
「なぜ多くの企業が社内ポータルの導入を進めているのだろう」
「導入後に、しっかりと活用される社内ポータルの作り方が知りたい」
という疑問や課題に直面している導入担当者は多いのではないでしょうか?
社内ポータルはテレワークが普及する今日において、情報共有やコミュニケーション促進を図るために必須のITツールともいえます。ただし、社内ポータルがなぜ必要なのか、どのような機能が網羅されていれば良いのかが、いまいち分からないという人もいるでしょう。また、「導入後に定着しなかったらどうしよう……」という不安を感じている人も多いはずです。
そこで今回は社内ポータルの基本や必要性、必須機能などに加えて、導入を成功させるための3つのポイントなどを徹底解説していきます。社内ポータルの活用を検討している担当者の方は、ぜひ最後までご一読ください。
目次
社内ポータルは企業内での情報サイトのこと
社内ポータルとは、企業内で使用する情報サイトのことです。社員が会社内のさまざまな情報やアプリケーションにアクセスするための、「Portal=入り口」を指します。
導入の目的は、円滑な情報共有、コミュニケーション促進、業務効率化などです。社内ポータルには通常、社内wikiやチャットなど、ナレッジ共有やコミュニケーション促進を図るための機能が備わっています。
働き方改革の推進やテレワークの普及などを受けて、多くの企業では社内ポータルの導入が進んでいます。中でも、低コストで導入でき、簡便に利用可能なクラウド型のポータルサイトが人気を集めています。
総務省が約6,000社の企業を対象に実施した調査によると、クラウドコンピューティングの利用状況は全体の7割を超えています。利用している内容は、トップが「ファイル保管・データ共有」(61.0%)、次いで「電子メール」(52.6%)となっており、「社内情報共有・ポータル」は52.0%で3番目に利用されているクラウドサービスとなっています。前年比で7.2%増となっていることから、社内ポータルの導入が加速していることがみてとれます。

社内ポータルの4つの必要性
多様な働き方の推進やクラウドサービスの活用が進む中、これから社内ポータルを自社に導入しようと考えている企業もあると思います。担当者は、システムの導入前後に社員に社内ポータルの必要性やメリットを説明する機会が増えるでしょう。
そこで、以下に社内ポータルの必要性を整理していきます。重要な点は、次の4点です。
- 情報共有を効率化できる
- ナレッジの蓄積ができる
- 多様な働き方を推進できる
- ペーパーレス化に対応できる
情報共有を効率化できる
社内ポータルを導入することで、情報共有の効率化が可能です。社内ポータルによって必要な情報やデータの一元管理が可能です。
例えば、マニュアル、就業規則、ツールの運用ルールなどの文書を社内ポータルにアップしておけば、全社員がすぐにデータにアクセスできます。上司や関連部署の担当者に毎回問い合わせする必要がなくなるため、問題を自己解決できます。「教える人」の手間を削減でき、「教わる人」も相手からの回答を待つムダな時間を削減できるでしょう。
ナレッジの蓄積ができる
社内ポータルにはナレッジ共有ツールや社内wikiなどの機能が備わっているサービスもあります。
ナレッジにはさまざまな種類があります。例えば、成功事例や優秀な営業パーソンのトークスクリプト、提案資料、研修資料、議事録、企画書などが該当します。他にも、部署ごとに作成している業務マニュアルやノウハウをまとめた資料などもナレッジとして活用している企業もあるでしょう。
ナレッジは企業にとって重要な資産です。ナレッジを全社で活用できれば、社員のスキルアップにつながるだけでなく、教育コストの削減にも貢献します。
社内ポータルを導入することで、社員がもつナレッジを蓄積し、いつでも必要な時に活用できる仕組みを構築することは、組織力を高めるために必須の取り組みといえるでしょう。
多様な働き方を推進できる
クラウドベースの社内ポータルを導入することで、社員は場所やデバイスを選ばず、自由に情報にアクセスできます。そのため、テレワークやリモートワークがしやすくなり、社員はそれぞれの事情に応じた働き方が可能になります。
働き方の多様化が進むことで、社員の離職を防止したり、生産性向上が期待できます。魅力的な職場環境を整えることで、求職者からの評価も高まるため、人材確保にも寄与するでしょう。
ペーパーレス化に対応できる
社内ポータルの活用が進めば、紙での書類管理や印刷物の作成が減るため、ペーパーレス化に対応できます。ペーパーレス化の推進は環境に配慮した取り組みとして注目されており、コスト削減などにもつながるため企業にとっては多くのメリットが期待できます。
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社内ポータルに必要な5つの機能
社内ポータルの構築やクラウドサービスの導入を検討している担当者は、次の5つの機能について理解しておきましょう。
- コミュニケーション機能
- ナレッジ共有機能
- ファイル共有機能
- スケジュール管理機能
- 業務管理に関する機能
コミュニケーション機能
コミュニケーション機能としては、社内掲示板やチャット機能、メッセージ機能などがあります。社内ポータルの導入メリットとして、社員間や部署間のコミュニケーションの促進が挙げられます。
上司や部下、他部署の社員など、直接話すには心理的なハードルが高い人とも気軽に会話ができるといった特徴があります。
特に近年はテレワークの普及によって、チーム内でのコミュニケーション不足が課題に挙がることも増えています。そうした組織では、生産性の低下はもちろん、社員の離職や休職につながるリスクも高まります。社内ポータルのコミュニケーション機能を活用できれば、パフォーマンスと人材定着の両面で効果を期待できるでしょう。
ナレッジ共有機能
ナレッジ共有機能の一つに社内wikiがあります。社内wikiは、会社で使うWikipediaのようなものです。業務マニュアル、社則、各種フォーマット、ノウハウなどを蓄積・活用・共有することで、業務効率向上や教育コスト低減などが図れます。
会社が長年培ってきた知見やベテラン社員が持つ知識やコツなどを蓄積することで、暗黙知から形式知に変えることができます。ナレッジ活用が進めば、業務の進め方に悩んでいる人や成果が出せていない社員のスキルアップにもつながるので、組織力の底上げにも寄与するでしょう。
ファイル共有機能
社内ポータルには、ファイル共有やファイル管理の機能も備わっています。社内ポータルでファイルを共有できれば、メールやチャットでやりとりする必要がなくなるので、業務スピードのアップが期待できます。
また各人が個別にファイルを管理する場合、データが散在したり、必要なデータを削除してしまうリスクがあります。対して、社内ポータルでデータ類を一元管理できれば、散在や紛失の防止にも役立つでしょう。
スケジュール管理機能
社内ポータルとスケジュールツールを連携させることで、社員ごとのスケジュールやタスク管理が行えます。また、部署やプロジェクトごとのミーティングの設定や出欠の管理も行えるので、日程調整の効率化も可能です。
タスク管理やToDo管理機能を使えば、仕事の振り分けが簡単にできて、進捗管理もスムーズに行えます。通知設定によって、タスクの抜け漏れが防止できるのでミスも減らせるでしょう。
業務管理に関する機能
申請や承認など、ワークフローをシステム上で行える機能もあります。例えば、稟議書や交通費などの経費精算をクラウド上で実施すれば、紙での運用が不要になります。ペーパーレス化が進むことで、申請・承認業務のために出勤する必要もなくなります。
勤怠管理システムと社内ポータルを連携させることで、毎日の出退勤だけでなく残業申請や有給申請などがシステム上で素早く行えます。オフィスで上司に書類を提出したり、関連部署に出向いて対面で対応する必要がなくなるので、スピードアップや手間の削減につながるでしょう。
導入しただけでは使われない場合があるため注意が必要
社内ポータルを導入した後に、利用を促進する取り組みを実施しないと使われなくなるおそれがあるので注意しましょう。
社内ポータルは使い方が分からなかったり、画面が見づらかったりすると定着が進みません。すべての社員がITに明るいわけではありません。また、新しいツールによって業務のやり方が変わることに抵抗感を感じる社員もいるでしょう。
また積極的に使いたいと考えている社員がいたとしても、情報が古かったり、投稿方法が複雑であったり、投稿しても誰からもリアクションがなかったりすると、モチベーションが下がり、使われなくなる可能性が高まります。
なぜ、社内ポータルを使うべきなのか、使用するとどのようなメリットがあるのかなどを管理者が社員に周知する必要があります。また導入前、導入後にオリエンテーションや研修を行うことなど、全社員がストレスを感じることなく社内ポータルを使えるような取り組みを実施することも大事です。
使われる社内ポータルにするための3つのポイント
ここでは、社内ポータルが活用されるためにはどうすればいいのかを考えていきましょう。定着化を図るために、管理者が注意すべき点は次の3つです。
- 社内で使うツールを統一する
- 社内ポータルの情報を常に最新にする
- 必要な情報を検索しやすくする
社内で使うツールを統一する
ここまで紹介してきたとおり、社内ポータルにはさまざまな機能が備わっています。そのため、既存のツールと役割がバッティングする可能性もあります。ツールの複数化・複雑化を避けるためにも、社内ツールを統一することが重要です。
例えば、チャットツールやストレージツールなどは、部署ごとに異なるツールを導入しているケースが多いでしょう。さらにプロジェクトごと、顧客ごとに複数のツールを併用していることもあります。その場合には、社内ポータルを導入しても、どれを使って良いのか分からなくなります。結果的に、既存ツールを継続して使うことになるケースも多く、社内ポータルの活用が進まなくなります。
そうした事態を避けるためにも、重複しているツールがある場合には社内ポータルに集約するようにしましょう。
社内ポータルの情報を常に最新にする
社内ポータルが使われない理由の1つに、情報の鮮度があります。更新されていない古い情報や間違っている情報をそのままにしていると、社員は社内ポータルの活用メリットがないと考え使わなくなるでしょう。
情報の管理を徹底するためにも、担当者や担当部署を設定し、常に最新情報に更新する体制を整えることが大事です。また、利用者からのフィードバックを積極的に収集し、更新・修正を迅速に行うことも心がけましょう。
必要な情報を検索しやすくする
社内ポータルを業務に役立てるためには、必要な情報にすぐにアクセスできるような仕組みが必要です。そのためには、検索機能やタグ付け機能が備わっているサービスを構築すべきでしょう。検索機能が充実しているシステムであれば、添付ファイルの中身まで検索可能です。
また適切な運用ルールを設け、ファイル名の付け方やカテゴリ・フォルダ分けを適切に行うように、ユーザーに周知することも重要です。
まとめ
今回は、社内ポータルの導入担当者に向けて、必要性や機能、定着させるためのポイントなどを解説しました。
社内ポータルを活用すれば、情報共有やコミュニケーションの効率化が可能になります。さらに、ナレッジ共有や多様な働き方の推進、ペーパーレス化への対応などにも効果を発揮するでしょう。
ただし、社内ポータルは導入して終わりということではなく、活用と定着が必要になります。そのためには、社内で使用しているツールを統一したり、情報を常に最新に保ったり、検索精度を高めることが重要になります。
テレワークが普及する中で、コミュニケーション不足や効率性低下に悩んでいる企業は、社内ポータルの整備によってさまざまな課題を解決できる可能性があります。持続的な成長を達成するためにも、社内ポータルの導入を検討してみてはいかがでしょうか。