
「はじめてクレーム報告書を作成することになったが、何を書けばいいかわからない……」
「上司の信頼を取り戻すためにも、正確なクレーム報告書を書きたい」
このような疑問や思いを抱えている社員は多いのではないでしょうか?
特にはじめてクレーム報告書を書くことになった新入社員は、何をどのように書けば良いのか分からずに不安を感じているはずです。
クレーム報告書は、ビジネスでは避けて通れない書類の一つともいえます。正確で分かりやすい報告書を作成できれば上司からの信頼を回復できるだけでなく、社内のナレッジとして蓄積・活用することで、顧客関係の改善・向上にもつなげられます。
そこで今回は、クレーム報告書の基本を学んでいきましょう。作り方や作成時の注意点はもちろん、業務でつかえるテンプレートも3つ紹介します。
クレーム報告書の作成で悩んでいる人は、ぜひ最後まで読んでビジネスに役立ててください。
目次
クレーム報告書は顧客からの苦情の対応を伝える書類のこと
クレーム報告書とは、顧客からの苦情の内容や対応などをまとめた書類のことです。クレーム報告書を作成し共有することで、同じような事案が起こらないよう再発防止に役立てられます。
また、クレーム報告書をもとに業務プロセスを改善したり、社員の意識を改革することで、提供するサービスの品質を向上させることもできるでしょう。結果的に、顧客に高品質なサービスを提供できるようになるため、顧客関係の強化や顧客満足度の向上などにもつなげられます。
クレームを受けることはマイナスに感じるかもしれませんが、上記のように社内でクレーム報告書を共有・活用できる仕組みを作れば、組織力や個人のスキルアップにもつなげられるのです。そのためには、まずは、正確で分かりやすいクレーム報告書を作成するための方法やポイントを学ぶ必要があります。
クレーム報告書のテンプレート
クレーム報告書を作成する場合、通常は社内のフォーマットを使います。上司や同僚にフォーマットの有無やファイルの保管場所を聞いて、社内ルールにそった手順ですすめましょう。一方で、社内にフォーマットがない場合、自分でいちから作成するのは非効率です。そうしたケースでは、テンプレートを使うのがもっとも効率的な方法です。
以下3点は、無料で入手できるクレーム報告書のテンプレートの例です。使いやすいものを見つけて、ダウンロードしてみましょう。
- 業務効率化ガイド
- bizroute
- NotePM
業務効率化ガイド

「業務効率化ガイド」(運営:株式会社Stock)では、社内外に提出するクレーム報告書のテンプレートを配布しています。社内向けテンプレートでは作成者の部署・名前などの記入スペースがあります。他には、「クレーム内容」「クレーム対応」の2つで構成されています。社外向けのテンプレートもあるので、確認してみましょう。
(出典:【例文/テンプレあり】クレーム報告書の書き方と注意点を解説!|業務効率化ガイド)
bizroute

「bizroute」(運営:株式会社エクシア)でも、社内外向けのクレーム報告書のテンプレートを提供しています。社内向けには4種類、社外向けには2種類があります。さらに、個人の顧客向けに詫び状のテンプレートも2種類あるので、さまざまシーンに対応したひな型を入手できます。表組みの報告書だけでなく、文例が記載された報告書もあるので、用途に応じて活用してみましょう。
(出典:クレーム報告書テンプレート | 書き方とフォーマット|bizroute)
NotePM

「NotePM」(運営:株式会社プロジェクト・モード )では、同社提供ツールで使えるテンプレートを配布しています。テンプレートには、クレーム内容、詳細、発生原因、対応、対策などの項目が設けられています。自分で報告書を作成するときに、このテンプレートで使っている項目や文例を参考にしても良いでしょう。
(出典:クレーム報告書 テンプレート(例文あり)|NotePM)
クレーム報告書を制作する3つのステップ
クレーム報告を作成する際には、以下の3つのステップを実施します。
- 必要な情報を集める
- 集めた情報を時系列で整理する
- 報告書を作成して提出する
一つずつ確認していきましょう。
必要な情報を集める
最初に、クレームに関する詳細な情報を収集します。クレームを受けた人や関連する業務に従事する人など、関係者に話を聞き、できるだけ客観的な情報を集めることが重要です。
クレーム対応した人のみにヒアリングすると偏った情報になる可能性があるため注意しましょう。感情的になっている場合には、主観的な情報や思い込みなどが混在していることもあります。状況を冷静に観察していた人や客観的に分析できる人など、多くの関係者に接触することが重要になります。
集めた情報を時系列で整理する
集めた情報は時系列に並び替えて、整理しましょう。時系列で記すことで読みやすい報告書になります。情報が整理されていれば、上司や取引先の担当者などの読み手はクレームが起こった原因や途中経過、今後の対策などを理解できます。
中にはクレーム報告書の提出時点では、事態が収束していないケースもあるでしょう。その場合にも、時系列で記されていれば現状がすぐに分かります。
報告書を作成して提出する
作成したクレーム報告書をしかるべき宛先に提出します。社内であれば、上司や役員、関係部署の担当者などが該当します。社外向けのクレーム報告書であれば、取引先企業の担当者や顧客などに提出します。
ケースによっては、一般消費者にクレーム報告書を送付することもあるでしょう。ただし、この場合には通常は「詫び状」の形で書面を送ります。相手が謝罪以外にも、詳細な経緯や原因、対応内容、再発防止策などの情報を求めた場合のみ、クレーム報告書を作成し送付する場合もあります。送付する書面の内容については、上司に確認することが大事です。
クレーム報告書に入れるべき項目
クレーム報告書に入れる項目は、一般的には次の通りです。
- 受付日
- 担当者名
- 発生日時
- 発生場所
- 顧客情報(所属・名前・電話番号・メールアドレスなど)
- クレームの内容
- クレームの発生原因
- クレームへの対応
- 再発防止策
読み手がクレームの全容を理解できるように、過不足なく情報を盛り込みましょう。
クレーム報告書は前述の通り、社内向け、社外向けの2つに分類できます。また例外的に一般消費者に送付する場合もあります。
社内向けの場合には、クレーム内容を今後の業務に活かすことが重要になります。そのため、シンプルな記述を心がけ、謝罪などの文言は最低限にとどめます。
社外向けの場合には、謝罪の言葉や今後の再発防止策への取り組みなど、相手に誠意が伝わる内容を意識することが大事です。
一般消費者へクレーム報告書を提出する場合も、謝罪と再発防止策の提示など、企業として真摯に向き合っていることが伝わる内容にするとよいでしょう。
なお、クレーム報告書を自社のデータベースに蓄積する場合、ジャンルやタグを付けて、後から検索できるようにするとよいでしょう。クレーム内容を分析することで、商品開発に活かしたり、顧客対応の研修資料を作る時などにも役立てられます。
また、マーケティングや営業、カスタマーセンターなど、その他の部署でも、顧客の声を蓄積・分析することで新たなニーズを見つけたり、業務改善に役立てることができます。
クレーム報告書の例
ここでは、クレーム報告書の具体例を紹介します。「ECサイトで靴を購入したユーザーに、あやまってサイズ違いの商品を発送してしまった」ケースです。なお、クレーム報告書は社内向けのものです。
【クレーム報告書】
〇〇〇〇年〇月〇日
〇〇部 〇〇課 〇〇〇〇
<概要>
- 発生日:〇〇〇〇年〇月〇日(〇)
- 発生場所:ECサイト
- 顧客情報:
氏名:〇〇〇〇様(ID:〇〇〇〇〇)
住所:〇〇県〇〇市〇〇町〇〇丁目〇〇番地〇〇号
連絡先:〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇(携帯電話)
Mail:〇〇〇〇〇〇〇〇〇@〇〇〇〇〇〇
- 受付担当者:カスタマーセンター 〇〇〇〇
<内容>
商品の出荷ミス(サイズ違い)
<詳細>
- ECサイトで商品Aを購入したお客さまから、サイズ違いのクレームが入った。
- お客さまの注文は「23.5センチ」だったが、納品された商品のサイズは「24.0センチ」だった。
- システム上で購買履歴を確認したところ、「23.5センチ」で注文を受けていた。
- このようなミスがあるなら、二度と買わないと立腹している様子だった。
<受付時の対応>
- 謝罪し、すぐに新しい商品を発送すると説明した。
- 誤って届いた商品は、返送してもらうように説明した。
<原因>
- 物流センターの担当者によるチェックミスと判明した。
- 本来、ピッキング担当者と梱包担当者の2人でダブルチェックするはずが、このときは1人の担当者がピッキングと梱包を兼務していた。
<対応>
- クレームを受けたその日に正しい商品を発送し、翌日到着した。
- 到着日に改めて謝罪の電話を掛けた。
- 再発防止策を説明し、ご理解いただけた。
- 誤発送した商品は、後日返送してもらった。
- 後日、メールでお詫びのクーポン(10%OFF)を送付した。
<対策>
- ピッキングと梱包は必ず2人体制で行う。
- ダブルチェックを徹底する。
クレーム報告書を書く際の4つのポイント
最後に、クレーム報告書を書く際のポイントを4つ紹介します。
- 誰が見ても一目で分かるように記載する
- 事実を客観的に記載する
- 時系列に沿って簡潔に記載する
- 迅速に報告する
誰が見ても一目で分かるように記載する
クレーム報告書をはじめ、報告書は読みやすい文章で書くことが大事です。誰がみてもすぐに理解できるような、体裁や文章を意識しましょう。
体裁については、ポイントを箇条書きで書いたり、見出しを付けるなど工夫しましょう。文章は、簡潔・シンプルな文体を心がけ、冗長な表現は避けましょう。
社外向けの場合には関係者への謝罪の意味が込められているケースが多いので、言い訳がましい文章はNGです。過不足ない情報を盛り込みながら、端的にまとめることが重要です。
事実を客観的に記載する
クレーム報告書は事実のみを客観的に記載します。主観や感想を入れると、言い訳ととられたり、読み手が誤読する可能性があります。
客観性を担保するためにも、情報収集の段階で複数の関係者にヒアリングするのが良いでしょう。
クレーム内容が言いがかりだったり相手に落ち度がある場合にも、感情的にならずに淡々と事実のみを記すことを心がけましょう。
時系列に沿って簡潔に記載する
クレーム内容が込み入っている場合には、時系列に沿って簡潔に記載することが重要です。関係者が複数いたり、事象が複雑な場合、時系列がバラバラだと読みづらくなります。
いつ・どの順番で物事が進行したのかを整理して記載することで、報告書のクオリティを高められます。
迅速に報告する
クレームが発生したら、すぐに上司や管理者に報告しましょう。報告を後回しにしたり、報告を怠ると、大きなトラブルに発展する可能性があります。
大口の顧客や仕入れ先など、相手先によっては今後の事業に影響を及ぼすケースもあるでしょう。また一般ユーザーへの対応を誤ると、企業やブランドに対する世間的な評価にも影響が出るでしょう。ブランド価値の毀損を避けるためにも、できる限り迅速な対応が求められます。
まとめ
今回は、クレーム報告書の書き方や作成時の注意点などを解説し、具体的なテンプレートも3つ紹介しました。
正確なクレーム報告書を迅速に作成することで、顧客の不満や怒りを最小限に抑えることができます。また作成者は、上司や役員などからの信頼回復にもつなげられます。
クレーム報告書は社内で蓄積することで、業務改善や商品開発、社員育成などにも活用可能です。クレーム報告書には顧客やユーザーの声が反映されています。またトラブルへの具体策なども記載されています。それらの情報を社内ナレッジとして活用できる仕組みを構築することで、組織力や個人のスキルアップにもつなげられるのです。
本記事で紹介したクレーム報告書の作成方法を学び、組織としてナレッジを有効活用できるような環境を作っていきましょう。