
「ファイル管理の効率的な方法やコツを知りたい」
「ファイル管理の方法を決めるように上司に指示されたが、やり方がわからない」
という疑問や悩みを抱えている担当者も多いのではないでしょうか?
ファイル管理を怠ると、個人はもちろんチームの生産性や業務効率が下がります。ミスが増えて、大きなトラブルにつながる可能性もあるでしょう。担当者にとっては適切なルールを定めて、効果的に運用したいものです。
そこで今回はファイル管理の基本から、適切なファイル管理を行うメリットやコツ、注意点などを解説していきます。ファイル管理の方法を理解して、業務に役立てましょう。
ファイル管理とは
ファイル管理とは、業務で使うファイルに分かりやすい名前を付けて分類し、ルールにのっとって適切に整理・保存することです。
ビジネスシーンではWord・Excel・PowerPointなどのOfficeソフトで作成したファイルに加えて、画像や動画、PDFなど、さまざまなファイルを使用します。自身が使用したファイルやクライアントから受け取ったデータ類を適切に管理することは、業務効率化や生産性向上に貢献します。
またファイル管理のルールを定めて適切に運用することで、チームでのファイル共有・活用もスムーズに行えます。クラウドサービスを使えば、協力会社のスタッフやクライアントともオンラインでファイルのやりとりが行えるので、スムーズに業務を進行できるでしょう。
近年はパソコンだけでなくスマートフォンやタブレットなどのデバイスで仕事をするビジネスパーソンも増えています。そのため、営業先などの出先や移動中に使ったデータ類も適切に管理できるような仕組み作りが求められているのです。
ファイル管理を適切に行う2つのメリット
ここでは、ファイル管理を適切に行うことで得られるメリットを整理していきましょう。主なメリットは次の2つです。
- 生産性が向上する
- 業務上のミスを防止できる
生産性が向上する
1つ目のメリットは、生産性が向上することです。
多くのビジネスパーソンは、職種を問わず、日常的に複数のファイルを使用するでしょう。自分で作成したファイル以外にも、
- 社内外の関係者からメールで送られてきたデータ
- チャットで送られてきたデータ
- オンラインストレージからダウンロードしたデータ
- クラウド型の社内wikiやナレッジ共有ツールからダウンロードしたデータ
- Webサイトからダウンロードしたデータ
- スキャンデータ
など、さまざまな経路からデータをダウンロードする機会があります。
管理せずにそのままにしていると、自分のローカル環境や社内の共有フォルダが未分類のファイルであふれかえるおそれがあります。その場合、必要なファイルを探す時に手間や時間がかかり、業務効率が著しく下がる可能性があります。
適切な管理によって、ファイル名・フォルダ名・保存場所などのルールを全社で定めて運用することで、社員は目的のファイルをすぐに入手できるようになります。
企画書、議事録、申請書など、種類ごとにファイルを分類しておけば、誰でもすぐに目当てのファイルにアクセスできるため、資料作成の際などに役立てることで時短や生産性向上につなげられるのです。
業務上のミスを防止できる
2つ目のメリットは、業務上のミス防止やセキュリティ対策につながる点です。
ファイル管理ができていない場合、社内で共有しているテンプレートや過去に使用した重要なデータが削除されてしまったり、上書き保存されてしまうおそれがあります。データの消失によって復元できない場合には、大きな損失につながります。
また、各社員がファイルを自分のパソコンで管理している場合、パソコンを紛失したり、ウイルスに感染したりすることで、顧客情報や社外秘の情報が流出するおそれもあります。
適切なファイル管理を行うことで、ファイルの削除・上書きといったミスを防止でき、社員が独自に管理することで生じるデータの流出リスクも最小化できるメリットがあるのです。
ファイル管理を行うための6つのコツ
ファイル管理を成功させるには、社内で統一ルールを設け、足並みをそろえて運用していくことが必要になります。仕組み作りの際、ファイル管理の方法を決める担当者は次の6つのコツをしっかりと理解しておきましょう。
- ファイル作成ルールを設定する
- フォルダ作成ルールを決める
- 一時保存フォルダを作成する
- 定期的に削除や整理を行う
- 自動バックアップを行う
- タグ機能を活用する
ファイル作成ルールを設定する
ファイルを作成する際、ファイル名の付け方のルールを明確化しましょう。分かりやすいファイル名を付けることで、検索性が増し、誰でも簡単に必要なファイルを探し出せるようになります。
正しいファイル名の例は次の通りです。
日付+内容+(担当者)+バージョン
(例)
20230310_議事録_Ver.2
20231104_新商品発表会_20
20231212_イベント告知_田中作成_version.3
<ポイント>
- 先頭に日付を付けることで、時系列が分かる
- 英数字を半角に統一することで、正確な並び替えが可能
- 項目をつなぐ記号(「_」)を統一することで、視認性や検索性が増す(「-(ハイフン)」なども可」)
- バージョンは数字で付ける(「最新」「最終」などはNG)
- 必要に応じて、作成者の名前も入れる
どのようなルールを設けるにせよ、社内で厳格に運用することが重要です。ルールを守らずに独自にファイル名を付けると、検索性が下がり、他の社員がファイルを見つけることができなくなるおそれがあります。
フォルダ作成ルールを決める
フォルダ名も、ファイル名同様に統一ルールを定めます。フォルダ名に入れる項目は次の通りです。
- 追番
- クライアント名
- 担当者名
- 部署名(営業部、人事部、マーケティング部など)
- 業務・タスク名(企画書、申請書、日報など)
またフォルダを作成する際には、階層を深くしすぎないことが重要です。基本的には3〜4階層にとどめましょう。深すぎると、目的のデータを探すのに時間や手間がかかります。また、保存先の指定をミスしてしまう可能性も高まり、ファイルが散在してしまうといったデメリットも考えられます。
なお、フォルダ名も並び替えを意識して、英数字は半角に統一します。また項目をつなぐ記号(アンダーバーまたはハイフンなど)の使用ルールも明確化しておきましょう。
一時保存フォルダを作成する
一時保存用のフォルダを作成しておくことも大事です。例えば、使用したファイルの保存先が分からない、またはフォルダを新たに作る必要がある、などの場合には適当なフォルダに保存したり作成したりせずに、後から落ち着いて対応した方が良いでしょう。そのために一時保存先が必要になるのです。
また、一定期間だけ使用するようなファイルは、新たにフォルダを作成する必要はないので、一時保存用のフォルダに待避させておきましょう。
定期的に削除や整理を行う
ファイルは定期的にメンテナンスしないと増える一方なので、タイミングを決めて整理するようにしましょう。不要なファイルを削除したり、一時保存用のフォルダを整理するなどの対応が必要になります。
特に社内の共有フォルダやオンラインストレージは、複数の社員がそれぞれにファイルをアップロードするため乱雑になりがちです。そのため共有フォルダの管理者を決めて、定期的なメンテナンスを行いましょう。
一時的に待避させているファイル、ルールを守らずに間違ったフォルダに保存しているファイルなどは、作成者に注意を促し、一定期間後に対応しない場合には削除すると通達したほうが良いでしょう。
自動バックアップを行う
データの消失を防ぐために自動バックアップの体制を整えましょう。重要なファイルやフォルダを誤って削除してしまったり、上書き保存してしまうことは往々にして起こります。また、ウイルス感染やハードディスクの損傷によって、データが消失するリスクもあるでしょう。
例えば、クラウド環境にデータを保存し、自動バックアップの設定をしておけばファイルの消失リスクを最小化できます。間違って上書き保存してしまった場合にも、前のバージョンに戻すことが可能です。
ファイル管理の担当者が手動でバックアップを行う方法もありますが、作業を失念してしまうケースも考えられるので自動で対応した方がより安心でしょう。
タグ機能を活用する
検索性を向上させるために、タグ機能を活用しましょう。タグ機能はWindowsであればデフォルトで備わっています。またファイルやフォルダにタグを付けるソフトウェアもあるので、必要に応じて導入しましょう。
タグを付けていない場合には、一つずつフォルダを開けてファイルを探したり、キーワードで検索したりします。その場合、時間がかかったり、目当てのファイルを探し出せない可能性があります。タグ付けしておけば、自分が欲しいファイルを見つけやすくなるので業務効率化にも寄与するでしょう。
ファイル管理を行う際の3つの注意点
適切なファイル管理を行う際には次の3つの点に注意する必要があります。ファイル管理の担当者は、注意点を社員に周知することで、適切な運用につなげましょう。
- デスクトップにファイルを放置しない
- ダウンロードファイルも適切に管理する
- 一目で内容の分かるファイル名にする
デスクトップにファイルを放置しない
使用したファイルをデスクトップに放置するのはやめましょう。デスクトップがファイルで埋め尽くされ、必要なファイルを探すのに手間取ります。デスクトップからファイルにアクセスしたい場合には、ショートカットを作成するなどして、できる限りデスクトップ上はきれいな状態を維持しましょう。
またデスクトップにファイルを放置したままにすると、共有フォルダにアップロードするのを忘れてしまうおそれもあります。その場合、共有フォルダやオンラインストレージ上のファイルが古いバージョンのままになり、ミスにつながります。
デスクトップはあくまで一時的な保存先にとどめ、データを更新した場合にはすぐにフォルダに移動させましょう。
ダウンロードファイルも適切に管理する
ダウンロードファイルも同様に、ダウンロードフォルダに放置しないようにしましょう。ファイルをダウンロードして、そのまま上書きすると、複数のファイルがフォルダにたまり続けます。
必要なファイルも不要なファイルもすべて同様のフォルダ内に保存されるため、後からファイル検索するのに苦労します。保存先のフォルダは個人またはチームでルールを設け、必ず移動させるようにしましょう。
一目で内容の分かるファイル名にする
ファイル名は、誰がみても分かるように明確なルールのもとにネーミングしましょう。先述したように、基本的には「日付_内容_バージョン」で名前を付けます。もちろん、企業によっては日付を後ろにもってきたり、作成者の名前を必ず入れるということもあるでしょう。いずれにせよ、ルールを守り、そのファイルが何かということが明瞭に分かるようにしましょう。
ファイル名から推測できない場合には、一度ファイルを開かないといけなくなるため、作業効率が著しく落ちます。
またファイル内容だけでなく、バージョン管理も徹底しましょう。「最終」や「最新」などをファイル名に付けると、バージョン管理が難しくなります。誰かがどこかのタイミングで更新して、「最終2」や「最終その2」などが作成されている可能性があります。バージョンは、必ず「version.2」や「ver.2」など、数値を入れることが重要です。
ファイル管理を適切に行うための2つの形式
ファイル管理を行う方法は、主に次の2つです。
- クラウドで管理する
- オンプレミスで管理する
それぞれの特徴とメリット・デメリットを簡単にみていきましょう。
クラウドで管理する
クラウドで管理する場合、オンラインストレージやグループウェア、ナレッジ活用ツールなどを活用します。この場合、ソフトウェアやサーバーなどのハードウェアは、サービス事業者が提供します。ユーザーはネット環境があれば、どこからでもデータにアクセス可能です。
メリットは、コストの安さと利便性です。サーバー環境を自前で用意する必要がなく、保守・管理も事業者に一任できます。そのためIT人材の雇用が不要になります。またランニングコストも月額制のケースが多く、ユーザー数やデータ量に応じて柔軟に設定可能なので無駄なコストが発生しません。
さらにオンラインでファイルにアクセスできるので、リモートワークや移動中などでも自分のパソコンやスマホなどからデータを閲覧できたり編集も可能なので、生産性のアップも期待できます。
デメリットはセキュリティ性です。事業者によってはセキュリティ対策が甘い可能性があり、データの消失や不正アクセスのリスクもあるでしょう。また社員にデータ管理のルールを徹底しないと、リモートワーク時などにデータが外部に漏洩したり、デバイスの紛失によって悪意のある第三者にデータを抜き取られたりするリスクもあるので注意が必要です。
オンプレミスで管理する
オンプレミスとは、ソフトウェアやハードウェアを自前で構築することです。また保守・管理も自社の人材が担当します。
メリットはカスタマイズ性とセキュリティ性の高さです。フォルダ管理やアクセス権の設定など、自社がのぞむ形にカスタマイズできます。また自社内のサーバーで適切に管理することで、セキュリティリスクを下げることもできます。サーバー管理を事業者に依存するクラウド型に比べて、自律的な管理が可能になるのです。
デメリットはコストです。特に初期費用として、ハードウェアをそろえ、サーバー室などを構築する場合には多額のコストがかかります。遠隔地にサーバーセンターを構える場合にはさらに巨額の費用がかかるでしょう。また保守や管理のための人員も自前で用意しなければならないため人件費も継続的にかかります。トラブルも自社で対応するため、相応のスキルや経験がある高度なIT人材を確保しなければならないでしょう。
まとめ
今回は、適切なファイル管理について、主に以下の点について解説してきました。
- ファイル管理とは
- ファイル管理を適切に行う2つメリット
- ファイル管理を行うための6つのコツ
- ファイル管理を行う際の3つの注意点
- ファイル管理を適切に行うための2つの形式
ファイル管理を適切に行うことで、生産性が向上し、業務におけるミス防止にも役立ちます。またチーム内で適切にファイルを管理し、共有や活用が進めば、組織全体のパフォーマンスアップも期待できるでしょう。
近年はテレワークの普及などもあり、ファイル管理の手法としてクラウドを取り入れる組織も増えています。クラウドサービスを活用することで、いつでもどこからでも必要なデータにアクセスできます。また検索性も優れているため、必要なファイルを素早く見つけることもできるので業務のスピードアップにも寄与するでしょう。
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