
「社内稟議とはどのようなものだろう? メリットやデメリットも知りたい」
「稟議書を作成することになったが、通りやすい書き方はあるのだろうか?」
こうした疑問をもつビジネスパーソンは多いでしょう。
仕事をする上では、上司や経営層から承認を得なければならない場面はたくさんあります。「新しいITツールを導入したい」「新規の取引先と契約したい」「採用活動をスタートさせたい」──。このような時に稟議書の作成が必要になります。
ただし、社内稟議は作成したものがすべて通るとは限りません。中には承認が得られなかったり、なかなか決済が下りない稟議もあります。
そこで今回は、社内稟議についての基本やメリット・デメリットを解説し、通りやすい稟議書の書き方を解説していきます。社会人にとって基本といえる稟議書の書き方を網羅的に解説しているので、ぜひ業務に役立ててください。
社内稟議とは
仕事を進める上では、契約業務や物品購入、採用活動など、上司や経営層の承認が必要な場面がたくさんあります。その時に行う手続きが「社内稟議」です。ここではまず、社内稟議の基本的な知識や社内稟議の具体例、決裁との違いなどをみていきましょう。
社内稟議は社内で承認を得るための業務
社内稟議とは、社内で上司や経営層の承認を得るための手続きを指します。稟議書を作成して回覧することで、関係者の承認を得ることができます。
社内稟議は、新規事業の立ち上げや資産の購入、社員の昇進・転勤、採用活動など、ビジネス上の重要な意思決定を伴う場面で必要になります。
以前までは稟議書は紙で回覧するケースがほとんどでした。しかし近年はデジタルツールの発展によって、クラウド上で使えるワークフローシステムの活用が進んでいます。ワークフローシステムを使えば、ペーパーレス化によってコスト削減が可能になるだけでなく、テレワーク環境下でも、申請・承認作業が可能になります。そのため、ビジネスの効率化やスピードアップ、働き方改革の推進などにも寄与すると期待されているのです。
社内稟議の種類
社内稟議には様々な種類があります。中でも、「契約稟議」「購入稟議」「採用稟議」はビジネスにおいて頻繁に使用されるものといえます。以下で、この3つの特徴を解説していきましょう。
契約稟議
契約稟議とは、新規の取引先との契約を締結するために必要となる稟議書のことです。契約の詳細や条件、サービスの提供範囲、料金、担当者などを明確に記載します。
購入稟議
購入稟議とは、会社が新たに購入する機器・備品・サービスなどの決済を得るために必要となる稟議書です。機器やサービスの名称、費用などを記載します。また多くの場合、見積書を添付して回覧します。
採用稟議
採用稟議は、採用活動を行う際に作成される稟議書のことです。獲得を目指す人材像(スキルや経歴)や採用方法、コスト、スケジュールなどを記載します。また、なぜ新規採用を行うのか、背景や理由なども書く必要があります。
社内稟議と決済の違い
社内稟議と決裁は主体が異なります。
社内稟議とは、起案者が複数の関係者(上司や経営層)に書類を回覧し、順番に承認を得る行為を指します。一方、決裁とは、最終的な意思決定者が承認する行為を指します。
前者の主体は起案者であり、後者の主体は意思決定権を持つ上司や役員です。
社内稟議のメリット
社内で稟議書を回すメリットには、次の2つがあります。
- 文書だけで承認できるので効率的
- 様々な部署に周知して承認できる
それぞれについて、詳細をみていきましょう。
文書だけで承認できるので効率的
まずは効率性が挙げられます。承認を得るための会議を開催する必要がなく、文書だけで完結するため業務の効率化が可能です。
稟議書を回さない場合には、複数の関係者との日程調整を行った上で会議や面談を実施します。その分時間や手間がかかり、最終的に決裁が下りない場合には一から調整し直す必要が出てきます。
社内稟議の場合は書類を作成して回覧するだけのフローなので、手間を大幅に削減できるのです。
様々な部署に周知して承認できる
社内稟議は、関係する様々な部署や立場の人に回覧されます。そのためより多くの人に内容の周知が図れます。周知することで全体の理解度が上がるため、スムーズな承認へとつながるのです。
さらに、稟議書は多くの人が書類に目を通すため、問題点があればすぐに発見されるというメリットもあります。
社内稟議のデメリット
メリットがある一方で、いくつかのデメリットも把握しておく必要があります。社内稟議のデメリットとして、次の2点を説明していきましょう。
- 承認までに時間がかかる
- 責任の所在が分かりにくくなる可能性がある
承認までに時間がかかる
社内稟議は効率性アップが期待できる反面、関係者が多岐にわたるため承認までに時間がかかるケースもあります。例えば、多忙な役員や不在がちの上司の手元で稟議書が止まってしまう可能性があるでしょう。
そうしたケースでは、事前のスケジュール通りに業務が進まなくなるため、仕事が停滞したり、ビジネスチャンスを逃すリスクも考えられます。
責任の所在が分かりにくくなる可能性がある
社内で稟議にかける場合、承認者が複数名にわたるため、責任の所在が不明確になる可能性があります。
多数の人が書類に目を通している場合、一人ひとりのチェックが甘くなるケースがあります。もしもトラブルが生じた際に、誰が責任を取るべきか、誰が説明をすべきかが曖昧になります。
起案者が上司に説明を求めることは、実際問題としても難しいでしょう。そのため、事前に責任の所在やトラブルが発生した時の解決方法を明確化しておく必要があります。
通りやすい社内稟議を書く5つのポイント
稟議書は、以下のポイントに注意して作成することが重要です。
- 結論ファーストで書く
- 具体的なデータを用いてかく
- 余計な情報を入れない
- メリット・デメリットを明示する
- 事前に根回しをする
結論ファーストで書く
稟議書は結論ファーストで書くのが基本です。また社内稟議にかかわらず、ビジネス文書の作成では常に最初に結論を述べることを意識しましょう。
特に、稟議書の場合、承認者の多くは役員や経営層です。多忙な立場にあったり、外出していることが多いので、分かりづらい文面だと読まずに後回しにされたり、最悪の場合には承認されないリスクもあります。
そのためタイトルや冒頭を読んだだけで、内容が分かるように工夫することが大事です。文章はシンプルに記載し、端的にまとめましょう。
具体的なデータを用いて書く
稟議を通すためには、相手を納得させる必要があります。そのためには、具体的なデータに基づいた稟議書を作成しましょう。
例えば、ITツールの導入に関する稟議書であれば、「作業時間:一人あたり毎月〇〇時間削減」「ランニングコスト:毎月〇万円削減」など、定量的な数値を記載すると信憑性が高まり、承認を得やすくなります。
余計な情報を入れない
稟議書は余計な情報を盛り込まず、要点だけを記載しましょう。先述の結論ファースト同様に、承認者が短時間で理解できるような内容が基本です。
稟議書作成の過程で入手した情報を羅列したり、二次的な資料をたくさん添付すると、承認者の読む気が削がれます。説得力を失わない程度に内容を絞り、要点をまとめて記載することを心がけましょう。
メリット・デメリットを明示する
稟議内容によっては、メリットの他にデメリットやリスクについても触れる必要があります。メリットや導入効果のみを記載するのではなく、デメリットやリスクについてもしっかりと記載しましょう。
その上で、メリットがデメリットを上回るということを客観的なデータに基づいて説明します。デメリットやリスクを明示しつつ、費用対効果や実際の導入メリット、施策を実行することでビジネスに与えるプラスの側面を書くことで、承認者に納得感を与えられるでしょう。
事前に根回しをする
稟議書を回す前には、事前に関係者に情報を共有するなど、根回しを行うことも重要です。提案内容についての説明や質問への回答などに丁寧に対応することがポイントになります。
他部署の関係者や経営層の中には、稟議書が作成された背景や理由について、まったく関知していない可能性もあります。そのような場合、承認者に不信感を与えるリスクもあるでしょう。最悪の場合、承認を得られずに業務が停滞するケースも考えられます。
そうした事態を未然に防ぐためにも、起案者や起案者が所属している部署が取り組んでいるビジネスや直面している課題、将来ビジョンなどについて、日頃から意思決定者と共有しておくことが重要です。
部署をまたいだコミュニケーションを心がけることで、円滑な業務の推進が可能になるので、対面の会話やビジネスチャットなどを活用して関係強化につとめましょう。
まとめ
今回は、社内稟議についての基本とメリット・デメリット、さらに書き方のポイントを解説しました。社内稟議は承認を得るための重要な手続きです。社内稟議が通らないと、業務が停滞したり、ビジネスチャンスを逃すリスクもあります。
本記事で紹介したポイントを押さえることはもちろんですが、業務のスピードアップを図るためにはデジタルツールの活用も不可欠です。例えば、Qiita Teamにはワークフロー機能も備わっているため、従来の紙での申請・承認業務をデジタル化できます。
デジタル化によって、いつでもどこからでも申請・承認が行えるので、申請や承認のためにオフィスに出勤する必要がなくなります。また、誰が稟議書を止めているのかが一目瞭然になり、承認作業の催促も可能になるのでスピーディーに稟議を通すことができるでしょう。
テレワークによってワークフローシステムの導入を検討している担当者の方は、Qiita Teamの活用を考えてみてはいかがでしょうか。
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