みを作る

ナレッジを蓄積するのは各社員なので、投稿や更新がしやすい仕組みを作ることも重要です。直感的に操作できるUIを採用していたり、テンプレートが豊富にあるツールであれば、ITに詳しくない人でも簡単にコンテンツを作成できます。

例えば、マニュアルや業務フローなどを投稿する際に、テンプレートがあれば社員は項目を入力するだけなので簡単にナレッジを作成できるでしょう。

ナレッジ活用の担当者を決める

ナレッジ活用を組織に浸透させるための担当者を決めることも大事です。ナレッジ活用を習慣化するためには、メリットや目的などを社員に周知することが重要になります。担当者が講習会や社内ミーティングなどを開催し、ツールの導入メリットや目的を伝えることで社員は納得感が得られます。結果、ツールの定着が進むでしょう。

また、担当者はツールの使い方やナレッジ活用の運用ルールが分からない場合の相談窓口も担うことになります。不明点や疑問点を放置すると、社員はツールを使わなくなるため、定期的に社内アンケートを取るなどして問題を解決していきましょう。

なお、担当者は一人でも構いませんが、会社の規模が大きい場合や担当領域が広い場合にはチームを作って対応する方法でも良いでしょう。

おすすめのナレッジ活用ツール3選

ここでは、ナレッジ活用におすすめのツールを3つ取り上げ、特徴などを紹介していきます。

QiitaTeam

ツール名Qiita Team(キータチーム)
料金(月額)Personal:500円/1名Micro:1,520円/3名までSmall:4,900円/7名までMedium:7,050円/10名までLarge:15,300円/17名までExtra:15,300円/17名以上※18人目以降はプラス月額720円/1人あたり
※すべて税込
無料トライアル30日間

【特徴】

Qiita Teamは、誰でも簡単にナレッジを書けて、スムーズに共有できる社内向け情報共有サービスです。シンプル設計のフィード表示で、ナレッジを簡単に確認・共有できるので、情報のキャッチアップもストレスなく行えるでしょう。

マークダウン記法でさくさく書き進められるので、日報・議事録・FAQ・マニュアルなどの社内情報やナレッジの共有を効率化できるのも特徴の一つです。

コメント欄を使うことでコミュニケーションの活発化も期待できるので、社内文化の醸成やツールの定着化も促進できるでしょう。

Qiita Team公式サイトへ

NotePM

ツール名NotePM(ノートピーエム)
料金(月額)プラン8:4,800円(8人まで)プラン15:9,000円(15人まで)プラン25:15,000円(25人まで)プラン50:30,000円(50人まで)プラン100:60,000円(100人まで)プラン200:12万円(200人まで)※見るだけのユーザーは無料(ユーザー数の3倍まで)※すべて税込
無料トライアル30日間

【特徴】

NotePMは、ウィキペディアのように、知りたいことがすぐに分かる社内wikiツールです。社内マニュアル、業務手順書、社内FAQをはじめ、個人がもつノウハウなどのナレッジの蓄積や共有が簡単に行えます。

コメントやいいね!機能を使うことでコミュニケーションを促し、ツールの定着やナレッジ活用の習慣化に繋げられるでしょう。ページを見た人を確認できる機能もあるので、投稿者のモチベーションアップも期待できます。

NotePM公式サイトへ

kintone

ツール名kintone(キントーン)
料金(月額)スタンダードコース:1,500円/1ユーザーライトコース:780円/1ユーザー※すべて税抜
無料トライアル30日間

【特徴】

kintoneは、ノンプログラミングでビジネスアプリが開発できるクラウドサービスです。多彩なアプリやコミュニケーションスペースが必要な分だけすぐに追加できます。

さまざまなアプリを活用することで、Excelファイルやメール、紙の資料など、社内に散在している情報(ナレッジ)を一元管理できるようになるでしょう。

アプリには、データを蓄積する機能と一覧表示できる機能と検索できる機能が備わっています。そのため情報の集約はもちろん、社員が必要な情報に素早くアクセスできるといったメリットもあります。

kintone公式サイトへ

まとめ

今回は、ナレッジ活用の基本的な情報をはじめ、活用するメリットや導入方法、注意点、おすすめツールなどを紹介しました。

ナレッジ活用によって、業務効率化が図れ、人材育成もスムーズに行えます。くわえて、業務や情報の属人化を解消できるので、組織の持続的な成長にも寄与するでしょう。

ナレッジ活用の推進を任された担当者は、まずは仕組み作りと自社に適したツールの選定を進める必要があります。例えばQiita Teamを導入すれば、簡単にナレッジを作成でき共有もスムーズに行えます。ナレッジ活用やツールの定着を図るためのコミュニケーション機能が備わっている点も魅力の一つです。

30日間の無料トライアルも利用できるので、ぜひ導入を検討してみてください。

Qiita Teamで情報共有をはじめよう