
かねてから日報やマニュアル、レポートなどさまざまな形でQiita Teamを上手に活用されていると伺っていた株式会社フィードフォースさんを取材させていただきました。
今回は前後編に分けて、前編では情報共有をしやすい雰囲気や日報の成果について、後編ではQiita Teamの活用についてお話をまとめました。
お話を伺ったのは、人事、広報、営業といったビジネスサイドの方々です。
本取材記事からエンジニアにとどまらないQiita Teamご活用、生産性向上のヒントをつかんでいただければと思います。
目次
インタビューいただいた皆さま

渡邉康晴(なべはる)Yasuharu Watanabe
株式会社 フィードフォース 人事部マネージャー

金井花織(かない・かおり)Kaori Kanai
株式会社 フィードフォース マーケティングチーム広報担当

前田 遥(まえだ・はるか)Haruka Maeda
株式会社 フィードフォース dfplus.ioチーム インサイドセールス
全社員でQiita Teamを利用
ーーQiita Team
まずはQiita Teamのこれまでのご利用状況についてお聞かせいただけますか。
現在、アルバイトを含めて全社員が使ってます。
2014年4月から利用を開始しました。当時からエンジニアに限らず、ビジネスサイドの社員も分け隔てなく当たり前に使っていました。投稿内容は日報が多かったと記憶しています。
もともとフィードフォースには、「情報共有や情報発信はいいことだよね」という共通の認識が文化としてあったんです。エンジニアはもちろんですが、ビジネスサイドのメンバーにも、情報共有や情報発信は歓迎されていて、みんなQiita Teamを自然と利用していました。
Qiita Teamに限らずSlackのようなチャットツールも当時から導入されていましたし、ビジネスサイドのメンバーもチャットツールを利用しています。

情報共有・発信する文化が浸透したプロセスとは
「情報共有を推奨する文化」が根付いているのは素晴らしいですね。さまざまなツールと一緒にQiita Teamをご利用いただいているということですが、フィードフォースさんでは、情報共有を積極的に行うための社員への意識付けのような施策や取り組みはされたのでしょうか。
実はQiita Teamを使おうみたいな工夫はさほどしていなくて。入社してこれをやってくれということもなく自然にという感じです。
前田さんは2017年に入社していますが、Qiita Teamについてはどうでしたか。
みなさん日報以外にも、情報発信の場だったり、フラットに情報共有できる場という感じで自然に使っていたので、私もそれが普通なんだなと受け入れていました。
周りのみなさんが使われている土壌があり、馴染んだということですね。とはいえ、Qiita Teamの書き方や使い方について戸惑ったことなどもあったかと思うんですが。
最初は、「まるぽち」(箇条書きのリスト)はどうやってつけるんだろうっていうところからでしたね(笑)。
マークダウンを先輩に教えてもらいながら日報を書いていました。日報は毎日書くので、やっていくうちにすぐに慣れて使えるようになりました。

自分も今、過去の日報を見たら、最初の1カ月くらいはマークダウン使ってなかったですね。昔は誰も教えてくれなかったのかもしれません(笑)。
一同笑い
使えるポエム!?会社の改善アイデアが投稿に
Qiita Teamでは日報をメインにご利用されているということですが、日報以外の使い方があれば教えてください。
マニュアルや手順書、共有すべきものの記録、ミーティングの議事録を投稿しています。「○○をしました」というレポート系のドキュメントも共有されることがありますね。
一般的にエンジニアさんは、Qiitaやブログにイベントレポートの投稿をするというのはよくあることだと思います。それと同じような感じで、ビジネスサイドの方もQiita Teamへレポートを投稿されているのでしょうか。
エンジニアもビジネスサイドのスタッフも両方ありますね。
セミナーに参加してきた感想レポートもありますし、ちょっと想定しないことに遭遇したら、インシデント時の対応レポートを投稿するというケースもあります。あとはいわゆるポエム系ですね。
おお。ポエム系の投稿というとどういったものがありますか?
「こんなこと考えてるけどどうかな」という投稿は結構ありますね。
以前デパートに化粧品を買いに行った際に、化粧品営業の方にいろいろと接客された内容を「営業を受けてきた話」というタイトルにしてQiita Teamに投稿したことがあります。
私は普段は営業担当として接客する立場なのですが、接客される立場で良いと感じた点/良くないと感じた点などを比較したんです。
営業する側が営業される側になってその体験を投稿するというのは、新しい発見などもありそうですごく面白いですね。
そのようなレポートやアイデアがQiita Teamへ投稿されている中で、実際に何か施策が始まったということはありますか。
今ちょっとポエムタグを見てみました。
「総合職を改善するチームを作りたい」といったポエムが投稿されていて、いいねがいっぱいついて、賛同したメンバーが集まり実際にやっていくぞという話になりました。

いいねとコメントがたくさんついて、実際に会社の業務改善につながったとのこと。
この記事がきっかけで、総合職を改善する会を開催するようになりました。この投稿をしたのは新入社員のメンバーで、やるぜと言ってるのも若いメンバーです。 Qiita Teamからのボトムアップで会社の業務が改善されていった例だと思います。
エンジニアだけでなく、総合職であるビジネスサイドの方によるQiita Teamの投稿から、業務フローに変化が起こるというのは、会社にとっては嬉しいできごとになりますね。
はい。このケースはボトムアップなのが素晴らしいと思っています。上から指示をしているわけじゃないですからね。
感覚的にはQiita Teamはすでに日常の中にあるので、Qiita Teamをこうやってうまく使おうという感覚はあまりなくて。新しいことをやろうと思ったときは、当たり前にQiita Teamで共有するという感じになっています。
日報投稿率7割、日報が書かれる秘訣とは
日報の運用という視点では、工夫されていることはありますか。
日報を書くのも読むのも推奨ではあるものの、強制ではないというのがポイントかもしれません。「うちのチームは日報を書くぞ!」というチームはありますが、会社として必ず書いてくれという話にはなっていません。
書くのも読むのも必須じゃないので、書いてる人もいれば書かない人もいますし、みんなの日報を読んでる人もいれば、読んでない人もいるスタイルです。
日報タグはつけていますが、それ以外は基本的にルールはありません。「会社として日報は必須じゃない」というのが大きな特長だと思います。
日報を必須にしないとなりますと、日報そのものがなくなってしまいそうですが、実際にどれくらい日報は書かれているのか教えていただけますか。
調べたらですね。45~50人くらいが日報を書いてたので、70パーセントくらいは日報を書いているみたいです。

7割の投稿率はすごい数字ですね。
日報が必須ではない条件ではなかなか見られない数字ではないでしょうか。日報の運用では、全員書くか、日報を必須にしないかの2パターンがありますが、後者では一般的に日報の投稿率が課題になりがちです。
組織に日報がどんどん好きになる雰囲気がある
フィードフォースさんが運用していく中で、日報の投稿率が高くなると感じているポイントは何かあれば教えていただきたいです。
情報発信はフィードフォースで推奨してるんですけど、それがエンジニア/ビジネスサイドといった職種の違いや新入社員/若手/中堅など年次の違いを意識することなく、気軽かつ簡単にQiita Teamで情報共有できるのがポイントなのではないでしょうか。
ミーティング中にちょっと思ったことを、その場で発言するとなると勇気がいるというか、構えちゃうところがありますけど、Qiita Teamの日報ではそういった「見てほしいな、気づいてほしいな」っていう内容をさらっと書いていけます。「これを書くとよくないかもしれない」といった心配もなく、毎日Qiita Teamという場で残して書けるっていうのがいいのかなって思っています。
確かにミーティングでは言えないけれど、日報だと言えるというのはありますね。
自分が新入社員だった時に、情報発信に苦手意識があったんですね。自分の意見に自信がなかったりとか、言っていいのかな、みたいな感じで割と不安でした。
フィードフォースとしては、先輩をはじめとしてどんどん発言したほうが良いよ、という雰囲気がありましたが、ミーティングで手を挙げるのはハードルを感じていました。
そんなときに、先ほどの接客された話をQiita Teamに投稿してみたんです。そうしたら「あの記事すごい良かったよ!」みたいなコメントをたくさんいただきました。営業のマネージャーだけでなく、エンジニアさんからもあれすごい良いねと、Qiita Teamのコメントでも、口頭でのリアルなコミュニケーションでも反応をもらえて驚きました。
Qiita Teamのコメントだけにとどまらず、実際に直接コメントもらうというのは嬉しいですね。
Qiita Teamの投稿にいただいたコメントが自分の中での変化のきっかけになりました。積極的に情報発信したほうがいいという姿勢ができたというか、Qiita Teamを使うと気軽に構えずに発信できるという後押しも感じました。
Qiita Teamに日報やポエムみたいな形で情報発信を積極的にできるようになり、苦手意識からむしろ得意になったくらいです。
情報共有・情報発信をするべきとは言われていますし、エンジニアの方々はQiitaやブログ、Twitterで情報共有・情報発信する人って多いですよね。一方で、ビジネスサイドの方はあまり情報共有や情報発信をする土壌がないのかなと感じていました。
Qiita Teamが情報共有・情報発信で一歩踏み出していただけるようなきっかけづくりになったなら嬉しいです。一つの効果としても、会社組織としてはとてもポジティブなできごとですね。
コミュニケーションが活性化するきっかけはコメントといいね?
Qiita Teamに日報を投稿をされていると、日報がコミュニケーションの活性化につながっていると感じられるようになりませんか。
割とみんなコメントから拾ってくれたりするのが嬉しいです。
そうですね。他プロダクトのメンバーやエンジニア、代表からもコメントが普通に付くのは驚きました。
フィードフォース代表の塚田からはほとんど毎回いいね?がつきます。おそらくQiita Teamの全記事を見ていますね。塚田自身は週報で週に1回書いてます。
おお。そうなんですね。Qiita Teamでも投稿を見たら何か絶対リアクションするという使い方をお勧めしています。少しでも反応がもらえるともっと投稿したくなりますし、コミュニケーションの活性化につながると考えています。

特に新入社員メンバーがまだ組織になれていなかったりするフェーズで、違うチームのメンバーからQiita Teamでアドバイスのコメントをもらえたりするのはいいですね。
オンラインツールのほうが、気兼ねなくコミュニケーションできるというケースもありますよね。
実をいうとQiita Teamを使っていて昔よりも日報を書くのが好きになったんですよ。書くとリアクションがあるし、リアクションもポジティブな指摘で、内容の良し悪しにかかわらずいいね?されます。心理的安全性のように許容される雰囲気があるのが大事だと思っています。
例えば、今日体調がよくなくて作業が進みませんでしたという日報があるとします、そこで、給料をもらっているプロとしてどうなんですかみたいな正論で返してしまうと、そこでコミュニケーションが止まってしまいますよね。
フィードフォースの場合は、「体調悪い日もあるのでお大事に?」、「フォローしますよ」とか気遣ってくれるメンバーがいます。何か特別な工夫をしてるわけではないのですけど、メンバーが前向きな雰囲気になってるのは大事だと感じています。
フィードフォースさんの情報共有・情報発信をポジティブにとらえる文化がQiita Team上のコミュニケーションにも表れていて、気軽に投稿したりコメントするような結果につながっているのですね。
後編へ続きます。